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ここでは足の三角骨の基礎解剖と三角骨症候群の身体所見、介入方法をまとめていきます

足の三角骨(Os trigonum)

足の三角骨(Os trigonum)は距骨後方突起の外側結節が分離したものと考えられている過剰骨で成人の約7%に存在すると推定されています[2]。

足の三角骨

足の三角骨(Os trigonum)

 

三角骨症候群(Os Trigonum Syndrome)

三角骨症候群(Os Trigonum Syndrome)は有痛性三角骨障害(Symptomatic os trigonum)、Talar compression syndrome、Posterior block of the ankle、足関節後方インピンジメント症候群(PAIS:Posterior Ankle Impingement Syndrome)とも呼ばれます。
ただし、足関節後方インピンジメント症候群は三角骨以外にもStieda processや骨折により生じた骨片、石灰化した炎症組織などによって生じます[2]。

三角骨症候群はバレエダンサーやサッカー選手など足関節を頻繁に底屈するアスリートに見られやすく、足関節底屈時のくるみ割り現象(三角骨が他の骨に挟まれる)によって生じると考えられています。運動選手以外に見られることもあるため、非アスリートであるという理由で除外することはできません。
急性で生じることもあり、慢性的な負荷(オーバーユース)で生じることもあります。

足の三角骨くるみ割り現象

足の三角骨くるみ割り現象

身体所見/検査法

足関節後方の深部(特に後外側領域)に疼痛が見られます。
歩行やインステップキック、ポアント動作のように拇趾の屈筋が働く際や足関節の底屈時に痛みが増加します。
圧痛はアキレス腱の前方と距骨の後方の間にみられ、腫れが観察できることもあります。
身体検査として足関節底屈や拇趾の底屈(長母趾屈筋)の抵抗運動で痛みの増強や筋力低下がみられます[1]。
レントゲンでは三角骨を確認することができ、確認できない場合は軟部組織インピンジメントの可能性もあります。

三角骨症候群は足関節捻挫、距骨後突起骨折、アキレス腱付着部症、腓骨筋腱炎、長母指屈筋腱炎、セーバー病、Osteoid osteoma、シェパード骨折とも症状が類似しています。。
また靭帯損傷や長母指屈筋腱炎と併発することもあることに注意が必要です。

保存療法

ほとんどの患者は非外科的介入で改善しますが保存療法で改善が見られない場合は早期の外科的介入が求められます。

保存療法は安静、悪化因子の回避、抗炎症薬、理学療法で構成されます。
急性期にはアイシングやNSAIDsなどによって疼痛をコントロールし、運動の頻度や強度を制限し、テーピングなどにより足関節の底屈や内反を避けます。特に足関節不安定性が見られる場合には固定が重要になると考えられます。

テーピングは下腿内側1/3から外側1/3へ足関節底背屈の運動軸よりも前方に巻くことで底屈を制動することができます。

底屈制動テーピング

長母趾屈筋腱は三角骨の内側に位置しており、三角筋に一定の圧力をかけているため、長母趾屈筋腱を過剰に使用している可能性があり、リラクゼーションや周囲筋のトレーニングをすることもできます。
長期的に症状が継続する場合は安静によるROM制限が大きくなりすぎないように関節可動域訓練も並行して行います。

筋力トレーニングは後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋、腓骨筋群に対して行われます[3]。
これらの筋のトレーニング目的は足関節底屈時に距骨を前方移動させ三角骨のインピンジメントを減少させることです。

References
[1]Karasick, D., & Schweitzer, M. E. (1996). The os trigonum syndrome: imaging features. AJR. American journal of roentgenology, 166(1), 125–129. https://doi.org/10.2214/ajr.166.1.8571860
[2]Cerezal, L., Abascal, F., Canga, A., Pereda, T., García-Valtuille, R., Pérez-Carro, L., & Cruz, A. (2003). MR imaging of ankle impingement syndromes. AJR. American journal of roentgenology, 181(2), 551–559. https://doi.org/10.2214/ajr.181.2.1810551
[3]Albisetti, W., Ometti, M., Pascale, V., & De Bartolomeo, O. (2009). Clinical evaluation and treatment of posterior impingement in dancers. American journal of physical medicine & rehabilitation, 88(5), 349–354. https://doi.org/10.1097/PHM.0b013e31817fa31d

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