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上肢のスペシャルテストの感度・特異度まとめ


感度・特異度という言葉自体医療従事者の中ではまだメジャーとなっていない可能性があります。

ここでは各スペシャルテストの感度と特異度をまとめていきます。

感度特異度をまだ理解していない方はこちらからご覧ください。

検査における感度・特異度とは?https://youtu.be/EHh0CKxmqFE 先日ツイッターで感度・特異度がどれだけ理解されているか聞いたとこ...

スパーリングテスト(spurling test)

現在のスパーリングテストは、頸椎伸展、側屈位で、検者が下方向の圧力を加える方法が一般的です。
根性症状が誘発されれば、頚部の神経根症を疑います。

このテストの感度は30%〜60%で、特異度は92%〜100%です(1,2)

スパーリングテストは特異度が高いが感度が低いことがわかります。

ショルダーアブダクションテスト(Shoulder Abduction Test)

患側の手を頭の上乗せると根性症状が緩和されます。
この場合頚部の神経根症を疑います。

このテストの感度は43%〜50%で、特異度は80%〜100%です(2)。

ネックディストラクションテスト(Neck distraction test)

検者は患者の頭部をつかみ、軸方向の牽引力を加えます。頸部神経根症状が軽減されれば陽性です。
※画像と異なり本来は後頭部と顎を把持します。

このテストの感度は40〜43%で、特異度は100%です。(2)

ホフマンサイン(Hoffmann’s sign)/ホフマン反射

中指遠位指節骨の受動的なスナップによる他動屈曲。します。同側の親指と示指の屈曲-内転で陽性です。
この場合、脊髄障害や錐体路障害を疑います。

このテストの感度は58%で、特異度は78%です(3)。

エンプティカンテスト(Empty Can Test)

肩関節を90°外転し、30°水平内転、母指は床の方を向けた状態で、下制に対する抵抗運動をします。
痛みがでるか、抵抗できなければ陽性です。

このテストは棘上筋腱炎を検査する場合、感度が77.2%で特異度38.4%です。(4)
棘上筋断裂の場合は感度が18.7%で、特異度が100%です。(4)
ローテーターカフの部分的な損傷の場合は感度が32.1%で、特異度が67.8%です(4)

フルカンテスト(full can test)

患者は肩関節90度外転位で母指を天井に向けます。次に、下制に対する徒手抵抗を行います。痛みがでるか抵抗できなければ陽性です。

部分的なローテーターカフを対象にした場合、感度83%、特異度53%です(6)

パットテスト(patte test)

肩90度外転位のスキャプラプレーン上で患者の肘を支え、患者は肩を外旋し、徒手抵抗します。

痛みがあっても外旋できる場合は棘下筋腱炎、外旋できない時は断裂を意味します。

棘下筋病変を疑う場合の感度は70.5%、特異度は90%で、棘下筋炎を疑う場合の感度は57.1%、特異度は70.8%です(7)。

棘下筋断裂の場合は感度が36.3%、特異度が95%です(7)。

リフトオフテスト(Lift off test)

患側の手を腰部から肩関節最大内旋するように受動的に離し、患者にはその位置を能動的に維持するよう指示します。患者がこの肢位を維持できない場合、肩甲下筋断裂を疑います。

このテストの感度は40%で、特異度は79%です。(8)

リフトオフラグサイン(Lift-off lag sign)

リフトオフテストのバリエーションの一つです。検者は患者の肘をつかみ、仙骨中央レベルから手を後方に持ち上げます。患者は、腕が腰仙部に戻らない様にキープします。キープ出来なければ肩甲下筋断裂を疑います。

このテストの感度は71-100%で、特異度は60-84%です。(8,9)

ベアハグテスト(Bear hug test)

患者は患側の手を反対の肩の上に載せます。検者は内旋を促すように肩から手を引き離すようにします。この時肩から手が離れたり手関節が屈曲すれば陽性で、肩甲下筋病変を疑います。

このテストの感度は60%で、特異度は92%です。(10)

 

スピードテスト

患者は肘伸展位で前腕回外し、肩関節を屈曲する。検者はそれに抵抗する。
結節間溝部に痛みが限局する場合、陽性となる。
上腕二頭筋長頭腱炎の場合感度は90%、特異度は13.8%(11)
上腕二頭筋長頭腱部分断裂の場合感度は68.5%、特異度は55.5%(12)
※関節唇損傷でも陽性となるため注意する。

 

参考文献

(1) Viikari-Juntura E, Porras M, Laasonen EM. Validity of clinical tests in the diagnosis of root compression in cervical disc disease. Spine (Phila Pa 1976). 1989;14(3):253–257. doi:10.1097/00007632-198903000-00003

(2) Tong HC, Haig AJ, Yamakawa K. The Spurling test and cervical radiculopathy. Spine (Phila Pa 1976). 2002;27(2):156–159. doi:10.1097/00007632-200201150-00007

(3) Glaser JA, Curé JK, Bailey KL, Morrow DL. Cervical spinal cord compression and the Hoffmann sign. Iowa Orthop J. 2001;21:49–52.

(4) Naredo E, Aguado P, De Miguel E, et al. Painful shoulder: comparison of physical examination and ultrasonographic findings. Ann Rheum Dis. 2002;61(2):132–136. doi:10.1136/ard.61.2.132

(5) Park HB, Yokota A, Gill HS, El Rassi G, McFarland EG. Diagnostic accuracy of clinical tests for the different degrees of subacromial impingement syndrome. J Bone Joint Surg Am. 2005;87(7):1446–1455. doi:10.2106/JBJS.D.02335

(6) Itoi E, Minagawa H, Yamamoto N, Seki N, Abe H. Are pain location and physical examinations useful in locating a tear site of the rotator cuff?. Am J Sports Med. 2006;34(2):256–264. doi:10.1177/0363546505280430

(7)Naredo E, Aguado P, De Miguel E, et al. Painful shoulder: comparison of physical examination and ultrasonographic findings. Ann Rheum Dis. 2002;61(2):132–136. doi:10.1136/ard.61.2.132

(8)Bartsch M, Greiner S, Haas NP, Scheibel M. Diagnostic values of clinical tests for subscapularis lesions. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2010;18(12):1712–1717. doi:10.1007/s00167-010-1109-1

(9)Miller CA, Forrester GA, Lewis JS. The validity of the lag signs in diagnosing full-thickness tears of the rotator cuff: a preliminary investigation. Arch Phys Med Rehabil. 2008;89(6):1162–1168. doi:10.1016/j.apmr.2007.10.046

(10)Barth JR, Burkhart SS, De Beer JF. The bear-hug test: a new and sensitive test for diagnosing a subscapularis tear. Arthroscopy. 2006;22(10):1076–1084. doi:10.1016/j.arthro.2006.05.005

(11)Bennett WF. Specificity of the Speed’s test: arthroscopic technique for evaluating the biceps tendon at the level of the bicipital groove. Arthroscopy. 1998;14(8):789–796. doi:10.1016/s0749-8063(98)70012-x

(12)Gill HS, El Rassi G, Bahk MS, Castillo RC, McFarland EG. Physical examination for partial tears of the biceps tendon. Am J Sports Med. 2007;35(8):1334–1340. doi:10.1177/0363546507300058

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