「体幹の安定性」というワードが流行ってから、久しいです。
因みに「体幹の安定性」は英語ではCore Stability(CS)やTrunk Stability、Spine stabilityと呼ばれますね。
歴史的にみれば「体幹の安定性」は1980~1990年代頃に提唱された概念/仮説なので、30年ほどの歴史があります。
この歴史の中で「体幹の安定性」は、様々な派生した理論を持ち、体幹の安定性と言ってもこの言葉に包含されている意味合いは多数あります。
現在では、「体幹の安定性」は信念として、医療従事者を越えて多くの人に認識されています。
この信念の広がりを意味する様に、スポーツ現場にいけば必ずと言っていいほど、「体幹」というワードが出て、腰痛のような痛みがある人は体幹が弱いというラベルが貼られる様子をよく見かけます。
特に理学療法士をはじめとする医療従事者はこのような表現を、明確な根拠がないにもかかわらず好む傾向があります[Synnott A at al.2015]。
体幹に関する全ては仮説であることに認識が、不要で不適切な信念を無駄に形成しないために必要です。
もちろんこれは体幹の安定性という視点が誤っているという意味にはなりません。
ただ仮説の割にはかなり広まってしまい、信じられてしまっているような印象があるのは確かです。
Core stabilityの理論で厄介なのは、さまざまな理論が提唱されており、定義すら一貫していないため、ふわっとしたものとなって捉え所がないようにすら感じるところです。
一応core stabilityは大きく、Mechanical stability(直訳で機械的安定性)とControl stability(直訳で制御的安定性)に分かれています[Reeves NP et al.2019]。
どこからcore stabilityを見始めるか悩ましいですが、恐らく最もメジャーなMcGillとMcGill’s Big 3あたりからみていこうかと思います。
McGillといえば、米軍の体力測定で使われている「腹筋は時代遅れであるだけでなく腰痛の原因になっている」というようなことを言って話題になっていたことが久しいですし(2015年のことだと思われます)、Coreと言えばMcGillという人も多いと思います。
それをきっかけに、多くの人が腹筋運動はダメ!と言い始めたのも印象深いです。(因みに私も意気揚々と患者に話していた思い出があり、今では反省して言わないようにしています)
そのMcGillが脊柱への負荷と運動を最小限に抑えることができるコアエクササイズとして推奨しているのが、「McGill’s Big 3」と呼ばれるエクササイズ(McGill Curl-Up、Side Plank、Bird-Dog)ですね。体幹トレーニングのビッグ3なんて言われたりもしています。(下動画参照)