前斜角筋の基礎解剖学
<前方から見た前斜角筋>
<外方から見た前斜角筋>
名称 | 前斜角筋(ぜんしゃかくきん) |
英語表記 | Anterior scalene muscle |
略称 | ASM |
起始 | 第3-6頚椎横突起(Transverse process)の前結節(anterior tubercle) |
停止 | 第1肋骨の前斜角筋結節(scalene tubercle) |
支配神経 | 脊髄神経前枝 |
神経根/分節 | C4-C6 |
作用 | 片側性収縮:頸椎同側側屈、(対側回旋)、第1肋骨の挙上 両側性収縮:頸椎屈曲 |
血液供給 | 下甲状腺動脈(inferior thyroid artery) |
<前斜角筋(動画)>
<前斜角筋の起始停止(動画)>
前斜角筋の起始
前斜角筋は第3-6頚椎横突起(Transverse process)の前結節(anterior tubercle)から起始しています。
この腱は頭長筋腱(longus capitis muscle)の端と接しています[1]。
この腱は頭長筋腱(longus capitis muscle)の端と接しています[1]。
前斜角筋の停止
前結節から前外下方へと走行した前斜角筋は第1肋骨上面内側にある前斜角筋結節(scalene tubercle)に付着します。
前斜角筋の停止部の周囲構造
前斜角筋は中斜角筋の前方に停止しています。
外側には前鋸筋の停止部があり、前方には鎖骨下筋の付着部があります。
外側には前鋸筋の停止部があり、前方には鎖骨下筋の付着部があります。
前斜角筋の作用
前斜角筋は片側性収縮と両側性収縮で作用が異なります。
片側性収縮では頸椎同側側屈と第1肋骨の挙上作用があり、対側回旋作用があるかは意見が分かれています。
両側性収縮では頸椎を屈曲します。
<頸椎同側側屈作用(右前斜角筋)>
<頸椎対側回旋作用(右前斜角筋)>
<頸椎屈曲作用>
前斜角筋の作用に関連した可動域検査
<頸椎側屈>
参考可動域 | 基本軸 | 移動軸 | 測定肢位および注意点 | 参考図 |
0-50° | 第7頚椎棘突起と第1仙椎の棘突起を結ぶ線 | 頭頂と第7頚椎棘突起を結ぶ線 | 体幹の背面で行う 腰かけ座位とする |
<頸椎回旋>
参考可動域 | 基本軸 | 移動軸 | 測定肢位および注意点 | 参考図 |
0-60° | 両側の肩峰を結ぶ線への垂直線 | 鼻梁と後頭結節を結ぶ線 | 腰かけ座位で行う |
<頸椎屈曲>
参考可動域 | 基本軸 | 移動軸 | 測定肢位および注意点 | 参考図 |
0-60° | 肩峰を通る床への垂直線 | 外耳孔と頸頂を結ぶ線 | 頭部体幹の側面で行う 原則として腰かけ座位と する |
斜角筋隙
斜角筋隙は前斜角筋・中斜角筋・第1肋骨で構成され、腕神経叢と鎖骨下動脈が通過します。
<斜角筋隙>
<斜角筋隙を通過する腕神経叢>
<後頸三角から見た斜角筋隙>
参考文献
[1]Sinnatamby, C. S. (2011). Last’s anatomy: Regional and Applied. Churchill Livingstone.