姿勢と腰痛(プレゼント用)

姿勢と腰痛の関係は医療従事者や腰痛を持つ患者にとって強い興味の対象であり、96%の人が、特に非特異的腰痛持ちの人の98%が腰痛管理には座位姿勢が重要であると考えており、頻繁に腰痛への介入手段として用いられています[O'Sullivan K et al.,2013][Stéphane P et al.,2005]。

腰痛は病院を訪れる理由としては感冒の次に多く、特に慢性腰痛は高い医療費に関連しており、それだけでなく、腰痛を媒介した産性の低下や早期退職などの間接的なコストが腰痛による医療費のコストを超えてしまう可能性が指摘されています[Dagenais S et al.,2008]。
これは腰痛が障害(人にとって正常と見なされる活動を実行する能力の制限)の原因の第一位であることからも妥当だと思われます[GBD 2015 Disease and Injury Incidence and Prevalence Collaborators.2016]。

座りがちな仕事(座業:Sedentariness)をしている人は休日よりも長い時間座位姿勢を維持しており、1日約10時間を座位で過ごしています[McCrady SK et al.,2009]。座りがちなと運動不足は同義ではありませんが、座りがちな仕事をしている人は立位や歩行時間が少ないため運動不足になっている可能性は十分あります。

臨床的にみても姿勢と腰痛の関連はよく話され、腰痛のための姿勢の分析ツールも用いられており、しばしば患者は自身の腰痛が姿勢の悪さによって生じていると信じており、医療従事者の姿勢と腰痛を関連づける説明を論理的だと感じており、理学療法士の87.5%は腰を守るためには正しい姿勢が重要であることが真であるまたはおそらく真であると考えています[Guillaume C et al.,2021]。

しかし
このような医療従事者の信念は「役に立たない信念(Unhelpful belief)※」と苦言を呈されており、役に立たない信念は医療従事者の臨床に大きな影響を与えてしまいます[Gardner T et al.,2017][Synnott A et al.,2015][Guillaume C et al.,2021]。

役に立たない信念と呼ばれる理由は本記事を通して説明します。

※信念とは「真実または現実として受け入れるもの」であり、常に合理的であるとは限らず、矛盾することがあります[Caneiro JP et al.,2021]。

歴史的に姿勢と腰痛の関係は、プロフェッショナルの根拠が不十分な"意見書"に基づいており、姿勢検査や姿勢の捉え方についてはいくつかの進歩があるものの、根本的な「姿勢が腰痛を引き起こす」という意見は臨床的に無批判に受けいれられている様子は頻繁にみかけます。

しばしばこのような不確定すぎる要素を腰痛の原因として断定するのは、何かを特定することから来る満足感あるいは何かを理解したという「あは」感覚(Aha feeling)のために、あるいはアイデアが正しい、あるいは価値があると即座に感じるインサイト(Insights)を得るために、このようなラベルは強調されており、意味のないものに「意味づけ」がされていることが見られるように感じます。

このような原因の断定の裏付けは「もしも」「多分」「私の経験では」に依存しており、過剰な使用は医学的にはほとんどメリットがない中で医療従事者が快感を得るためだけのツールに成り下がっている可能性があります。

ここから脱却し、主観的なエゴな介入ではなく、客観的に説得力のある介入を行うためには第三者が納得する理由が説明できるとベストです。

ここでの姿勢の話は側弯症や圧迫骨折などの明らかな病理に基づくHyphosisなどについては触れず、臨床家や患者自身が臨床的に判断している不良姿勢の問題について触れていきます。

問題1:不良姿勢とは?

姿勢について理解する上で、姿勢とは何か?を考える必要があります。また異常な姿勢/不良姿勢(Faulty posture)という評価が存在する以上、正常な姿勢(Correct posture)または理想的な姿勢(Ideal posture)が存在しており、正常とは何か?についても考える必要があります。

多くの場合、異常な姿勢は、解剖学的に異常に"みえる"主観によって判断されており、異常とする理由は歴史的に異常な姿勢が腰痛の原因になっているという説を、根拠なく信じていることに依存しています。
姿勢と腰痛を考える際は、歴史的に提案されてきた姿勢と腰痛の関係は事実に基づいたものではなく、1つの「意見書」であるという認識が必要です。

姿勢評価されている時の姿勢とは、静的姿勢(Static posture)で、ある瞬間の身体の相対的な状態のことであり、別の言い方をすればその時点での各関節の位置の合成と言えます。

この合成という認識も姿勢へのアプローチによく用いられており、特定の関節の状態が他の関節に影響を与えると考えられます。

また正常な姿勢(Correct posture)と理想的な姿勢(Ideal posture)は同義語ではないと思われます。
というのも理想的な姿勢(Ideal posture)は特定の決まった姿勢に対して用いられており、典型的には外側から立位をみた時には、耳孔、肩峰、股関節、パテラ後方、外果を通過する直線が見られる姿勢、後方から立位をみた場合は耳たぶの高さが肩の高さ、肩甲骨下角の高さ、骨盤の高さが左右一致する姿勢を指しており、正常な姿勢(Correct posture)は各関節にかかるストレスが最小限になる姿勢のことを指しています。

