五十肩(肩関節周囲炎)の炎症期に痛みが強くて運動ができない人使える運動療法

ここで紹介する五十肩のエクササイズはほとんど推奨しているのを見たことがない種類のエクササイズでありながら、臨床的に使いやすいものとなっています。

またここで紹介するエクササイズはシンプルなため、医療者が運動指導できるまで特別な訓練の必要がなく、患者さんもすぐにやり方を覚えることができます。

はじめに

肩関節周囲炎では可動域制限が日常での問題になることが多く、特に急性期(炎症)では将来的に可動域制限が残存することが強く予想できるため可動域訓練を行いますが激痛を伴うため、肩を大きく動かす運動はできません。
可動域改善のために初期から使われることの多いアプローチはストレッチや振り子運動(コッドマン体操)です。これらの介入は疼痛の少ない範囲で運動を調節しやすく、またリラクセーション要素も含んでいるため、肩関節周囲筋群の緊張を下げる意味でも用いられています。

肩関節周囲炎の運動

運動時に痛みがあってもそれはさらなる損傷であることを示さないため、骨格筋痛のリハビリで痛みの有無は運動量の基準には必ずしもならず、おそらく許容できる運動時の疼痛レベルの平均は疾患によって異なります。
しかし肩関節周囲炎においては運動時の疼痛の有無は経過に大きな影響を与えるかもしれません[2]。

DiercksとStevensは、3ヶ月以上の期間全方向の50%以上の肩甲上腕関節の運動制限を有すると定義された肩関節周囲炎患者77名を、Supervised neglect group(痛みの閾値を超える運動をしないよう指示され、この痛みのない範囲で振り子運動やアクティブな運動を行い、耐えられる範囲ですべての活動を再開する)とPhysical therapy group(痛みの閾値を超えるまでのアクティブエクササイズ、肩甲上腕関節の受動ストレッチとマニピュレーション、ストレッチと最大到達を目的としたホームエクササイズ)に分け、経過を追跡しました。

改善の評価は肩関節周囲炎の典型的なパラメータである痛み、可動域、機能状態を組み合わせて、主観(40%)と客観的(60%)の結果を取り入れたConstant scoreが用いられました。
その結果24ヶ月後にConstant scoreが80%以上の患者はSupervised neglect groupで89%、Physical therapy groupで63%とSupervised neglect groupの方がより改善しているようでした。

そのため痛みの閾値を超える運動のような積極的すぎる介入は経過に悪影響を及ぼす可能性があり、Supervised neglect(可動域を保ちながら見守る)方が優れているようです。

臨床家はしばしばストレッチをする際に、軽い痛みが生じる程度で行ってしまうことがあります。これはストレッチ時の軽度の痛みが人によっては心地良いと感じたり、それを通じたある種のコミュニケーションのように使われます。また痛みの閾値を超えるストレッチ強度により、柔軟性が向上する報告もあるため場合によって利点もあります[3]。
しかし関節周囲炎に関してはそれがマイナスに働くため注意する必要があります。

そこでここでは肩関節周囲炎初期に痛みを引き起こさずできる、しかしほとんど使われているのも見たことがない運動療法を1つ紹介します。

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