非特異的慢性腰痛に対するキネシオテーピングvs.理学療法+教育

タム
今回は2021年5月に「BMC. Musculoskelet. Disord.」に掲載されたこの研究を見てみましょうか。
このジャーナルのIFは1.879で、ランクはQ2です。
オープンアクセスなので無料で読むことができます。
▶︎インパクトファクター(IF:Impact Factor):特定の期間において、ある雑誌に掲載された論文が平均的にどれくらい頻繁に引用されているかを示す尺度で、雑誌の影響を表す指標の一つ
▶︎ランク(Rank):同じ分野の中で、当該ジャーナルのIFが全体の何%以内に入るかを示しています。
(Q1=上位25%、Q2=上位26-50%、Q3=上位51-75%、Q4=上位76–100%)

白タム(学生)
えーっと。腰痛に対するテーピングの研究ですか?
骨盤傾斜を修正するためキネシオテーピングの効果を評価する最初のRCT(ランダム化比較試験)と書いてありますね。
RCT(ランダム化比較試験/Randomized controlled trial):介入・治療などを行うこと以外は公平になるように集団を無作為に複数の群に分け、操作の影響・効果を測定し、明らかにするための比較研究です

タム
そうですね。
110人の非特異的慢性腰痛患者を対象に、Medi-Tapingまたは3週間の患者教育と理学療法からなる慢性腰痛の標準治療のどちらかにランダムに割り当てられて3週間の介入を受けています。

白タム(学生)
理学療法っていうのは具体的にどういったことでしょうか?

タム
この研究の懸念点はそこだと思われます。
「理学療法」がどんな内容か説明されていないので比較研究にも関わらず対象群が不明瞭であり、何と比較しているかがほとんどわかりません。
そこに注意しながら見る必要があります。

白タム(学生)
なるほど。

タム
評価基準はいくつかありますね。

白タム(学生)
主な評価基準がVAS・CPGS・ODQで、評価タイミングはベースライン時(t1)、各治療終了後(t2、ベースラインから4週間後)、治療終了から2カ月後のフォローアップ時(t3、ベースラインから3カ月後)に行われたと書いてありますね。
それから、副次的な評価項目は、t2におけるQOL、脊椎の可動性(SS/FTF)、脚長差の変化と、t3におけるすべての変化とも。

タム
そうですね。
それで結局効果としては、治療終了時のグループ間で主なエンドポイントに有意差はなく、QOLはMedi-Taping群で有意に改善したと報告されています。
VASもODQもMCIDの観点から差が報告されませんでした。 
※minimum clinically important differences (MCID):患者における変化が有益であると解釈できる最小の変化値

白タム(学生)
結局、対称群として理学療法が何しているかわからないので解釈が難しいですね。
テーピングが他の治療よりも効果的とも言えませんし。何にと同等であるとも言えないですよね。

タム
そうなっちゃいますね。
また、文献中でも触れられていますが、盲検化も完全ではありません。
患者自身が、Medi-Tapingを受けているのか標準治療を受けているのかを知っていたため、患者側は盲検化されていません。

白タム(学生)
今回の結果から何を得たのでしょうか?

タム
非特異的慢性腰痛に対して多くのガイドラインはテーピングを積極的に勧めていません。
今回の研究から暫定的にはテーピングを用いることで功を奏す例があるかもしれない可能性が示唆されたと思います。
現在は腰痛のサブグループ化が腰痛治療の課題の一つです。
その中でテーピングがより効く群が見つかればより治療が発展すると考えられます。

まとめ

【Patient】
110人の非特異的慢性腰痛患者
【Intervention】
Medi-Tapingまたは3週間の患者教育と理学療法からなる慢性腰痛の標準治療のどちらかにランダムに割り当てられた
【Outcomes】
主な評価基準はVAS・CPGS・ODQで、評価タイミングはベースライン時(t1)、各治療終了後(t2、ベースラインから4週間後)、治療終了から2カ月後のフォローアップ時(t3、ベースラインから3カ月後)に行われた。
副次的な評価項目は、t2におけるQOL、脊椎の可動性(SS/FTF)、脚長差の変化と、t3におけるすべての変化。
治療終了時のグループ間で主なエンドポイントに有意差はなかったがQOLはMedi-Taping群で有意に改善した。

【対象群について】
「標準的な理学療法」がどんな内容か説明されておらず、対象群が不明瞭。
【盲検化について】
患者自身が、Medi-Tapingを受けているのか標準治療を受けているのかを知っていたため、患者側は盲検化されてない。患者は、盲検を維持するために受けた治療に関する情報を検者に明かさないように求められ、t2とt3での臨床検査は、患者と対話しておらず、治療の割り当てを知らされていない訓練を受けた検者によって行われたため、検者は盲検化されている。ランダム化は乱数ジェネレーターを使用して実行され、ブラインドされている。
【結論】
Medi-Tapingが治療に使える可能性があると多少楽観的に捉えることができるかもしれないが、有効性については未だ不明瞭。

参考文献

・Schmidt S, Wölfle N, Schultz C, Sielmann D, Huber R, Walach H. Assessment of a taping method combined with manual therapy as a treatment of non-specific chronic low back pain - a randomized controlled trial. BMC Musculoskelet Disord. 2021 May 4;22(1):410. doi: 10.1186/s12891-021-04236-2. PMID: 33947367; PMCID: PMC8094483.

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