今まで私は度々骨盤矯正の悪性を主張してきました。
そうなってくるとそれを良くないと思う人も当然出てきます。
骨盤矯正は年間100万回(月間約90,500回)以上Google検索され、経済効果が高いと予想されるワードであり、それを商売にしている人も少なくないからです。
そんな訳でツイッター上で骨盤矯正を実践している人と対話することになり、それがLINEやツイッターで大きな反響があったので、偏りや都合良い主張にならないようにツイッターでの対話の全てを公開します。
また私は今まで多くの骨盤矯正信者と対話してきた訳ですが、大雑把に言えば大体骨盤矯正信者と話すときは以下の感じになると思うので、参考になればと思います。
骨盤矯正に苦しむ医療従事者
本題に入る前に骨盤矯正にはこんな悪性があることをご覧下さい。
社会経済的にみれば会社員というのは会社に利益をもたらし、そして会社の指示に従えることが重要です。
雇われである以上、このルールは社会人としての基本原則となりますが、それゆえに会社がニセ医学に傾倒する場合、その会社に所属している人はニセ医学を売ることが優秀であることに悩まされます。
骨盤矯正の普及があまりの広く、深いためこのルールは医療従事者に絶望を与え、真面目にやっている医療従事者の退職理由にもなっています。
そして反対にニセ医学を平気で売れる人が残りやすい仕組みは医療における大きな欠点です。
ことの始まり
いつもの通り私が骨盤矯正に言及しているととこんなコメントが付きました。
水素水の嘘にまみれた広告を真似て、骨盤矯正の宣伝の画像を作ったんです。
これに対して骨盤矯正をやっている人からコメントが来ました。
と思いながら真面目に返信しました。
「変な質問だなー」と言うか「本当にこれを信じたのかな?」なんて思ってたら…
と返信が。
この時点で、あれ?これは攻撃しにきている?と不審に思いましたが、確証が得られないので、「もしかしてこの人骨盤矯正信者か?」と思いweb pageをみにいきました。
そしたら案の定自身の鍼灸接骨院でこのようなメニューを利用していることがわかりました。
あっ...
さらに見てるとTwitterプロフィールにこんな文章が…
難病が治せる…?
ここから骨盤矯正をやる人って大きく分けると「効果ないことを知っていて利益のために売るタイプ」と、「本当に効果を信じてるタイプ」、「効果があるかに関心がないタイプ」がいるのですが、この人は本当に信じているタイプだと推測しました。
さらにプロフィールには以下のように書かれてありました。
あれれーおっかしいぞー(コナン風)と思ったのでとりあえず、話を続けるために感情的になってもらおうと、(冷静だと無視される可能性があるので)
と相手の言葉を使って返信しました。
そうしたら、、、
より正しいてあろうことと間違いではないだろうことには雲泥の差があります
と、ここで以前に何らかの接触があることがわかります。
「間違いじゃない」というのは可能性が0ではないという意味なんです。
例をあげるのなら「私が次のオリンピックに出られるか?」というのは可能性が0ではないので「間違いじゃない」となるのです。現実的にどれだけあり得ないことでも可能性が0でなければ「間違いではない」と言えてしまうのです。
だから間違いじゃないというのはやっていい根拠にはなりませんよって私は返しているのです。
「間違いではないこと」と「より正しいであろうこと」には雲泥の差があります。
どうやら井上先生は「間違っていない施術=良くなる」と思い込んでいる様です。
この主張は確率という概念を無視しています。
例えば効果が出る確率が20% のものと80% のものがあって20% の方を選択 しても 20% の方で効果が出ることはあります。
1人をみているからです
100 人を対象にしたらどうですか ?
可能性があるからを根拠にするのは「可能性に訴える論証」と呼ばれる詭弁です
でこの様に確率を無視して、少しでも可能性があれば良いという主張は「可能性に訴える論証」という代表的な誤謬(ごびゅう:誤りのこと)なんです。だから私は「あなたのは可能性に訴える論証ですよ」と説明しました。
20%と80%の時、無条件で20%を選ぶ理由はありませんからね。
腰痛治療で骨盤矯正をするとして、骨盤を選んだ何らかの理由があるでしょう?
