急性腰痛は治療の種類に関係なく、治療してもしなくても通常最初の6-13週間で急激に緩和します。 (下図は経過の例) 歴史的にも腰痛の90%は 1か月以内に解消すると広く信じられています。 それから疼痛緩和は鈍化します。 ここで2つの誤解と1つの疑問が生まれます。 誤解1:急性腰痛は早く治る Croftらは腰痛患者に対し...
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前回、誰でもできる簡単な介入は高度で専門的な介入に劣らないことを説明しました。 こちらの記事を参照してください。 前回の復習を少ししておくと、これまで生物医学モデルは慢性腰痛に対してより専門的で、より行動な治療を数百と開発してきましたが、そのほとんどは成功していません。ほとんどの治療は短期的効果があるかも知れませんが、...
高度で専門的な介入への依存 しばしば自然経過以上の腰痛緩和を引き起こすには医学的な介入が必要だと考えられています。 そのために解剖学や生体力学、運動学、徒手療法、運動療法、心理療法、痛み学などを学び臨床家は試行錯誤します。 臨床的な好奇心として医療者が持っているものの1つは「何が最も効果的なのか」だと思います。 そして...
臨床において慢性疼痛が誤って急性疼痛のように扱われていると感じることがある1つの例は疼痛強度の評価です。 「今の痛みの強さはどのくらいですか?」 慢性疼痛の痛みの評価をいつの時点またはいつの期間で行えば良いかは、最適解がわかっていない臨床上の課題です。 その中で現在の疼痛強度を聞くというのは、何が意図があってのことなの...
痛みへの過剰なフォーカス 生物医学は疼痛治療をする際に、「痛み」の治療に過剰なフォーカスをします。 これは疼痛治療における問題点の1つです。その理由を説明していきます。 LoeserのConceptual model of painを見ると、苦痛(Suffering)が含まれていることに気づきます。 ※ここではSuff...
最大の課題 John David Loeserは「病因不明の慢性疼痛(pain of unknown etiology)」であったとしても、人によって診断が違うことを問題視していました。診断はその医療者が使用する免許(カイロプラクティックやオステオパシーなど)が用いる治療法の種類を正当化するものとなっていました。 複数...
痛みにおける恐怖 痛みを有している患者は恐怖(Fear)を有していることがあります。 医療における恐怖というと精神疾患のようなもの、いわゆる「病的な恐怖(Pathological fear)」をイメージするかもしれませんが、心理現象としての怖さといった軽いものを含んで、恐怖と呼ばれています。 特に痛みに関連した恐怖を「...
BPS model始まり BPS modelは1997年にGeorge L. Engelによって提唱されました。 現在BPS modelは腰痛治療において主流となりつつあります。 以前、BPS modelが腰痛に応用され始めるきっかけを作った論文、Gordon Waddellの「A new clinical model...
腰痛評価はより良くできるかも知れない 医療面接では、主に現時点の腰痛について聞かれます(現病歴)。もちろん過去に腰痛があったか聞く人も沢山います。腰痛のエピソード回数は腰痛の予後因子であるため、治りやすいか治りにくいかの判断材料になります。 このような聴取は患者の腰痛を点で探っているように見えます。 どういうことか理解...
原点を知る重要さ 私が好んで優先的に読むタイプの文献は「現在の治療の問題提起をする」か「現在の治療に大きな影響を与えるきっかけを与えた」ものです。 臨床で「こう考える」という思考パターンは大抵の場合どこかに起源があります。 しかし我々が臨床思考する時に使う理論や仮説の原点はしばしば忘れ去られます。 自身の考えを批判的に...