ふと思ったことを備忘録として書くので考察が足りないかもしれませんが、今朝考えたことを書いていきます。

猫背はしばしば肩こりの原因とされます。
実際に日本整形外科学会のHPにはこのように記載されています[1]。

肩こりに関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉がその中心になります。
(略)
首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。
(略)
特に触診で僧帽筋の圧痛と筋緊張、肩関節可動域や頚椎疾患のチェックなどで診断します。

実際患者自身も猫背は肩こりの原因であると信じていることがよくありますし、一部の医療従事者もそう主張します。

肩こりは「自覚的に頸部, 肩甲上部, 肩甲部, 肩甲間部に不快感, 自発痛, 軽い運動痛があり, 他覚的にはこれらの筋 を触診すると, 異常に緊張し, 特定の部位に圧痛点ないしこりを生じているもの。」とされています[3]。

この定義には賛否あるかもしれませんが、基本的に肩こりは自覚症状です。
検者が触れて硬く感じるとか可動域制限があるというのは肩こりとはいいません。

そのため明確な客観的指標がなく、曖昧さをもった症候であるのが肩こりです。

この曖昧さをもった肩こりについて調べる時に厄介なことは「肩こり」という用語が日本語に独特の表現であり、肩こりの文献に当たろうとする障壁となることです。
英語ではNeck stiffnessやNeck pain、Shoulder stiffnessなど類似した表し方がありますが、これらの研究対象と肩こりが同一ともいえません。
またShoulder stiffnessに関しては拘縮肩[2](いわゆる五十肩)と同一の表記になってしまうため避けるべきでしょう。

ということで肩こりの知見は結構得にくいものとなっています。

そんな肩こりですが、最初に書いたように猫背が原因とされたり、特に僧帽筋が肩こり筋として取り上げられることが多く、僧帽筋の過緊張というワードがよく使われます。
今回はこの「猫背」「僧帽筋の過緊張」「肩こり」に着目した時に生まれる疑問を書いていきます。

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References
[1]https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/stiffed_neck.html 2021/12/10にアクセス
[2]浜田純一郎, et al. "拘縮肩と凍結肩の定義と適正な学術用語." 肩関節 45.1 (2021): 122-126.
[3]佐々木和郎. (1994). 肩凝りの定義およびメカニズム. 全日本鍼灸学会雑誌, 44(4), 361-363.
[4]Caneiro, J. P., O'Sullivan, P., Burnett, A., Barach, A., O'Neil, D., Tveit, O., & Olafsdottir, K. (2010). The influence of different sitting postures on head/neck posture and muscle activity. Manual therapy, 15(1), 54–60. https://doi.org/10.1016/j.math.2009.06.002

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