その時、より効果が見込める様な運動療法など他の治療を差し引いてまで、その治療を選択した理由があるか答えられるか?と言う問いに答えることができません。
そしたら案の定、最初に懸念してたことが…
その前に私は「確率の問題です」と言いました。物事には優先順位があると、、、
エビデンスで対応できないからと言って、効果の見込める可能性が少ない方を常に選択する理由にはなりません。
また、「EBMで対応できない」と言う文言からEBMをエビデンスを使うことと勘違いしてそうだったので
EBM は論文やガイドラインに従うというものではなく、あくまでそれをベースに個人に合わせてアプローチするのが EBM です。
【EBM のよくある誤解】
EBM はエビデンスに常に従うというものではありません。
Eベースで個人の経験や患者に合わせてN=1のアプロー チをするのが EBM です。
だから N=1のアプローチの前にエビデンスを知り、その上で個人差を考慮します 。
だから臨床がエビデンスの推奨と異なってもそれは EBM になり得るのです。
EBMを知らない人はエビデンスやガイドラインでは対応できない人が出ると言います。
それは当たり前でだからこそEBMではエビデンスか 時に外れることを容認しています。
しかしそれは常にエビデンスから外れ、自分勝手なことをしていいというものではありません。
これについてはたくさんリツイートいただきました。
その最適解は場合によってエビデンスから逸脱することもある。そして逸脱していると思われていたものが後にエビデンスにもなりうる。とても大事な認識ですね。
エビデンスで証明できないことなんて山ほどあるんだから。
EBM を行う為には、まずエビデンスを知らないといけない
論文に書いてある事が全てではありません
他の要素と合わせて考えて最も適しているものを選択すべきです。
そしたら、
私は一度もガイドラインで良くなるなんて言ってません。説明したことが一歳理解されていません。
言ってないことに対してどうこう言われても困るのです。
さらに…
恐らくずっと私が「ガイドラインから外れてはいけない」と言ったと思い込んでいるのだと思われます。
因みにこのあとのコメントなぜか消えてましたが「えーガイドライン注文しちゃったじゃないですかー」ってコメントがあったと思います。
ガイドラインで良くならない例があるのなら、ガイドラインに従う必要がないと考えているのでしょうか?
(Twitterの形式上返信欄で会話が分岐していたので)ここから別の少し前の時系列に戻ります。
より正しいてあろうことと間違いではないだろうことには雲泥の差があります
と脈絡のないことを言ってきたのでこの時点で会話のキャッチボールは一度なくなった気がします。
さらに、
しないのだとしたらどう言った事をされますか?
参考にさせてもらいたいです
で、私は内心
理学療法士のアプローチ見た事ないし…
「それは理学療法士に聞かないとわからないしなー」「理学療法士のアプローチ見た事ないし…」
なんて思いながら(理学療法士なんて言ったことないのにさっきから思い込みが激しい)
参考にしたいことがあるんだろうなと思い、
ガイドラインを勧めたんです。(参考にするならまずはガイドラインからじゃないですかね?)
で、ガイドラインを勧めると「ガイドラインで治らないものもある」と言われるだろうなあと思ったので、先に
と付け足しておきました。
(先ほど書いた様に実際この後、「ガイドラインで完結してるならもうよくないですか?」って言ってきてますよね。時系列はガイドラインを勧めたのが先なので結局懸念した様に勘違いされてます)
で、私は質問にこの後答えないのですが、それはなぜかというと、
「骨盤矯正をしてない人」の骨盤矯正の定義をいくら決めようが、「骨盤矯正をしている人」の定義がそれと違えば、「私の骨盤矯正はそうじゃない」なんて言われて批判を避けてしまうので、骨盤矯正の議論をするのなら骨盤矯正をする側の定義に従う必要があるからです。
だから骨盤矯正が効果ないって証明するのは相手の土俵に立って話さなければいけないので結構大変だったりします。
しかし骨盤矯正をする人は骨盤矯正が何かを説明しないので、それ自体が骨盤矯正がエセ医学たらしめていると説明しているのです。
そしたら…
しかし骨盤矯正という医学用語はそもそも存在しないので、何かわかっている人など存在せず、各々が信じているものにしたがっているだけなので、そりゃ骨盤矯正をやっている人しか説明できないんです。
実際この後、時系列は飛びますが、この井上先生自体他の院骨盤矯正は何か知らないといいます。
だからさっきから骨盤矯正に定義などないと言ってるんです。
井上先生の骨盤矯正が何か説明できる人は井上先生しかいません。
さらに
って、ほら、骨盤矯正する人は私のは違うっていうんですよ。「私は他とは違う」って
しかも骨盤矯正ってwebページに書いてますしね。(産後の骨盤矯正)
なんで嘘つくんですかね。(2回目)
で、さっきから
結局「○○矯正」と言う言葉が嫌いと言うことでいいですか?
骨盤矯正が具体的にどうするかはわかっていないということでいいですね?
って謎の決めつけをしてくるので
勉強してる人を侮辱して
研究してる人を侮辱して
間違ってることをやってることに一生気付くことなく
よだれを垂らしながら適当に生きていけば良いんじゃないですか ?
と、いいました。
勉強してないって言われたことは気に入らなかった様なので、
勉強しているというのなら肯定する根拠、否定する根拠を挙げることができますよね ?
批判的吟味して骨格矯正を謳ってるんですよね ?
と確認したのです。勉強してるなら当然答えられますよね?と。
普段から井上先生がメインの治療として使っている骨盤矯正です。他の治療をあえて除外してまでやっている骨盤矯正です。わざわざ骨盤矯正を選択するのだから、それを支持する根拠は1つでも言えないわけないですよね?勉強しているのなら。
そしたら…
僕もよその院がどういう事しているか知らないんですよ
僕もよその院がどういう事しているか知らないんですよ
僕もよその院がどういう事しているか知らないんですよ
今あなたの院の話をしてるんですが…「あなたの」って書いたのに…読まれてない…
また
ときました。
確かに常に強い根拠を求めすぎるのは良くないです。エビデンスハラスメントと言うやつです。
しかしながら私は常に科学的根拠を求めているわけではありません。
たった1つでも根拠があるのかを聞いています。
さすがに根拠0ってことはないですよね。
自身のアプローチを完全に正当化できるエビデンスと言うのは基本あり得ないので、エビデンスで全て説明する必要はありません。しかし根拠0は問題ではないですか?
