知識と信念
知識は信念(正しいと信じる自分の考え)とは異なります。信念と知識の違いを我々はなんとなく知っているかもしれませんが、生活/臨床する上で区別できているかは別の問題です。
例えば宇宙観は数百年前(16世紀)に天動説(すべての天体は地球の周りを回る)からコペルニクスの地動説(地球が太陽の周りを回っている)へ転回しましたが、地動説は知識と言えるか信念と言えるか我々はどう判断しているのでしょうか?より医学的に身近な例でいえば、「マッサージは血流量を増加させる」「PNFストレッチのメカニズムはIb抑制による」「姿勢の悪さは腰痛の原因になる」「柔軟性が低いとハムを肉離れしやすい」などよく言われている話は知識なのか、信念なのかどう判断しているのでしょうか?
これが言語化されない場合、知識と信念の違いを言葉の上で知っているとしても実際は区別できていない可能性があります。知識と信念を混同するということは事実(あるいは確からしいこと)と正しいと信じていること、つまり正しいか実際に明らかではないことを混同していることになり、信念が間違っていた場合には間違っていることを正しいと思い込んで思考することになります。そのため臨床家において知識と信念を区別することは重要なのです。我々はしばしば信じることが知っていることと同じように感じられ、私たちは信念を知識と勘違いしてしまいます。さらに信念が強固であればあるほど、我々はその信念を守ろうとします。
ここでは知識・信念・理論・科学・信仰といった混同されやすいものを整理します・
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