臨床において慢性疼痛が誤って急性疼痛のように扱われていると感じることがある1つの例は疼痛強度の評価です。 「今の痛みの強さはどのくらいですか?」 慢性疼痛の痛みの評価をいつの時点またはいつの期間で行えば良いかは、最適解がわかっていない臨床上の課題です。 その中で現在の疼痛強度を聞くというのは、何が意図があってのことなの...
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タム
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タムの記事一覧
痛みへの過剰なフォーカス 生物医学は疼痛治療をする際に、「痛み」の治療に過剰なフォーカスをします。 これは疼痛治療における問題点の1つです。その理由を説明していきます。 LoeserのConceptual model of painを見ると、苦痛(Suffering)が含まれていることに気づきます。 ※ここではSuff...
最大の課題 John David Loeserは「病因不明の慢性疼痛(pain of unknown etiology)」であったとしても、人によって診断が違うことを問題視していました。診断はその医療者が使用する免許(カイロプラクティックやオステオパシーなど)が用いる治療法の種類を正当化するものとなっていました。 複数...
痛みにおける恐怖 痛みを有している患者は恐怖(Fear)を有していることがあります。 医療における恐怖というと精神疾患のようなもの、いわゆる「病的な恐怖(Pathological fear)」をイメージするかもしれませんが、心理現象としての怖さといった軽いものを含んで、恐怖と呼ばれています。 特に痛みに関連した恐怖を「...
BPS model始まり BPS modelは1997年にGeorge L. Engelによって提唱されました。 現在BPS modelは腰痛治療において主流となりつつあります。 以前、BPS modelが腰痛に応用され始めるきっかけを作った論文、Gordon Waddellの「A new clinical model...
腰痛評価はより良くできるかも知れない 医療面接では、主に現時点の腰痛について聞かれます(現病歴)。もちろん過去に腰痛があったか聞く人も沢山います。腰痛のエピソード回数は腰痛の予後因子であるため、治りやすいか治りにくいかの判断材料になります。 このような聴取は患者の腰痛を点で探っているように見えます。 どういうことか理解...
原点を知る重要さ 私が好んで優先的に読むタイプの文献は「現在の治療の問題提起をする」か「現在の治療に大きな影響を与えるきっかけを与えた」ものです。 臨床で「こう考える」という思考パターンは大抵の場合どこかに起源があります。 しかし我々が臨床思考する時に使う理論や仮説の原点はしばしば忘れ去られます。 自身の考えを批判的に...
運動量の問題 多くの運動器疾患では治療の過程で運動指導をします。 その目的は機能の向上、スポーツへの早期復帰、再発予防、新たな怪我の予防、痛みの軽減、生活の質の向上、リラクゼーションなど多様です。 痛み治療の文脈では、痛みの軽減や痛みの予防のために使われるケースが多く、臨床家は頻繁に運動療法を使用します。この時疑問とし...
腰痛の分類と診断ラベル これまで腰痛を含む痛みの分類法はいくつも提唱されてきました。 大まかに見れば解剖学的な分類、期間による分類、病因に基づく分類、体システムに基づく分類、重症度に基づく分類、機能に基づく分類、予後に基づく分類、メカニズムに基づく分類また包括的で多次元的な分類など様々です。 臨床家は何らかの方法で患者...
似非医学の主張に学ぶ 私は似非医学をやっている人がどんな論理展開するのか見るのが好きで、その経験の中で主張にはある程度パターンがあると考えています。 その中で用いられる主張は中々バカにできるものではなく、時に論理的に正しく見えるため主張が正しいと錯覚してしまうのもおかしくないことがあります。これは似非医学をやっている人...