と聞きたかったので、上2つの発言に疑問を投げかけました。
常に根拠が必要なわけではありませんがあなたのは根拠 0 ですよね ?
※あと私も「根拠ない事全くしてませんか?」と言われましたが、基本はガイドラインに基づいてます。
これも想像で相手を下げるために使われる人格攻撃論法とよばれる手段です。
で、彼の骨盤矯正(骨格矯正)が何かがわからないので、予想するしかないと思いいくつか骨格矯正と言われるものを批判できる様な証拠をあげました。
私は挙げました。
あなたは何一つあげてません。
1つでも何かありますか ?
わたしは完全な答えを求めていません
あなたは1つでも挙げることもできないのですか ?
要点をまとめると、
- 腰椎の角度と腰痛の関連は見つかっていない
- 骨盤の非対称性や傾きは腰痛と関連しない
- 骨盤の骨の形は左右で元々違う(ずれているとかではなく元々骨の形自体違う)
あなたは1つでも挙げることもできないのですか?
と書いたら、
これに関しては他の方が説明してくれてます。
この様に「言葉の解釈」を間違える事で相手を非難しているのです。
因みにこの後、井上先生からの返信はありませんでした。
また、井上先生はこの論文に対して「サンプルが30」「死体が対象」とばかにしていましたが、これは骨盤の形態の左右差の話なので検体か生体かはそこまで関係ありませんし(軟部組織ならまだしも骨ですし)
サンプルが30だからといって研究結果は否定されません。(骨盤の傾きの研究だと勘違いしていたと思われます)
で話がこのままでは進まないので
1つでもありますか?
さらにはっきりさせるために
で、これはあるあるなんですが、
「はいかいいえで答えてください」というと「はい」か「いいえ」で返ってきません。
ただ左右差があるよって言うてるだけ。
非対称性があるから矯正の対象?
じゃあ、心臓を右に向けないといけないし、大腸を半時計回りにしないといけないねw
さらに、その前にあげた論文で骨盤の非対称性と腰痛は関係ないと言うのを挙げているので
非対称性はあるしかしそれは症状と関係ない
一向に骨盤の非対称性と腰痛が関連がないという論文を読んでくれません…
後日談
実は、私が返信しなくなってから他の方とこんな会話がありました。
さて、いつになったら根拠を1つでも挙げてくれるのでしょうか?
後日談2
後日談の翌日、ついに井上先生が骨盤矯正の根拠となる論文を見つけてきたみたいです(それまでは探したことなかったのかな?と思いましたがそこは置いときましょう)
で、その論文のリンクを貼らなかったので(なぜかリンクの貼り方がわからないと言ってました。URL貼るだけでいいのに…)
そこに書いてあった文言から井上先生が見たと思われる論文を同定しました。
恐らく↓これですね。
Cheong, Y. C., Smotra, G., & Williams, A. C. (2014). Non-surgical interventions for the management of chronic pelvic pain. The Cochrane database of systematic reviews, (3), CD008797. https://doi.org/10.1002/14651858.CD008797.pub2
より厳密に言えばこのコクランレビュー中で骨盤に対して徒手的にアプローチした研究↓の効果を見て骨盤矯正に効果があると主張されました。
Heyman, J., Ohrvik, J., & Leppert, J. (2006). Distension of painful structures in the treatment for chronic pelvic pain in women. Acta obstetricia et gynecologica Scandinavica, 85(5), 599–603. https://doi.org/10.1080/00016340500495017
この研究で使われた手技がどんな物か言えますか?と聞いたら返事がなかったので、読んでない可能性がありますが、具体的にどんな手技かと言うと、直腸に示指を入れ、骨盤底筋と仙尾関節を後方に押すと言うものでした。
より厳密なやり方は原文をご覧ください。
原文:The treatment was performed by the same physician according to the following procedure. The patient lay in a prone position and the physician placed his index finger deep in the patient's rectum and previously identified painful structures were treated as follows in the given order: At a point two finger‐widths lateral of the sacrum, the physician used his index finger to exert strong pressure against the sacrotuberous/spinal ligaments for 15 s to elicit pain. Thereafter, the musculature of the pelvic floor and the joint between the coccyx and sacrum were concurrently forcefully distended dorsally for 60 s using the index finger. This procedure was repeated after 2–3 weeks.
と言うことは井上先生はこれを骨盤矯正と認識しているのでしょうか?
多分内容を読んでないだけだと思いますが、謎は深まるばかりです。
またこの研究はCPP,に対するものであり、あまり典型的に接骨院でみる疾患・症状ではありません。
編集後記
この騒動?後、たくさんの優しい言葉をもらいました。