前腕-手にかけて,筋の名称はややこしい.初学者にとっても厄介だが,より深く勉強して英語の文献に当たるようになると今度は英語表記やその略称と睨めっこすることになる.FDMDと言われてもどの筋なのか.Flexor digiti minimi brevisと言われても今度は日本語訳が分からない.

そこでここでは,英語表記や略称が分かるようになるためにどのような規則性があるのか解説していく.

前腕から手の筋の全体像と規則性

前腕から手指にかけて30種類以上の筋がある.
前腕の筋(20),その内,屈筋群(8)と伸筋群(12)・手の筋(11),その内,母指球筋(4),母指球筋(4),中手筋(3)

これらの名称は類似しているため混乱しやすい.しかし類似しているため規則性も見つかる.

3つの例外(腕橈骨筋,回外筋,虫様筋)を除き,これらの筋は共通する用語の組み合わせで名称が決まっており,部位・作用・長さ/位置に分けることができる.実際に表にすると以下のようになる.

英語表記と略称の規則性

これらの規則性は英語表記にしても全く同じである.

そのためまず,以下の20単語+例外3単語さえ覚えてしまえば,これらの筋を和訳できるようになる.
【部位】carpi radialis=橈側手根,carpi ulnaris=尺側手根,pollicis=母指,digitorum=指,indicis=示指,digiti minimi=小指,Palmaris=掌,Interossei=骨間
【作用】Flexor=屈筋,Extensor=伸筋,Abductor=外転,Opponens=対立,Adductor=内転,Pronator=回内
【長さ/位置】superficialis=浅,profundus=深,longus=長,brevis=短,Palmar=掌側,Dorsal=背側

また,略称は全てこれらの頭文字で構成されているため,頭文字のパターンも20種しかない.
【部位】carpi radialis=CR,carpi ulnaris=CU,pollicis=P,digitorum=D,indicis=I,digiti minimi=DM,Palmaris=P,Interossei=I
【作用】Flexor=F,Extensor=E,Abductor=A,Opponens=O,Adductor=A,Pronator=P,
【長さ/位置】superficialis=S,profundus=P,longus=L,brevis=B,Palmar=P,Dorsal=D

これらを踏まえて略称を見てみる.FCRとくればF(Flexor) +CR(carpi radialis)で構成されているため,橈側手根屈筋だと分かる.

ではECRLはなんだろうか.

ECRLはE+CR+Lに分けられる.Eは伸筋,CRは橈側手根,Lは長であるため,ECRLは長橈側手根伸筋だと分かる.案外略称は分割するところが分かれば分かりやすい.

まとめ

英語表記や略称が分かれば勉強の時短や,図を見た時の理解の速さの役立つ.略称や英語表記は反復的に見慣れることでも覚えることはできるが,一度全体像を把握して情報をまとめてみると,より早く身につけることができる

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