一般用語としてよく用いられる良い姿勢(Good posture)はどちらも包含している用語だと思われます

姿勢検査は皮膚の上からみた曲線や一部のみつけやすいランドマークを指標に行われます。皮膚などの組織を透過させ脊柱にフォーカスした場合は、腰部ではわずかに前弯し、胸部ではわずかに後弯している状態がより良い姿勢として扱われます。
姿勢検査の指標がいくつかあるということは、研究や臨床、患者がみようとしている姿勢が同一の基準か判断することは困難です。

研究ではレントゲンやMRIを用いて姿勢を評価する方法や、皮膚表面にマーカーを置きトラッキングして評価する方法が用いられています[Mörl F et al.,2006]。

座位姿勢に関しても同様に良い姿勢という言葉が用いられていますが、どのような姿勢がより良いのか立位ほど語られていません。1950年代から2000年にはより良い座位姿勢の学派は2つに分かれており、円背姿勢の方が害が少ない派と腰椎前弯の方が害が少ない派に分かれていました[Pynt J et al.,2008]。臨床的には立位の理想的な姿勢をそのまま座位に適応し、腰椎前弯してもらう様子を頻繁に見かけます。
先進国では多くの仕事が長時間の座位姿勢で行われているため、座位姿勢とそれによる疾患(Sitting disease:死亡率、肥満、高血圧、2型糖尿病のリスク上昇、メタボリックシンドロームなど)[Plotnikoff R et al.,2012]も大きな関心を持たれており、腰痛ではない観点から立位よりも座位の方が体に悪いと言われていることもあります。

不良姿勢が腰痛を引き起こす根拠として、1966年のNachemsonの研究が持ち出されることがあります。Nachemsonは姿勢毎の椎間板内圧の差を調査しました。この研究は腰痛関連の情報で頻繁に引用されており、屈曲姿勢が悪であるという認識が広まっています。しかし組織負荷という観点でみれば、いわゆる良い姿勢は不良姿勢として知られているSway back postureよりも高い多裂筋、内腹斜筋、胸部脊柱起立筋の活動が見られます[O'Sullivan PB et al.,2002]。座位姿勢でもニュートラルな腰椎姿勢では腰椎多裂筋が活性化されます[O'Sullivan PB et al.,2006]。

また座位による椎間板内圧の上昇は腰痛を引き起こす原因にはならないという報告もあり[Claus A et al.,2008]、このことから1つの研究を引用し、どこか一つの組織に限定して負荷がかかると言ってしまうと全ての姿勢が体にとって害であると説明できてしまうため、このような説明は根拠とならず不適切です。
(少し前のPTか柔整の国試では以上のような問題が出て不適切問題として処理されていました)

つまり姿勢と腰痛の関係をどこかの組織負荷に当てはめようとするとトレードオフ(何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない関係のこと)になります。

良い姿勢の認識に関しては「脊椎全体、特に腰椎に最適な姿勢を選択してください」という質問に対して、医療従事者でない人は下図の⑨の姿勢が最も良いと考えている割合が52%と高く、次いで②が19%、次いで⑤が12%と多く選ばれました[O'Sullivan K et al.,2013]。

医療従事者に同じ質問をすると最も良い姿勢として、姿勢⑨を選択する人が54.9%、姿勢⑤を選択する人が30.5%でした。[O'Sullivan K et al.,2012]。医療従事者の場合は姿勢②は5.4%とほとんど選ばれませんでした。

総合的にみて、姿勢⑨のような主に腰椎が前弯し、胸椎がリラックスする比較的ニュートラルな姿勢が良いと考えられる傾向があります。

暫定的に良い姿勢とは、明確な根拠はありませんが、脊柱の教科書上のS字カーブに近いもので、過度な弯曲もしていない場合に用いられているようです。

問題3:姿勢が問題なのか?

