徒手療法(Manual Therapy)は現在、筋骨格痛治療における主要な治療法の1つです。

徒手療法は主に経験的に効果的であると考えられており、徒手療法による臨床現象がなぜ起こるのか相反する様々な仮説と論争があります。様々な仮説が立てられていることは明確な理論が存在しないことを意味しますが、徒手療法を行なっている人の中には仮説が実証された理論であると勘違いしている人も多くいます。

徒手療法に関連する仮説は長い年月とともに提唱されてきたため、現在では古くなっているものや科学的でない用語で説明しようとするもの(サブラクセーションや気、エネルギーなど)や一見科学的に妥当に見えるものまであります。それらの多くは現代では好き勝手都合よく利用され、否定された仮説を放棄する人もいれば批判には耳をかさず信じ続ける人もいます。

徒手療法家からみればどの理論が古くなっているか、現在ではどの理論が提唱されているか調べるのはなかなか骨の折れる作業です。「徒手療法の理論」では現在の徒手療法に関連する理論をまとめていきます。

臨床ガイドラインによる推奨もかなりのばらつきがあり、例えば米国、ニュージーランド、デンマーク、フィンランドは急性腰痛に対する脊椎マニピュレーションを推奨しているもののオランダやオーストラリアでは推奨されていません[2]。

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