ブログ

国際疼痛学会(IASP)の痛みの定義と問題点


IASPの痛みの定義は変更するようにとの声が高まっている。

20197月現在のIASPの痛みの定義は

An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage,or described in terms of such damage.

現文はこちらから。

これを和訳すると、

実際のまたは潜在的な組織損傷に関連する、またはそのような損傷の観点から記述される不快な感覚的および感情的経験

となる。

そして、この後にこう続く。

言葉での意思疎通ができないからといって、個人が痛みを感じていて、適切な鎮痛治療を必要としている可能性が否定されるわけではない。

痛みは常に主観的である。

それぞれの人が、幼少期の怪我に関する経験を通して、その言葉の使い方を学びぶ。

生物学者は、痛みを引き起こす刺激が組織を損傷しやすいことを認識している。

したがって、痛みとは、実際の組織損傷または潜在的な組織損傷と関連する経験である。

体の一部の感覚であることは間違いないが、常に不快であり、したがって感情的な経験でもある。

痛みに似ているが不快ではない経験、例えば刺すような経験を疼痛と呼んではならない。

不快で異常な経験(感覚異常)も痛みであることがあるが、主観的には通常の痛みの感覚的性質をもたないことがあるため、必ずしもそうではない。

多くの人が、組織損傷や考えられる病態生理学的原因がなくても痛みを訴える。

通常これは心理的な理由で起こる。

主観的な報告を受けると、組織損傷によるものと彼らの経験を区別する方法は通常存在しない。

自分の経験を痛みと考え、組織の損傷による痛みと同じように報告すれば、痛みとして受け入れるべきである。

この定義は、痛みを刺激に結びつけることを避ける。

侵害刺激によって侵害受容器と侵害受容経路に誘導される活動は、痛みではなく、痛みは常に心理学的状態である。

しかし、痛みが最もしばしば身体的に近い原因であることは十分に認識されている。

ここで着目すべきは、

  • 痛みは常に主観的である。
  • 痛みは常に心理学的状態

だろう。痛みは損傷があるからといって起こるわけではない。損傷が強いからといって痛みが強いわけでもない。

臨床においてこれは常に覚えておく必要がある。

この定義の問題として

組織損傷や考えられる病態生理学的原因がなくても痛みを訴える。

通常これは心理的な理由で起こる。

とあるように。現在のIASPの痛みの定義は心理と身体の二元論でできている。

損傷がみられなければ、心理的問題となる。

MRIX-rayが陰性ならその痛みは心理的問題と受け取ってしまう。

 

RELATED POST