より直立した姿勢を好む医療従事者は、腰痛についてより否定的な信念を持っている可能性があります。
なぜなら、腰痛患者の機械的負荷に対する腰部の脆弱性を認識が直立姿勢を好むきっかけになり得るからです。

86.1%の理学療法士が腰を支えるために強い筋肉を持つことが重要だと考えている[Guillaume C et al.,2021]ことは医療従事者が腰部が弱い構造物であるという認識を強く反映しているかもしれません。

腰痛は機械的負荷とあまりにも無理やり関連づけされる傾向があり、腰痛の原因を姿勢や構造、生体力学で説明しようとすることをPSB model※と呼ばれています[Lederman E,2011]。
※PSBは姿勢構造生体力学(Postural-structural-biomechanical)の略です。

この文献では①10代の脊椎非対称性、胸椎後彎症、腰椎前彎症と、成人期に発症する腰痛との間には関連がない。②妊娠中の脊柱前弯、矢状面での明らかな骨盤の前傾増加は背部痛との関連性はない。③成人では、側弯症と同様に腰椎前彎の程度は背部痛との関連を示さない。④骨盤傾斜/非対称性、外側仙骨底角との腰痛との間に相関はない。⑤長時間の立位、屈曲、捻転、ぎこちない姿勢(ひざまずいたりしゃがんだりすること)、仕事中の座位姿勢、長時間の座位と休憩中のような姿勢を含む、仕事と関係した姿勢と腰痛の間の関連性がないことを根拠に腰痛と姿勢を関連づけることの妥当性のなさを指摘しています。

また健常者、妊娠中の人、腰痛持ちの人で、腰椎胸椎の曲線と骨盤の傾きに差はなく[Bullock-Saxton J et al.,1993]、15-16歳の人では38%が時々腰痛があると回答しましたが、姿勢と関連はありませんでした[Widhe T,2001]。

しかしながら、長時間の立ち仕事が腰痛の発生率を上昇させることが報告されています[Messing K et al.,2013][Andersen JH et al.,2007][Roelen CA et al.,2008]。また過去1年以内にLBPの既往歴がない被験者であっても2時間の立位で4つのタスクを行ってもらうと71%(17名)が腰痛を実感しました[Marshall PW et al.,2011]。
立位と腰痛の関係性は明確ではありませんが、立位時に一過性の腰痛を引き起こす人は3年間以内の腰痛の発症率が35.3%対23.1%で高いという縦断研究があります[Nelson-Wong E et al.,2014]。
また長時間の座位姿勢が腰痛を引き起こす報告があります[Williams MM et al.,1999][Hartvigsen J et al.,2003][Roelen CA et al.,2008]。

総合的にみて、座位と腰痛の因果関係を調査するために行われたシステマティックレビューでは職業上の座位と腰痛との間に関連性がなく、一時性もないことを示唆する強力で一貫した証拠と、用量反応関係もないという中程度の証拠が示されました[Roffey DM et al.,2010]。

また脊柱の湾曲と腰痛の関係は、因果関係が指示されておらず[Christensen ST et al.,2008]、不明瞭な関係にあります。
注意したいことは因果関係が証明されてないだけで、因果関係が存在しないと証明されたという意味ではありません。

なぜなら姿勢と腰痛の関係はWash-out effect(ある患者の知見が、別の患者の反対の知見によって洗い流されること)によって関連が見つけにくくなりやすいため、あらゆる種類の腰痛を姿勢と個別に調査した場合は関連が強く見つかる可能性があり、以上の研究から明確に姿勢と腰痛の関連はないと判断することはできません。どのような姿勢が最適かは、いまだに分かっていませんし、姿勢が重要ではない可能性もありますが、どの姿勢が最適だと思われているかについてはある程度傾向があります。

座っているだけでは問題ではないかもしれませんが、腰痛にプラスしてトラクターの運転のような全身振動(WBV:whole body vibration)や、前屈みな姿勢や体を捻った姿勢のようなぎこちない/厄介な姿勢(Awkward posture)と呼ばれる要素が組み合わさることで腰痛のリスクは上昇します[Lis AM et al.,2007]。ただし、WBVやAwkward postureは座位でなくても腰痛と関連しているため、解釈には注意が必要です。

現時点での姿勢と腰痛の解釈は、座位でも立位でも関連は明らかではなく、ないともあるとも言えないというものです。
また同一姿勢の保持自体も腰痛の原因とされることがありますが、これも明らかではありません。

少なくとも単一の原因ではない可能性があり、複数の要因が組み合わさっていると考えるほうが自然だと思われます。

2019年にはさらにシステマティックレビューのシステマティックレビューが行われ、脊柱の湾曲においても、長時間の立位姿勢においても、長時間の座位姿勢においても、これまでの報告は矛盾がみられ因果関係が説明されていません[Swain CTV et al.,2019]。

また腰痛を持っている人は筋活動が一般的に大きくなることは報告されていますが、座位により一過性の腰痛を発症する患者の腰部の筋活動を観察した研究では、一過性の腰痛が起こる人、起こらない人に差がないことが分かりました[Greene RD et al.,2019]。

問題4:姿勢検査はスナップショットです

不良姿勢が問題視される理由は、習慣に姿勢が悪いことによって組織に継続的に負荷がかかり続けると想定されているからです。
全ての人はどこかの瞬間では正しい(と呼ばれている)姿勢を維持していません。正しい姿勢を維持するには、強く、持続性があり、柔軟性があり、環境の変化に簡単に適応できる非現実的な能力が必要です。

