腰痛まとめ
どのような腰痛の定義が一般的に用いられていますか?
腰痛の定義にはばらつきがあります。参照する文献によって定義が異なることがあるため、自身の知りたい情報と腰痛の定義を照らし合わせることが重要です。
腰痛の定義について知る
Koesら(2006)によれば腰痛は「一般的に肋骨縁の下方から殿溝下端の上方にかけて局在する疼痛,筋緊張,あるいは硬直であり,下肢疼痛を伴う場合と伴わない場合がある」と定義され、Hoyら(2014)は腰痛を「活動を制限を伴う腰痛で、少なくとも1日持続するもの. 腰は、身体の後面における第12肋骨下縁から殿溝下端までの領域」と定義しました。参考文献
[1]Koes, B. W., van Tulder, M. W., & Thomas, S. (2006). Diagnosis and treatment of low back pain. BMJ (Clinical research ed.), 332(7555), 1430–1434. https://doi.org/10.1136/bmj.332.7555.1430
[2]Hoy, D., March, L., Brooks, P., Blyth, F., Woolf, A., Bain, C., Williams, G., Smith, E., Vos, T., Barendregt, J., Murray, C., Burstein, R., & Buchbinder, R. (2014). The global burden of low back pain: estimates from the Global Burden of Disease 2010 study. Annals of the rheumatic diseases, 73(6), 968–974. https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2013-204428
本邦で用いられる腰痛の定義は?
本邦で臨床に携わるのであれば、本邦で用いられやすい定義を覚えておくことで医学情報のコミュニケーションエラーを抑えることができます。
日本のガイドラインで用いられている腰痛の定義
腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版では腰痛を「体幹後面に存在し第12肋骨と殿溝下端の間にある少なくとも1日以上継続する痛み」と定義しています[1]。
この定義は世界の疾病負担(Global Burden of Disease:GBD)の定めた定義に基づくいており、「1日以上継続する」を付け加えることで軽度の腰痛が除外され有病率が変化するため注意する必要があります。
(旧版)腰痛診療ガイドライン 2012では「腰痛の定義で確立したものはない. しかし主に疼痛部位, 発症からの有症期間, 原因などにより定義される. 一般的には, 触知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域に位置する疼痛と定義される.」と記述されていました。参考文献
[1]日本整形外科学会診療ガイドライン委員会,腰痛診療ガイドライン策定委員会編(2019). 腰痛診療ガイドライン2019. 南江堂