本Web siteのテーマの一つは哲学者ヴィトゲンシュタインが言った「検証されずに確信することが多くないか?」です。

臨床において当たり前の様に正しいと認識していたことが実際正しくないことは往々にしてあります。

で、この正しいと思っていることを「疑う」というのは凄まじいエネルギーが必要というか、正確には普段使わない様なエネルギーを使うので慣れてないと中々難しいことだったりします。

一応私は批判的思考について評価してもらえることも多いのでここに言及して行こうと思います。

ということで練習がてら、多くの人が当たり前に正しいと思ってそうなことを例に疑うということをやってみようと思います。

いただきます

いただきます。
食事をする前に「いただきます」という謙譲語を使うのはまるで当たり前で常識的なことだと考えている人は多いかもしれません。
時には「いただきます」と言わない人をみて育ちが悪いと考える人もいます。
ご飯を食べる前に「いただきます」というのは常識でしょうか?マナーでしょうか?しない場合育ちが悪いのでしょうか?
こう疑ったことがある人はどれくらいいるのでしょう。
そもそも「いただきます」がいつから始まった文化なのかは定かではありませんが、日本の古いマナーを記した「有識故実」に食事前に「いただきます」と言うマナーはありません。
さらにいただきますに方言が存在しないことから、「いただきます」はそこそこ最近(昭和ごろ)の文化である可能性が十分あります。(辞書に載ったのは1991年?)
こんな歴史の浅い、「いただきます」文化を幼少期から我々日本人は当たり前の様に習い、いつの間にかそれが当たり前になります。
「いただきます」に英語にはありません。
「いただきます」は浅い歴史でさらに日本特有の物です。
それをさも当たり前の様に常識とするのはどうでしょう?
少なくとも、子供に教える分にはいいとして、他人に説教や強要したり、それで他人を評価するのは価値観の押し付けであり、あまりにも自分勝手すぎる評価方法です。
「いただきます」は良いことでも悪いことでもなく、単に一部の人が大切にする価値観でしかありません。
心の中で感謝を示すだけで良いと考える人もいるかも知れませんし、そもそも感謝する必要もないと考える人もいるかも知れません。
これのどれかが正しいと言うのは自身の歴史に依存しています。
この例はアインシュタインの「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションである」がぴったり当てはまります。

常識はどこまでも拡大する

他人を説教する時に「常識だから」と言う人はよく見かけます。

この言葉はあまりにも暴力的です。そしていつの間にか自分の価値観を固定していくのかも知れません。
「常識だから」は論理性がありませんからね。

正しいか正しくないかの論理的な判断をすっ飛ばしてしまうのが「常識だから」です。

実際私が今まで言われたことのある「常識だから」の例を挙げると。

出勤する時はカバンを持ってこい。そんなの常識だろ
なんてのがあります。
私はこれを聞いて言葉を失いました(言葉の意味を理解するためにかなり考えました)が、どうやらその人に取ったら常識の様で、しかしこれは大分賛否が分かれる話ではないでしょうか。
この様に「常識だから」は自分の主張を正当化するために使われ、相手が納得できないところまで拡大してしまいます。
私としては常識だからというのを聞くと「論理的に説明しないけど(できないけど)言うことを聞け」と言ってるように聞こえます。

不味い

こんな感じで日常には当たり前だと思っていたけど、実は違うんじゃないかと言うことが結構あります。

臨床を疑う練習は必要ですが、その第一歩と言うか練習台は日常生活にありふれています。

まずは「常識だから」と言う(考える)のを止めるのも手段としては良いかも知れません。少なくとも私はそうしています。

「常識だから」の様に思考をすっ飛ばしてしまうと思考をすっ飛ばす(論理の飛躍)のに慣れてしまいます。

私が好きな思考にこんなのがあります。

【「不味い」と表現しない】

不味いのはその人の主観ですが、不味いと思ったのには理由があるはずです。

具体的には、苦すぎる。甘すぎる。生臭い。食感が苦手etc.
不味いと言う表現はこれらを全て思考せずにできる表現です。

不味いは食べてから不味いまでの過程をすっ飛ばしています。

もちろん、苦すぎる。甘すぎる。生臭い。食感が苦手etc.と表現するのは不味いの後付けかも知れませんが、ここを論理的に理由付けするのは、当たり前に感じたことを考え直すと言う思考パターンを形成してくれると思うのです。

だから「不味いと表現しない」の様に、まず自分の感覚的結論を疑う(批判的思考の形成)ために必要なのだと思います。

-note記事まとめ-

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