ブログ

運動してもらいたいなら周りの人(社会的因子)が重要


患者に運動や、運動を含めた身体活動をしてもらいたいときでもなかなか難しいこともあると思います。

これは環境依存するため状況に応じて使える使えないが変わる手段ですが、患者をより行動しやすくするためにヒントになる情報があります。

家族の行動が身体活動に与える影響を調査した研究では活動的な家族を持つことは、(腰痛を持たない人では)身体活動継続の強い予測因子であり、一方で、長い座位時間を持つ家族を持つことは、腰痛を持つ人では座位行動の継続の強い予測因子でした。

参考文献:Zadro JR, Shirley D, Duncan GE, Ferreira PH. Familial factors predicting recovery and maintenance of physical activity in people with low back pain: Insights from a population-based twin study. Eur J Pain. 2019;23(2):367-377. doi:10.1002/ejp.1311

但し

  • 活動的な家族を持つことは、「腰痛を持たない人」では身体活動継続の強い予測因子
  • 長い座位時間を持つ家族を持つことは、「腰痛を持つ人」では座位行動の継続の強い予測因子

ってことは臨床で微妙に使いにくい情報ですよね。

ただ腰痛を持つ人の家族に座ってばかりの人がいるとすれば、それはよろしくない可能性もあるのでできそうであれば、その家族にも身体活動を一緒にやってもらうってのは手段としてはつかえるかなーってとこですね。

またこの研究では腰痛の回復における身体活動の役割を疑問視してますが、身体活動がたとえ腰痛の予後を改善しなかったとしてもそれは特定の運動療法に言える訳ではありません。

※ちなみに「身体活動のパラドックス」でもいいましたが、運動は身体活動の部分集合です。

この研究からどこまでの考えを飛躍として捉えるかにはなってきますが、運動療法の阻害因子として家族が活動的でないってのは十分ありえる話です。

経験的な話をすれば、兄がめちゃくちゃ活動的な患者がいて、その人はそんなに運動がすきではないんですけど、兄が毎日運動しているのをみてやらなきゃいけないなっておもってランニングしたりジムに行っているなんて人もいました。

勉強だってそうですよね。

周りが勉強する環境にいるひとが勉強をめちゃくちゃやるようになるってのも勉強をやるきっかけになったりします。

これは家族の研究ですが、医療従事者が活動的であるほうが患者は活動するのかってのも気になるところです。

編集後記

そういえば最近Amazonが本読み放題のサービスを始めたみたいですね( ゚Д゚)昔からオーディオブック聞いてた私としてはありがたい… オーディオブックって歩きながらでも勉強できるし、目が疲れないからつよいですよね。 1冊無料で聞けるので是非 ↓Amazon オーディブル

-最新note情報-

Pain magazineではここまで従来の治療をいくつか批判的に観てきました。 構造主義的な観点、触診・アナトミートレイン・トリガーポイント・サブラクセーション そして今回は「バイオメカニクス」です。 (一応joint by jointとか筋膜とか心因性とかその辺も書こうと思ってます) 私の勝手なイメージですけど、バイオメカニクスを深く勉強している人ってのは勉強熱心なイメージがあります。 また、ある会社で技術と知識レベルの高い先生に「(骨格筋痛に携わる)医療従事者がとりあえず勉強すべきことってなんだと思いますか?」って聞いた時には「バイオメカニクス」と答えていました。 当時は私も同じ考えでした。 バイオメカニクスの知識が高ければ、多くの臨床で高い効果を得られるんじゃないかって思っていたからです。 それは疼痛の知識がなかったからですけれど…つまり「疼痛リテラシー」が欠如していたわけです。 これは疼痛の観点から、バイオメカニクスでは足りないってことに気づいたわけですけれど、他にもバイオメカニクス視点からバイオメカニクスはどうか?って視点も必要になってきます。 ということで今回の主題はバイオメカニクス批判です。 バイオメカニクスってとりあえず勉強しとけば治療の役に立つって考えられていますよね? でもこれって事実か事実じゃないかに限らず思考停止的な考えだと思います。 明確な根拠があるわけじゃなくて「なんとなく正しいだろう」ですよね。 「なんとなく」正しい気がして 「なんとなく」勉強することで疼痛治療に詳しくなった気がして 「なんとなく」それが治療に影響する気がして 「なんとなく」意味があるように感じるんですよね。 なぜなら、バイオメカニクスの理屈って一見論理的だからです。 一見論理的だから正しく見えます。 私が普段よく言っているヴィトゲンシュタインの言葉を借りるのなら「検証されずに確信されていることが多くないか?」に当てはまります。 特にこのバイオメカニクスへの強いフォーカスを促しているのはその”難解さ”だと思います。 解剖学はどちらかというと考えるより覚えるようなものですが、バイオメカニクスは考えなければ理解できません。 人って難解なものを学ぶとそれが正しいと思いがちです。 しかしそれは難解さにゆえ、それの価値を正しく判断することがバイオメカニクスを学ぶ以上に難解になります。 ここでは「慢性腰痛とバイオメカニクス」という観点から批判していきます。 ここでの扱うテーマは慢性腰痛治療において ●バイオメカニクスを勉強することで治療成績は上がるか? ●バイオメカニクスを治療に取り入れる意味はあるのか? です。

-note記事まとめ-

当サイトでは疼痛治療をより良いものにアップデートするためのツールをいくつか提供しています。 疼痛治療では「痛みとは何か」を理解する必要があります。 その理由は単純で疼痛治療の目的に「疼痛」が含まれるからです。 何をするか、どのようにするかは常に目的ではありません。 目的である疼痛が何かを理解しなければ治療は目的に向かうことが難しくなります。 もしかしたら、治療がうまくいかない時は目的を見失っているのかも知れません。 疼痛リテラシーアップデートは現在の疼痛科学に基づいた疼痛を解説します。 疼痛科学に基づいた運動療法は、理論ではなく実技中心です。 従来の運動療法は機能やバイオメカニクスに基づいたものが多く、しかし統計的にみてそれらの運動療法は大きな成果を挙げられませんでした。 疼痛科学に基づいた運動療法は、科学に基づいた運動療法です。 機能やバイオメカニクスという狭い視点から脱却し、運動療法をより良いものに変えたい方にお勧めです。 痛み情報を発信するマガジンです。月額制ではありません。
RELATED POST