姿勢検査で評価される姿勢は大抵の場合、スナップショット(全体の中のある時点)に限定されます。

この問題に着目して、反復的な直立姿勢によって姿勢が変化していくか調査されました。結果は無症候性の非運動選手では被験者の51%が6回の反復立位で10〜20%の腰椎前弯の変動を示し、29%がさらに20%を超える変動を示しました。仙骨の傾きは、すべての無症候性の被験者の53%が、20%を超える変動を示し、31%が30%を超える変動を示しました[Schmidt H et al.,2018]。

著者らはこの理由を、最初の測定では被験者が自分が何を要求されているのかを考えすぎてしまい、通常とは異なる姿勢をとってしまうのではないかと考えています。

これに関連してn=1で検証してみました。

被験者に検証の目的を伝えず、姿勢を2回撮影しました。1回目と2回目の間は5分あけました。撮影と撮影の間はストレッチや筋トレなどの影響が出そうなことはせず自由に過ごしてもらいました。
結果は地面からの垂線に対する肩峰-耳孔間角度が約10°変化しました。

問題5:なじみ深いものほど信じやすい

Lordosis(前弯症)は頸椎や腰椎の前弯が大きくなっている場合に用いられます。LordosisはHyper-lordosis、Sway backに分けられます。
Kyphosis(後弯症)は脊柱や特に胸椎の後弯が大きくなっている場合に用いられます。KyphosisはFlat back、Hump back、Round backに分けられます。Hump backは、胸椎に局所的な後弯がみられますが、一般的に骨折や病変の結果としての構造的な変形であるためここではピックしません。

【Hyper-lordosis posture】
Hyper-lordosis postureまたはExaggerated lordosis posture、あるいは筋力が強い人に見られるMilitary back postureと呼ばれる姿勢は骨盤が前傾し、脊柱前弯が増加し、膝が過伸展し、足関節がわずかに底屈している傾向があるとされています。
これに合わせて、前腹部・多裂筋・回旋筋・僧帽筋中部繊維/下部繊維・ハムストリングス・菱形筋・頸部/胸部脊柱起立筋
・舌骨筋が弱いあるいは長いと表現され、臨床的な介入の根拠に用いられます。
反対に、腰部脊柱起立筋・股関節屈筋・僧帽筋上部繊維・大胸筋・小胸筋・肩甲挙筋・胸鎖乳突筋・斜角筋・後頭下筋は強いまたは短いと表現されます[Robertson JA et al.,1984]。

【Sway back posture】
Sway back postureは胸腰椎のLordosis postureです。

骨盤と股関節が前方移動しているのが特徴です。腰部下部はFlatで骨盤はニュートラルまたは後傾位にあります。股関節と膝関節は過伸展位にあります。
これに合わせて、股関節屈筋、外腹斜筋、下部胸椎の伸筋、下腹部筋、頸部屈筋は弱いあるいは長いと表現され、反対にハムストリングス・股関節伸筋・内腹斜筋上部線維・内肋間筋・腰部の筋は強いまたは短いと表現されます。特に腰部の筋は短いが強くないとも言われます。

【Round back posture】
Round backは胸腰部が後弯しており、腰椎のカーブが減少していることが特徴です。

頚椎は過伸展し、頭部は前方移動し体の最も前方に位置しています。肩甲骨は外転していることがあり胸椎は後弯し、膝は過伸展しています。
この姿勢では頸部屈筋、上部の脊柱起立筋、外腹斜筋が弱いあるいは長いと表現されています。肩甲骨が外転している場合には、僧帽筋の中部下部繊維と胸椎の脊柱起立筋、菱形筋も弱いあるいは長いと表現されます。
反対に頸部伸筋、股関節屈筋が強いまたは短いと表現され、肩甲骨が外転している場合は、前鋸筋、大胸筋、小胸筋、僧帽筋上部繊維、肩甲挙筋、上腹部の筋、肋間筋が強いまたは短いと表現されます。

【Flat back posture】
Flat backは骨盤後傾に伴った脊柱前弯の喪失です。股関節と膝関節が過伸展で、胸椎上部は屈曲が増加し、頭部は前方移動します。
この姿勢では股関節屈筋、腰椎伸筋、多裂筋、回旋筋、肩甲骨外転筋、肋間筋の前方が弱いあるいは長いと表現されています。
反対にハムストリングス、腹部の筋、股関節伸筋、肩甲骨内転筋、胸部の脊柱起立筋は強いまたは短いと表現されます。

