肩甲上腕リズムは2:1という固定観念から脱却する

肩甲上腕リズムというと学校では肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きが2:1、度数に言い換えると180度挙上する時に肩甲上腕関節で120度、肩甲胸郭関節で60度動くと習います。

肩甲上腕リズム機能不全により肩甲上腕関節の病変が起こりやすくなる可能性がある仮説に基づき、臨床で肩の挙上時に肩甲骨の可動性が減少、あるいは過剰に動いていないか判断する人もいます。
この解釈は肩甲上腕リズムが2:1であることが正常、2:1でないことが異常と仮定する評価方法です。

しかし全ての条件でこの2:1を適用して良いのか?という疑問が生まれます。
例えば
・屈曲、外転、肩甲平面上の挙上、それぞれの肩甲上腕リズムは同一でしょうか?
肩甲上腕リズムの評価は臨床的には様々な肢位で行われています。伏臥位で行う人もいれば、座位でも立位でも行う人もいます。このような肢位の変換に伴って測りやすい挙上方法が変わるため人によって、屈曲、外転、肩甲平面上の挙上のどれで評価しているかが変わります。

五十肩のような疾患では肩を90度挙上できないこともあるため、この場合より少ない挙上角度で評価することになりますが、挙上はどの角度でも2:1のリズムなのでしょうか?
教科書上では挙上180度の時に肩甲上腕リズムが2:1と習うところが多いと思います。しかし痛みを有する人は挙上180度できないケースがあるため、2:1を当てはめて良いか疑問が生じます。

このような肩甲上腕リズムに関する疑問に対する答えをまとめていきます。
ここで取り扱う疑問は8つです。
・屈曲、外転、肩甲平面上の挙上で肩甲上腕リズムは異なるのか?
・異なる場合、各肩甲上腕リズム比の平均は?
・挙上角度によって肩甲上腕リズムは変わるのか?
・変わる場合、角度ごとのその比率は?
・肩甲上腕リズムは左右差を比べて良いのか?
・脊柱の姿勢の変化で肩甲上腕リズムは変化するのか?
・肩の疾患を有する人の肩甲上腕リズムは変化するか?
・疲労によって肩甲上腕リズムは変化するか?

これを読み終わるとこれらの疑問に答えられるようになります。

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