運動量の問題 多くの運動器疾患では治療の過程で運動指導をします。 その目的は機能の向上、スポーツへの早期復帰、再発予防、新たな怪我の予防、痛みの軽減、生活の質の向上、リラクゼーションなど多様です。 痛み治療の文脈では、痛みの軽減や痛みの予防のために使われるケースが多く、臨床家は頻繁に運動療法を使用します。この時疑問とし...
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腰痛の分類と診断ラベル これまで腰痛を含む痛みの分類法はいくつも提唱されてきました。 大まかに見れば解剖学的な分類、期間による分類、病因に基づく分類、体システムに基づく分類、重症度に基づく分類、機能に基づく分類、予後に基づく分類、メカニズムに基づく分類また包括的で多次元的な分類など様々です。 臨床家は何らかの方法で患者...
似非医学の主張に学ぶ 私は似非医学をやっている人がどんな論理展開するのか見るのが好きで、その経験の中で主張にはある程度パターンがあると考えています。 その中で用いられる主張は中々バカにできるものではなく、時に論理的に正しく見えるため主張が正しいと錯覚してしまうのもおかしくないことがあります。これは似非医学をやっている人...
参考可動域の基本 本邦では、日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会・日本足の外科学会が検討してきた関節可動域表示ならびに測定法が一般的によく利用されています。 参考可動域には以下のような注釈があります。 「関節可動域は年齢、性、肢位、個体による変動が大きいので、正常値は定めず参考可動域として記載した。関節可動域...
腰痛における徒手療法に対する認識は医療従事者間でかなり大きな差があります。 中には「徒手療法やる意味ない」という人もいれば、必ず腰痛に徒手療法を使用し徒手療法で慢性腰痛は治せるという人までいます。 基本的にほとんどの慢性腰痛ガイドラインでは「徒手療法を補助として検討できる」としています。 このようなグラデーションの中で...
椎間板は恐怖の対象となっている まず大前提として椎間板以前に「背中は傷つきやすいと思う」人はニュージーランドの調査で89.3%と多く、本邦における調査では2019 年国民生活基礎調査を参照すると、男性では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」、「鼻がつまる ・鼻汁が出る」、女性では「肩こり」が最も高く、次いで...
モンスターペイシェント? Twitterで「モンスターペイシェント」という言葉が少し話題になっていました。この語は理不尽なクレームや要望をしてくる患者に使われます。 臨床では「推奨した運動をしてもらえないのに治らないと文句を言う」「マッサージだけを受けにきていて治療は受けてくれない」患者に対してそう感じてしまうことは仕...
腰方形筋の基礎解剖 腰方形筋の基本的な解剖学(起始・停止・支配神経・作用)は以下のとおりです。 一般的に腰方形筋は腰部の側屈筋として考えられており、伸展作用があると考える人もいます。 腰方形筋が腰痛に寄与するメカニズムを考える時に、腰方形筋の作用や構造を参照することがあると思いますが、しかし論理的な思考、例えばA=Bか...
腰痛治療において運動はよく推奨されている治療の一つです。臨床において苦労するのは運動を推奨した後、患者が実際に運動を遵守することです。運動は運動を習慣的におこなっていない人にとっては日常的に行うのが難しく、時に苦痛です。 さらに難しいのは、慢性腰痛において過度な徒手療法に依存してしまった人へ運動を遵守してもらうことです...
はじめに 抑うつ(Depression)は健康と幸福に寄与する重要な要素であり、昨今痛みにおける抑うつも重要な役割を有していると考えられ注目を集めています。現在では痛みの評価に含めるべきEmotional functioningの一つとされています。 用語解説「痛み」 一般的によく用いられている痛みの定義はIASPによ...