【Kypholordotic Posture/Kyphosis lordosis posture】
Kypholordotic PostureあるいはKyphosis lordosis postureはLordosisとKyphosisが組み合わさった姿勢です。
頸椎は過伸展しており、頭部は前方移動しています。肩甲骨は外転していることがあり、腰椎前弯の増加、胸椎後弯の増加、骨盤前傾、股関節屈曲、膝過伸展しています。
この姿勢では頸部屈筋、上部脊柱起立筋、外腹斜筋、僧帽筋の中部下部繊維、胸部脊柱起立筋が弱いあるいは長いと表現されています。
反対に頸部伸筋、股関節屈筋、前鋸筋、大胸筋。小胸筋、僧帽筋上部、肋間筋が強いまたは短いと表現されます。

この理論に基づいた介入は臨床上頻繁に見られ、典型的には、骨盤が後傾していると判断された患者に対してハムストリングスのストレッチングをするといったものがあります。

Postural Syndromesというアイディアも姿勢と腰痛の関係を強固にするものとなっています。
Postural Syndromesで上部交差性症候群(Upper Crossed Syndrome)と下部交差性症候群(Lower Crossed Syndrome)があり、特に腰痛の原因として下部交差性症候群が臨床的にはしばしばに用いられています。

下部交差性症候群はデスクワーカーに典型的に見られると考えられています。
下部交差性症候群では大腰筋、腰部脊柱起立筋、股関節内転筋はTight-short musclesと呼ばれ、股関節伸筋、腹筋群、大殿筋、中殿筋、小殿筋はWeak-long musclesと呼ばれています。

介入はこれらの筋に対して、MMTや筋長検査、触擦などを組み合わせて行い陽性と判断された場合は、エクササイズやストレッチ、徒手介入を用いた治療対象となるという一見論理的にも見える手段が基本的に用いられています。

また、体をブロック化して単純化する手段も歴史的に用いられてきました(下図参照)。

このダルマ落としのように観察する方法を用いている人は姿勢が下から崩れるため、姿勢を変化させるには下から介入するという考えを持っており、キネティックチェーン(運動連鎖)を用いた理論もこれに類似しています。
これはインソールや骨盤矯正によって姿勢を変えるという考えにつながったと思われます。

さらに最近になると、筋膜のブーム、アナトミートレインのブームにより筋組織だけでは姿勢を説明できない認識は広まり、連結した組織でも姿勢への影響を考えられることが増えました。
典型例は大腿筋膜張筋と腸脛靭帯は膝蓋骨を外方に牽引すると考えられていますが、アナトミートレインのように大腿筋膜張筋-腸脛靭帯-前脛骨筋(スパイラルライン)の連結の収縮は膝蓋骨を中心とした膝部への作用が発生し、内方への作用を引き起こすと考えたりします。

類似した考え方は以前からもあり、広背筋-胸背筋膜-反対側の大殿筋で構成されるPOS(Posterior Oblique System)、外腹斜筋-内腹斜筋-前腹部筋膜-反対側の内転筋で構成されるAOS(Anterior Oblique System)、中殿筋-小殿筋-反対側の内転筋で構成されるLS(Lateral System)、脊柱起立筋-胸背筋膜(深部)-仙結節靭帯-大腿二頭筋から構成されるDLS(Deep Longitudial System)の4つがAnatomy Slingとして知られています。

しかしながら、このような進歩の問題点は前提である、「不良姿勢が腰痛を引き起こす」が仮説のまま進んでいることであり、いつのまにか仮説は真であると思い込まれるようになってしまうことです。

この仮説が真実であろうがなかろうがなんども医療従事者の間で伝えられるほど、真理の錯誤効果 (Illusory truth effect)が生じ、正しいと考えられるようになります。真理の錯誤効果の根底には自分のなじみ深いものを信じやすいことや理解しやすいことが正しいと思いやすいことがあります。

現在の姿勢と腰痛に関するあらゆる理論を視覚化すると以下のように展開されています。

問題6:Over-medicalisation

さらに理想的な姿勢以外のすべての姿勢を異常とラベリングしてしまい、これはつまり姿勢のOver testing(過剰検査)とも言え、Over treatment(過剰治療)の原因となり、解決するまで問題視され続ける過度な医療化(Over-medicalisation)の原因となります。

腰痛がある場合には、腰痛がある人を見た時よりも姿勢を過剰に異常なものと認識する可能性は十分あり、このように痛みがある患者を見る際には、痛みがない患者を見る時よりも、身体所見を異常と見做しやすいことが肩の研究で報告されています[Plummer HA et al.,2017]。

Over testingは、無症状の患者に推奨されないスクリーニング検査を行うことや症状のある患者を診断するために必要以上の検査を行うことを意味し、①多くの検査を行うことで不顕性疾患の発見に役立つと考えている、②防衛医療、③知識や自信のなさ、④患者さんの期待、⑤利益を求めることによって行われると考えられています[Greenberg J et al.,2013]。
特に腰痛は多因子であると考えられることがあり、明らかな疼痛の維持因子が見つからないため「多くの検査を行うことで不顕性疾患の発見」のために姿勢検査が用いられている背景があるかと思われます。
また患者の多くが、姿勢が重要であると考えていることから、もはや医療ではなく、「患者の信頼を得る」ためだけの不適切なツールとして使用されていることさえあります。これは本来の意味の防衛医療と意味は異なるかもしれませんが、保身のための姿勢検査となってしまっていると言えます。

問題7:Chicken or the egg?

