上関節上腕靱帯は、肩甲上腕関節包内の限局性に肥厚した帯状組織で、上腕二頭筋長頭腱付着部前方の肩甲上結節から、小結節上部まで伸びます。
この靱帯はU字形をしており、この形状が結節間溝の上側で上腕二頭筋長頭腱を支持しています。
<上関節上腕靱帯の基礎データ>
名称 | 上関節上腕靱帯(じょうかんせつじょうわんじんたい) |
英語表記 | Superior glenohumeral ligament |
略称 | SGHL |
近位付着部 | 肩甲骨の関節上結節 |
遠位付着部 | 上腕骨の解剖頚、小結節より上方 |
作用 | 上腕骨の外旋制動、上腕骨頭の下方・前方移動制動 |

<前上方から見た上関節上腕靱帯>
関節唇は関節を深くし、関節の表面積を増加させ、 関節上腕靱帯・関節包・上腕二頭筋長頭腱を固定させる構造としても機能します。
上方関節唇は上関節上腕靱帯・上腕二頭筋長頭腱と結合し、前方では下関節上腕靱帯の前索と結合します[1]。
上関節上腕靱帯の近位付着部
近位付着部 | 肩甲骨の関節上結節 |
上関節上腕靱帯の遠位付着部
遠位付着部 | 上腕骨の解剖頚、小結節より上 |
上関節上腕靱帯は「上腕骨の解剖頚、小結節より上」に付着します。
上関節上腕靱帯の作用
作用 | 上腕骨の外旋制動、上腕骨頭の下方・前方移動制動 |
上関節上腕靱帯は「上腕骨の外旋制動と上腕骨頭の下方・前方移動制動」作用を有します。
腱板疎部(ローテーターインターバル)と上関節上腕靱帯の関係
腱板疎部(Rotator interval)は、外側から内側に向かって、烏口上腕靭帯、Rotator interval capsule、上関節上腕靱帯の順に構成されています。
Rotator interval capsuleは烏口上腕靭帯と上関節上腕靱帯によって補強されています[1]。
烏口上腕靭帯は、烏口突起基部の背外側から、腱板疎部を通過し上関節上腕靱帯からの線維と結合します。
腱板疎部は、前上方関節唇から生じる上腕二頭筋長頭腱の関節内部を覆う屋根のようなものと考えることができます。 烏口上腕靭帯と上関節上腕靱帯は、結節間溝(上腕二頭筋溝)の近位で上腕二頭筋長頭腱を取り囲むスリング状のバンドで構成されています[1]。
上関節上腕靱帯の解剖学的変異
上関節上腕靱帯は通常、上関節上腕靱帯付着部のすぐ前方にある肩甲上結節から生じますが、肩甲上結節後部、上関節唇、上腕二頭筋長頭腱、中関節上腕靱帯、またはそれらの組み合わせなど様々な変異が報告されています[1]。
患者の2-3%では上関節上腕靱帯が欠落している場合があります。