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短期的な治療効果から読み取れることは短期的な効果性だけ


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施術後、治療効果の確認は通常よく行われます。

また治療系のセミナーにいくと施術→ビフォーアフターの確認がよくみられます。

これは悪いことではありません。しっかりその施術の短期的な効果性を測定しています。
しかしこんなことを言われることがあります。

「この治療を継続することでどんどん改善していく」

この言葉には注意が必要です。

施術後のビフォーアフターの変化が長期的に継続することを確認するには長期的に追跡するしかなく、施術を反復することで積み上げ式に効果が高まるかどうかを確認するにも追跡していくしかありません。

 

そのため、ビフォーアフターの変化から読み取れることは短期的に変化がでるかどうかだけです。

一見当たり前のことを言っているように見えるかもしれません。
しかしながら、おそらく多くの医療従事者がこれに惑わされています。

足関節捻挫を例にします。

足関節捻挫の疼痛レベルを短期的に、受傷直後であればなおさら抑えることはできます。

運動療法でも徒手療法でもアイシングでも痛み止めでも良いです。

そこで勘違いしてはいけないのが、短期的効果が出た運動療法や徒手療法を継続することで、症状がどんどん良くなると考えることです。

 

一度再確認します。

「短期的効果からわかることは短期的な効果性だけ」です。

  • 足関節捻挫に短期的効果がでた手法が、足関節捻挫の回復を早めるというわけではなく、
  • 足関節捻挫に短期的効果がでた手法が、後遺症の発症率を低下させるというわけではなく、
  • 足関節捻挫に短期的効果がでた手法が、再発を防止するというわけではなく、
  • 足関節捻挫に短期的効果がでた手法が、機能障害から回復させるというわけではありません。

「短期的効果からわかることは短期的な効果性だけ」です。

つまり短期的効果が出たアプローチは短期的効果を見込むときにだけ活用できるのです。

これを勘違いし、経験論的にこの手法は効果があるからこの手法を用いるという医療従事者は少なくありません。

だからこそ、統計だったりガイドラインという手助けが医療従事者に必要なのです。

長期的な効果性は個人の経験則から判断できるようなものではありません。

「短期的効果からわかることは短期的な効果性だけ」です。

これから紹介する問いかけは私がよく用いるものです。

一度ご自身にも問いかけてみてください。

 

「あなたが経験的に効果があると感じているアプローチが何分後まで効果が持つかしっかりと観察したことがありますか?」

この質問に明確に答えたことのある医療従事者は私の周りには存在しません。

 

「そのアプローチ20分後まで効果が継続しますか?」と聞いたら答えは大抵「分かりません」です。

20分しか効果が持たないアプローチにどれだけの臨床的意義があるのでしょうか。

 

これはどんな治療にも言えることです。

治療をするうえでその治療の効果の継続時間を把握しておくことは大切です。

 

セミナーに行ってビフォーアフターに変化があったら、セミナーが終わる頃にもう一度、同じ検査をしてみてください。

そのころにはすでに元に戻っているのかもしれません。

以上で説明した勘違いは我々医療従事者に長年治療効果性の混乱を引き起こしています。

多くの人が経験的に治療効果があると主張するものがありますが、あらゆるものが統計を取ってみるとそんな効果がないということはザラにあります。

人の経験則が長期的な効果判定を判断する能力はないと考える方が自然です。
それは時間が効果性にあらゆる変数を加えるからです。

単純なことでいえば、時間による変化です。我々は経験的に時間で治ったのかアプローチで治ったのか判断することはできません。

  • もしかしたら昨日ウォーキングしたのが効いているのかもしれません。
  • もしかしたら仕事が最近忙しくないから変化があったのかもしれません。
  • もしかしたらストレスが解消されたから改善されたのかもしれません。
  • もしかしたら睡眠の質が…

こんなものはいくらでも出せてしまうのです。

短期的効果からわかることは短期的な効果性だけ」です。

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