腰痛と姿勢の問題が同時にみつかると、臨床家は姿勢が悪いから腰痛が生じるという因果関係を強調し、反対に腰痛があるから姿勢が悪くなったことや、姿勢と腰痛は無関係であるかもしれないことは疎かにされる傾向があります。
これは因果関係が成立するための3条件の理解が欠如することで生じます。
3つの条件は、時間的先行(原因が結果より先に変化する)、共変関係がある、(一方の変数が増加すれば、もう一方も増加または減少する)、1つ目は時間軸で言えば先に原因がありその後に結果があること。 2つ目に、必ず因果関係であると同時に相関関係が存在すること。 相関関係とは、一方の変数が増加すれば、もう一方も増加または減少する関係のことです。第三因子が存在しないことです。
また医療従事者が原因を見つけようと思考を展開していることに基づくかもしれません。

しかし、症状が出現した後の姿勢と腰痛の関係は本来、Chicken or the egg?(卵が先か鶏が先か)の問題に直面するはずです。
姿勢は結果にも原因にもなる可能性があります。

問題8:時間への依存

上記したChicken or the egg?は時間関係を無視していることが問題ですが、時間に依存して論理的な誤った解釈をしてしまうことがあり、姿勢と腰痛の関係においてよく見られます。

典型的な臨床経験に基づく、論理的誤謬は以下のとおりです。

①姿勢が悪く、腰痛持ちの人がいた
②姿勢にアプローチしたら腰痛が改善した
③だから姿勢は腰痛の原因である

このような、ある事象が別の事象の後に起きたことを捉える、この例では姿勢にアプローチした後に腰痛が改善したことを捉えて、前の事象(不良姿勢)が原因となって後の事象(腰痛)が起きたと判断していますが、このように順序だけに基づいて結論を導くことは論理的誤謬です。
より具体的な例を挙げると、臨床的に腰痛持ちの人に姿勢指導をすると、その時点での腰痛が減少する様子は見られますし、患者視点でみても、医療従事者に言われたとおりの理想的な姿勢に座位の腰痛発生中に変更することで腰痛が減少するように感じられることがあります。
この経験から医療従事者や患者は論理的誤謬に気づくことなく、姿勢と腰痛は関連していると考えてしまいます。しかし例えばこの姿勢を変えたから腰痛が減少したのは、良い姿勢にしたから腰痛が減少したのではなく、単に姿勢を変えたからかもしれません。実際腰痛持ちの中には腰部を屈曲姿勢にした方が腰痛が減少する人もおり、これは理想の姿勢からは離れた姿勢です。

つまり、事象の順序に囚われてしまうことで、直感的に論理的だと思えてしまっているのがこの例であり、この誤謬に気付けない場合は、姿勢と腰痛の関連が弱いと言われても「納得いかない」となってしまいます。

問題9:stick and stones

医療従事者と患者は特に慢性疼痛ではかなりの時間を一緒に過ごし、腰痛に関する情報を提供する上で主要な役割を果たします。

これはつまり医療従事者の信念が患者の信念に大きく影響しうることを意味しています。
この影響力は医療従事者の信頼度が高い影響を及ぼす可能性が高くなり(薬にも毒にもなる)、信頼度が高いほど、医療従事者の信念が役に立たない場合にはより大きな害を与えることになります。

医療従事者が患者に与える不適切な信念はその時だけのものではなく時に永続的にその患者に反映されます。

反映された患者はその信念に基づき行動が限定され、Avoiders(回避者)となり、キネシオフォビア(運動恐怖症)を起こすこともあります。

患者の生活にフォーカスしてより具体的にみていきます。

例えば不良姿勢が腰痛の原因であると教えられた患者は、腰痛を感じた時に自身の姿勢へのサリエンシー(Saliency)が高くなり(簡単に言うと自分の姿勢が過度に目立つようになる)、常に良いと言われた姿勢を保つことを強要されます。そうでない場合はダメだと思わされるようになります。
しかし良い姿勢であるかどうかは腰痛の発症に大きく関与していないため、この患者はがんばって良い姿勢を保とうとするものの、腰痛が生じる=良い姿勢を保てないのだからどうしようもない、解決不可能な問題に直面したと思い込んでしまうようになります。
これは同時に、負の誘発性(Valence)を与え(簡単にいうと行動を避けさせようとする因子)、不良姿勢と呼ばれる姿勢を過度に制限していることも事実です。
つまり患者に行動制限も同時に課していることになります。
よく医療従事者は腰痛患者に「動く」ように指導することがありますが、ここには矛盾が生じています。

