梨状筋と坐骨神経の関係【誤解も含めて】

梨状筋部の走行

梨状筋はよく坐骨神経絞扼の原因として挙げられています。
これを梨状筋症候群(Piriformis syndrome)といいます(坐骨神経痛とは異なります)。

この梨状筋と坐骨神経の関係においてしばしば挙げられる構造は、坐骨神経の解剖学的バリエーションです。
梨状筋を通過する際の坐骨神経のバリエーションは6パターン挙げられます。これは1937年にBeatonとAnsonが報告した120例をもとに説明されています[1]。

ここで注意したいのは原文を読むとわかるように、BeatonとAnsonは6パターンは理論上存在すると考えているだけであって彼らは4パターンしか見つけていません。そのため見つけていない2つのタイプについてhypothetical(仮説的な)と説明しています。

2014年の研究では294例をもとにさらなる調査が行われました[2]。ここでは6タイプのうち、5タイプ見つけることができました。しかしTypeⅤは見つからず、分類できないタイプも1.4%見つかりました。

ここで問題となるのはこの解剖学的変異は梨状筋症候群の原因となるか?です。
イラストだけ見て直感的に見ればTypeⅡ・Ⅳ・Ⅴは梨状筋を貫通しているため絞扼しやすいようにみえます。
ここからはこれらの解剖学的変異と梨状筋症候群の関係を調査した研究を紹介します。

 

解剖学的変異は梨状筋症候群の衝撃的な関係

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参考文献
[1]Beaton, L. E., & Anson, B. J. (1937). The relation of the sciatic nerve and of its subdivisions to the piriformis muscle. The Anatomical Record, 70(1), 1–5. https://doi.org/10.1002/ar.1090700102
[2]Natsis, K., Totlis, T., Konstantinidis, G. A., Paraskevas, G., Piagkou, M., & Koebke, J. (2014). Anatomical variations between the sciatic nerve and the piriformis muscle: a contribution to surgical anatomy in piriformis syndrome. Surgical and radiologic anatomy : SRA, 36(3), 273–280. https://doi.org/10.1007/s00276-013-1180-7

 

 

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