著名な解剖学書である「Kinesiology of the Musculoskeletal System」を参考にすると烏口突起に付着する筋や靱帯の関係はこのようになっています(図参照)[1]。
しかし一般的な解剖学書上の表記が典型的な解剖学的な構造を必ずしも表しているわけではありません(参考にしているサンプル数が不明)。
また烏口突起周囲の組織構造はかなり複雑で3次元的にイメージするのは難しいです。
そのため詳細な解剖学研究を参照して3Dモデルを作成し、立体的な解剖学構造の理解の手助けになればと思います。
しかし一般的な解剖学書上の表記が典型的な解剖学的な構造を必ずしも表しているわけではありません(参考にしているサンプル数が不明)。
また烏口突起周囲の組織構造はかなり複雑で3次元的にイメージするのは難しいです。
そのため詳細な解剖学研究を参照して3Dモデルを作成し、立体的な解剖学構造の理解の手助けになればと思います。

Chahlaらは平均年齢52年(範囲33-64歳)、女性5名、男性5名の新鮮な検体から烏口突起周辺の構造を調査しました[2]。
烏口鎖骨靱帯の付着部
烏口鎖骨靱帯(coracoclavicular ligament)は菱形靭帯(Trapezoid ligament)と円錐靭帯(conoid ligament)で構成されています。肩鎖関節の鎖骨外側面からの烏口鎖骨靱帯の最外側付着部までの距離は平均は15.7mmでした。
鎖骨の長さが14.1 cmであるため大凡、鎖骨を8等分し外側から1/8のところが菱形靭帯の最外側付着部になります。
鎖骨の長さが14.1 cmであるため大凡、鎖骨を8等分し外側から1/8のところが菱形靭帯の最外側付着部になります。

烏口突起の長さは平均41.4 mmであり、菱形靭帯は基部から17.7mm、円錐靭帯は基部から10.1mmでした。また小胸筋腱の中心から菱形靭帯は18.7mm、円錐靭帯は25.5mmでした。
これを元に3Dモデルを作成します。
烏口突起付着部は"いくつかの標本"では、円錐靱帯と菱形靭帯繊維が接続しているため互いの距離をかなり近くしました。
これを元に3Dモデルを作成します。
烏口突起付着部は"いくつかの標本"では、円錐靱帯と菱形靭帯繊維が接続しているため互いの距離をかなり近くしました。

烏口肩峰靭帯の付着部
烏口肩峰靭帯(coracoacromial ligament)は肩峰の前内側と前外側下面に付着しています。三角筋のdeep fasciaは烏口肩峰靭帯前部繊維(anterior CAL)の前方外側に付着しています。
烏口突起付着部では2束(anterior CALとposterior CAL)に分岐します。付着部の面積はanterior CALの方が広く54.4 mm^2、posterior CALは30.6 mm^2です。
烏口突起付着部では2束(anterior CALとposterior CAL)に分岐します。付着部の面積はanterior CALの方が広く54.4 mm^2、posterior CALは30.6 mm^2です。


それぞれの位置関係
・小胸筋腱は烏口突起上内側、共同腱付着部より後方、菱形靭帯付着部より前方に付着しています。
・烏口上腕靭帯は、烏口突起下面、posterior CALのすぐ下に広く付着しています。
・菱形靭帯は、小胸筋付着部の後方、円錐靭帯の前方に付着しています。
・共同腱はanterior CALの遠位前面に直線的に付着しています。
・烏口上腕靭帯は、烏口突起下面、posterior CALのすぐ下に広く付着しています。
・菱形靭帯は、小胸筋付着部の後方、円錐靭帯の前方に付着しています。
・共同腱はanterior CALの遠位前面に直線的に付着しています。

ということで3Dモデルが作成できたので今後の画像や動画をこれをベースに作成していきます。
烏口鎖骨靱帯の動作イメージ
せっかくなので1つ動画を作成してみます。
烏口鎖骨靱帯は肩甲骨の動きに伴った鎖骨の後方回旋を促す作用があるとされています[1]。
この作用のイメージは烏口鎖骨靱帯の走行を理解していないと難しいですが、動画でみると簡単に理解することができると思います。
烏口鎖骨靱帯は肩甲骨の動きに伴った鎖骨の後方回旋を促す作用があるとされています[1]。
この作用のイメージは烏口鎖骨靱帯の走行を理解していないと難しいですが、動画でみると簡単に理解することができると思います。
参考文献
[1]Neumann, D. A. (2017). Kinesiology of the musculoskeletal system: Foundations for Rehabilitation. Mosby.
[2]Chahla, J., Marchetti, D. C., Moatshe, G., Ferrari, M. B., Sanchez, G., Brady, A. W., Pogorzelski, J., Lebus, G. F., Millett, P. J., LaPrade, R. F., & Provencher, M. T. (2018). Quantitative Assessment of the Coracoacromial and the Coracoclavicular Ligaments With 3-Dimensional Mapping of the Coracoid Process Anatomy: A Cadaveric Study of Surgically Relevant Structures. Arthroscopy : the journal of arthroscopic & related surgery : official publication of the Arthroscopy Association of North America and the International Arthroscopy Association, 34(5), 1403–1411. https://doi.org/10.1016/j.arthro.2017.11.033
[2]Chahla, J., Marchetti, D. C., Moatshe, G., Ferrari, M. B., Sanchez, G., Brady, A. W., Pogorzelski, J., Lebus, G. F., Millett, P. J., LaPrade, R. F., & Provencher, M. T. (2018). Quantitative Assessment of the Coracoacromial and the Coracoclavicular Ligaments With 3-Dimensional Mapping of the Coracoid Process Anatomy: A Cadaveric Study of Surgically Relevant Structures. Arthroscopy : the journal of arthroscopic & related surgery : official publication of the Arthroscopy Association of North America and the International Arthroscopy Association, 34(5), 1403–1411. https://doi.org/10.1016/j.arthro.2017.11.033
記事情報
- 公開日:2023/11/02
参考文献を除く本文:1098文字
参考文献を含む本文:1730文字
画像:6枚 - 最終更新日:2023/11/02
烏口鎖骨靱帯の動作イメージの動画追加
【注意事項】
本記事は一介の臨床家が趣味でまとめたものです。そのため専門的な文献に比べ、厳密さや正確性は不十分なものとなっています。引用文献を参照の元、最終的な情報の取り扱いは個人にお任せします。誤りや不適切な表現を見つけた際、誤字を修正した場合、追記した時には「記事情報」に記述します。