果たして患者は自身の姿勢コントロールの自己所有性(Mineness)を失い、さらなる努力や注意を要求されるようになり、患者は自らの腰痛と姿勢にコントロールされる生活を送るようになります[Coninx S et al.,2021]。
さらに言えば医療従事者は慢性腰痛患者に対して、努力不足であるようなレッテルを貼ることが報告されています[Synnott A et al.,2015]。

これは1例ですが、患者は個々で様々なプロセスを介してこのような負の連鎖反応を起こします。

だからこそ、姿勢と腰痛に関する医療従事者の信念は「役に立たない信念」と言えます。

本項のタイトルはStick and stonesです。Stick and stonesは本来Sticks and stones will break my bones, but words never hurt me(石と棒で私の骨を折ることはあっても言葉で傷つくことはない)という意味で用いられますが、腰痛のような痛みは、「石と棒で傷つけられることはあり、言葉で傷つくこともある」のです。

リハビリテーションにおける言葉の影響力は強く、痛み治療でこの影響力にはかなり注意しなければならないことも提言されています[Stewart M et al.,2018]。

介入

姿勢と腰痛に対しては3つの選択肢を取ることができます。

まず第一に姿勢と腰痛の関連は弱いという前提の元、他の腰痛の因子を探す/腰痛に対する姿勢とは関係ない運動療法をおこなうことができます。
これは腰痛と姿勢の関連が強いとは言えず、姿勢検査と腰痛を結びつけることが偽陽性をうむことを防ぐことができるため妥当です。また効果的な治療を受ける機会損失を防ぐこともできます。

第二に姿勢と腰痛の関連は弱いという前提の元、しかし長時間の姿勢保持に関するPain managementを行うことです。

座る時間を1日2時間以内に制限し、座りがちな活動を30分以上続けるべきではないと推奨されており[Owen N et al.,2011]、40分を超える長期間の立位を控えることを推奨されています[Coenen P et al.,2017]がこのような介入は座位姿勢主体/立位姿勢主体の仕事をしている人に対しては現実的ではありません。

立位で腰痛を感じる人に立っているときと座っているときの比率(work-rest ratio:作業と休息の比率)を「45分立位15分座位、45分立位15分座位」のように3:1するだけでは座位休憩中のVASの軽減が20mmに達しず、臨床的に痛みの緩和が少なく不十分であると報告されており[Gallagher KM et al.,2014][Hägg O et al.,2003]、過去の報告[Sbriccoli P et al.,2007]からwork:rest ratioが1:1にする必要があると推定されています。
しかしこれも座位姿勢主体/立位姿勢主体の仕事をしている人に対しては、例えば8時間の労働に対して8時間の休憩が必要になるため現実的ではありません。
また座位でのデスクワークを立位に変更するという戦略は腰痛の報告に影響を与えないようです[De Carvalho D et al.,2020]。

長時間の同一姿勢に対して、長時間休憩するよりも、こまめな休憩で腰痛を軽減できる可能性はあり、長時間の休憩を用いるよりもデスクワーカーにとっては利用しやすいことが多いです。
もし2時間の座位姿勢によって仕事中に腰痛を発症する人がいる場合は、2時間の仕事の後に、2時間の休憩を行うのではなく、2時間の間に15分毎の休憩を挟むといった例が挙げられます。
こちらの方が仕事をしている人にとっては現実的です。

時間管理にはタイマーが用いられるのが一般的です。この時の問題は職場の人の理解が必要なことであり、このようなアクティビティペーシングには社会的要因によって達成できるかが関わってきます。

休憩頻度の感覚は痛みをガイドにするPain guided activityと痛みをガイドにせず目的を達成するために休憩頻度を決定するQuota guided activityがあり、Pain guided activityは生活が痛みに支配され、常に痛みのことを考え続けることが要求されるため、慢性疼痛を持つ個人にとってはQuota guided activityの方が、精神的負荷は少ないと予想されます。Quota guided activityは痛みではなく本人が行動を支配するため、自己効力感を低下させにくいと予想できます。
このようなペーシングでは、段階的暴露として徐々に休憩頻度を減らしていき、設定した目標に向かって、活動量を増やしていくことができます。

多くの場合、Pain managementは痛みをコントロールすることにフォーカスされすぎており、そうなってしまうと患者の目的は痛みをなくすことになってしまい、目標を達成することではなくなってしまいます。
例えば「痛みがあって、仕事ができない」症例の場合、痛みを取ることと、仕事を達成することどちらも目標になり得ますが、臨床的には医療従事者も患者も痛みに依存していることがよくあります。

