棘上筋の6つのサブ領域【解剖学】

基礎的な書籍や学校の教科書では棘上筋を肩甲骨棘上窩(supraspinous fossa)から起始して上腕骨大結節に停止する1つの筋として習います。しかし棘上筋はより複雑な構造を持つことが文章化されています。2000年以前から棘上筋は前部繊維(Anterior region)と後部繊維(Posterior region)に分けられており、最近では棘上筋を6つのサブ領域に分けて調査されることも増えてきました。どのように6つのサブ領域に分割されるかを紹介していきます。

前部繊維と後部繊維

6つのサブ領域に分ける前に前部繊維と後部繊維について確認しておきます。大まかに言えば前方の7割を前部繊維が、後方3割を後部繊維が占めています(図1)[1]。

図1.棘上筋前部繊維と後部繊維のイラスト

表1.棘上筋前部繊維と後部繊維のPCSAおよびCSAの違い

棘上筋前部繊維は後部繊維に比べより大きく(図1,2)、 紡錘状構造を持ち、筋内腱があるため棘上筋の収縮力の大部分を担っています。筋のPCSAは前部繊維が約2.5倍大きく(2.45:1)、腱のCSAはPosterior tendonの方が大きい(0.9:1)ことが報告されており、Anterior tendonはPosterior tendonに比べて288%も大きな応力を受けていると推定されています[1]。

臨床現場では画像所見として棘上筋断裂が見られていても筋力低下が生じない例(いわゆるfunctional tears)を見かけることがありますが、前部繊維と後部繊維の構造的な違いにより後部繊維のみ断裂した場合には棘上筋前部繊維や棘下筋が棘上筋後部繊維の作用を補うことで筋力低下が生じない理由の一部を説明できるかもしれません。

 

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