椎間板変性と腰痛 腰痛と画像所見の関係は従来考えられていたほど強くないため、臨床における画像検査の価値は限られており、しばしば過大評価されています。 BrinjikjiらのMRIを用いた調査では50歳以下の成人において腰痛がないにも関わらず椎間板変性が見られるのは34.4%で、腰痛がある人では57.4%に椎間板変性が見...
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タム
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タムの記事一覧
梨状筋部の走行 梨状筋はよく坐骨神経絞扼の原因として挙げられています。 これを梨状筋症候群(Piriformis syndrome)といいます(坐骨神経痛とは異なります)。 この梨状筋と坐骨神経の関係においてしばしば挙げられる構造は、坐骨神経の解剖学的バリエーションです。 梨状筋を通過する際の坐骨神経のバリエーションは...
梨状筋の基礎解剖 梨状筋は深臀部にある三角形の筋です。 起始はばらつきがありますが、主に仙骨前面(S2とS4の間)と下後腸骨棘付近に付着しています。 停止部は大腿骨の大転子です。 支配神経は仙骨神経叢のS1-S2です。 主な作用には股関節外旋、外転と大腿骨頭の安定化作用があります。 梨状筋のストレッチ 梨状筋のストレッ...
発症時期の矛盾 腰痛患者に対する医療面接で過去の腰痛や腰痛の経過について聞くことは、予後の予測やこれまで受けてきた治療への反応とそれに伴う治療計画の作成、過去の腰痛との共通点や違いによる病態把握など重要なことです。 腰痛の経過について聞くことの大事さは以下の参照して下さい。 その中で「腰痛がいつ発症したか」はほとんどの...
腱板疎部は肩の疾患(五十肩・腱板断裂・不安症)の文脈で見かけることのある解剖学的構造の名前です。 学校でも習わない?ため腱板疎部を聞いたことがないという方もいると思います。 腱板疎部は単一の構造体で構成されている訳ではないので、少しイメージが難しいです。 そこで今回は腱板疎部のイメージを想像するための情報を共有します。...
肩甲下筋の基礎 肩甲上腕関節は可動範囲が高い代わりに不安定になりやすい構造で、骨・関節唇・靭帯といった静的安定化機構と、筋による動的安定化機構で支えられています。 動的安定化機構であるローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の腱及び周囲の軟部組織によって構成される)はカフ(袖口)と名前に付くように、上腕骨頭周...
患者の価値観と好み EBMでは「患者の価値観と好み」を含めることが推奨されています。 医療者は自分が信じている治療や効果が示されている治療を勧めたいと思うのは自然な感情ですが、それが患者さんにとっては不快なもの、受けたくないものだったり、他にもっと自分にあった治療がある、勧められた治療には効果がないと考えているケースが...
急性腰痛は治療の種類に関係なく、治療してもしなくても通常最初の6-13週間で急激に緩和します。 (下図は経過の例) 歴史的にも腰痛の90%は 1か月以内に解消すると広く信じられています。 それから疼痛緩和は鈍化します。 ここで2つの誤解と1つの疑問が生まれます。 誤解1:急性腰痛は早く治る Croftらは腰痛患者に対し...
前回、誰でもできる簡単な介入は高度で専門的な介入に劣らないことを説明しました。 こちらの記事を参照してください。 前回の復習を少ししておくと、これまで生物医学モデルは慢性腰痛に対してより専門的で、より行動な治療を数百と開発してきましたが、そのほとんどは成功していません。ほとんどの治療は短期的効果があるかも知れませんが、...
高度で専門的な介入への依存 しばしば自然経過以上の腰痛緩和を引き起こすには医学的な介入が必要だと考えられています。 そのために解剖学や生体力学、運動学、徒手療法、運動療法、心理療法、痛み学などを学び臨床家は試行錯誤します。 臨床的な好奇心として医療者が持っているものの1つは「何が最も効果的なのか」だと思います。 そして...