座位で腰痛を持つ人は、同一姿勢を維持しないように指導されることがありますが、これが腰痛を軽減するかは不明瞭です。
というのも腰痛持ちの人は腰痛がない人よりも長時間の座位姿勢中により大きく動き、より頻繁にうごく傾向があり、にも関わらず、腰痛は増加していきます[Dunk NM et al.,2010]。
この腰痛持ちの人のより大きく頻繁な動きは事前に腰痛が強くならないように、あるいは現在の腰痛を軽減するために行っていると仮説を立てることもできますが、この仮説が正しかったとしても、大きく回復に寄与しているわけではなさそうです。
ただしGreeneらは長時間の座位であれば、疼痛の軽減に有意な差がでるだろうという仮定から座っているときの痛みを最小限に抑えるための効果的な戦略として、座っているときの動きを増やすことを提唱することは有益であると考察しています[Greene RD et al.,2019]。

第三に姿勢と腰痛の関連があると仮定して姿勢を変更する介入をすることです。

ここまで見てきて腰痛に対する主なアプローチとして姿勢への介入は優先順位が高くはないことがありますが、姿勢への介入が必要となることは臨床上あるかもしれません。

それを想定する場合、姿勢自体変化させられるかと言えば、胸椎後弯は8〜12週間の間、週に2〜3セッションの頻度あるいは6週間、週に15〜60分3セッションの筋トレとストレッチの組み合わせで、変化させることができますが、腰椎前弯に関しては十分変化を出すことができない可能性があります[González-Gálvez N et al.,2019][Bayattork M et al.,2020]。

つまり腰痛と腰椎の湾曲は不明瞭である上に、湾曲に変化を起こせるかは怪しいことになります。

筋トレとストレッチが姿勢に及ぼす影響がどのようなメカニズムで生じているかは不明ですが、一般的によく用いられている、ストレッチで短縮した組織を伸ばす理論はストレッチのメカニズム[Folpp H et al.,2006]から見れば妥当ではないと思われます。6週間時間をかける理由は、少なくとも4〜8週間の筋力トレーニングが、筋力、持久力、神経筋の変化などのポジティブな運動特性を得るのに最適な時期であることが示されているからです[Eklund D et al.,2015]。

また楽に立っているように言われたときに、個人は一貫した姿勢をとります。このことはいわゆる正常な姿勢からの逸脱や姿勢の非対称性は、個人の姿勢に対する認識の一部であることがわかります[Bullock-Saxton J et al.,1993]。
つまり姿勢に介入しようとした時に、意識や姿勢の認識に対するアプローチは姿勢を変えられる可能性を持っています。

そのため筋トレとストレッチが単に組織的な問題で姿勢を変更するのではなく、神経筋の適応や、アウェアネス(Postural Awareness)の観点が姿勢の変更に影響している可能性があり、総合的に考慮する必要があります。

Postural Awarenessは撮影前後の姿勢の一時的な変化を説明できるかもしれません。最初に見せられた自身の写真からより良いと自信が思う姿勢へ2度目の写真撮影の時に無意識にでも体が変更しようとしている可能性は考えられます。

姿勢を変えようと思う場合は頻繁に自身の姿勢のアウェアネスを写真などを用いて客観的に患者と確認しながら、筋トレをメインとしたストレッチの組み合わせで既に上記した姿勢の理論に基づいて介入するのがより変化を出せると思われます。

この時運動療法をメインとする利点は、ストレッチよりも筋トレの方が姿勢を変化させやすいこと[González-Gálvez N et al.,2019]と、筋トレ自体が腰痛に有益な効果を持っているからです。
つまり姿勢改善が全く効果がなかったとしても筋トレの効果によって腰痛の軽減は見込めます。
注意したいのは、姿勢にアプローチしていると患者に伝えて腰痛が軽減した場合には、姿勢に基づかない運動療法のメカニズムによって腰痛が軽減したとしても患者からすれば姿勢改善によって腰痛が軽減した実感をしてしまうため、姿勢と腰痛の信念をより根強いものにしてしまうことです。

注意点

▶︎本記事の内容は腰痛にフォーカスしたもので、頸部痛など他の部位に適応することはできません。
▶︎今後の研究で腰痛を細分化(サブグループ化)した場合には明らかな腰痛と姿勢の関係が見つかる可能性はあります。

まとめ

歴史的に姿勢と腰痛は影響力のある人達のアイディアと、臨床経験や直感によって関係性が信じられてきました。

しかしここ数十年の研究はこのアイディアに疑問を呈しています。
現在の姿勢と腰痛の関係は、腰痛を細かくサブグループ化した場合には関係性が見つかる可能性がありますが、腰痛全体と姿勢を比べた場合にはほとんど関係性が見つからないので、姿勢検査を腰痛の原因を検出する検査と考えた場合にかなり信頼できない(例えば感度特異度が低い)検査と言える訳です。

そのため姿勢検査を臨床応用することはかなり難しく、大抵の場合は、医療従事者が姿勢と腰痛が関連すると考えた症例の多くは思い込みである可能性があります。

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