SF-12の概要と利用方法

SF-12は、個人の日常生活に対する健康の影響を評価するための自己報告型アウトカム測定ツールであり、主に生活の質を測るために使用される。この測定ツールは、SF-36という先代のツールを短縮したものであり、Medical Outcomes Studyから進化してきた[1]。SF-12は、回答負担を軽減するために作られたツールであり、特に健康に関する主要な要素を評価することができる。

SF-12の測定項目とその構成

SF-12は、SF-36と同じ8つの領域を評価するが、項目数は12に短縮されている。それぞれの領域は、健康が個人の日常生活にどのように影響を与えるかを明確に示している。これらの領域は以下の通りである:

  1. 健康問題による身体活動の制限
  2. 身体的または感情的な問題による社会活動の制限
  3. 身体的な健康問題による通常の役割活動の制限
  4. 身体的な痛み
  5. 一般的な精神的健康(心理的苦痛と幸福感)
  6. 感情的な問題による通常の役割活動の制限
  7. 活力(エネルギーと疲労感)
  8. 一般的な健康認識

これらの領域は、身体的・精神的健康の双方に関連し、個人の健康状態を総合的に評価するための指標となる。

SF-12の対象者

SF-12は、SF-36と同様に一般的な健康状態を測定するために設計されており、特定の疾患を持つ集団に限らず、広範な人々に使用可能である。このため、健康状態の一般的な評価に役立つツールとして、疾患が特定されていない集団にも適用される。

SF-12の使用方法

SF-12の使用方法は、基本的には12項目からなるアンケートに回答することである。患者はこのアンケートを記入し、その後、臨床医や研究者によってスコアが算出される。具体的な手順は以下の通りである:

アンケートの実施

  1. 患者にはSF-12アンケートが配布され、身体的・精神的健康に関する12の質問が含まれている。
  2. 各質問の説明が十分に理解されるようにし、回答の一貫性を確保する。

インフォームド・コンセントの取得

  1. アンケートを実施する前に、参加者からインフォームド・コンセントを得る。
  2. アンケートの目的や秘密保持の徹底、質問に対する連絡先情報を提供する。

スコアの算出

  1. 参加者がアンケートを完了した後、臨床医や研究者がSF-12のスコアアルゴリズムに基づいてスコアを算出する。
  2. スコアは、物理的コンポーネントサマリー(PCS)と精神的コンポーネントサマリー(MCS)の2つの指標としてまとめられる。

スコアの解釈

  1. SF-12のスコアは、平均50、標準偏差10という基準に基づいて解釈される。
  2. 50を超えるスコアは、平均よりも良好な健康関連の生活の質を示し、50未満のスコアは平均以下の健康状態を示す。

スコアの比較とベンチマーキング

  1. 個々のスコアを集団の基準と比較することで、健康状態の評価を行う。
  2. 特定の領域で低いスコアが示される場合、その領域に関してさらに詳しく調査を行い、介入が必要な場合がある。

臨床医や研究者によるレビュー

  1. 臨床医や研究者は、他の臨床情報と合わせてSF-12のスコアをレビューする。
  2. 特定の領域で低いスコアを確認することで、患者の健康状態に対する理解が深まり、必要な対策を講じることができる。

フォローアップとアクションプラン

  1. SF-12の結果に基づいて、適切な介入や治療計画の調整を行う。
  2. 定期的なフォローアップを行い、患者の健康関連の生活の質の変化を追跡する。

ドキュメンテーションと報告

  1. SF-12のスコアは患者の医療記録や研究データベースに記録される。
  2. 患者には、スコアの意味や推奨される行動に関する包括的な報告が提供される。

SF-12の信頼性と妥当性

SF-12は、さまざまな疾患群において有効性が検証されており、メンタルヘルス、脳卒中、心筋梗塞などの患者群においても使用されている。

妥当性の確認

SF-12は、SF-36と比較した場合、患者群におけるスコアの類似性が確認されているが、標準誤差が大きくなる傾向がある[3]。別の研究[5]では、SF-12がSF-36のMCSおよびPCSと一致することが確認され、治療の進展において同様の変化を示すことが報告されている。また、9カ国における調査結果[6]では、SF-12とSF-36の間に相関があることが確認され、SF-12が大規模集団の評価に有用であるとされている。

反応性の確認

SF-12は、SF-36と同様に、時間の経過とともに健康状態の変化を反映することが示されている[5]。

SF-12のバージョンと注意点

SF-12には2つのバージョンがあり、スコアリングに若干の違いがあるため、使用するバージョンを明確に記録することが推奨されている。また、SF-12はSF-36と同様に広範に使用されているが、その利用には特定のライセンス契約が必要であるため、注意が必要である。

結論

SF-12は、身体的および精神的健康に関する簡便で信頼性の高い評価ツールであり、一般の人口から特定の疾患群に至るまで広範な利用が可能である。その簡便さと有効性により、医療現場や研究の分野で広く使用されており、健康関連の生活の質を測るための重要な指標となっている。

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参考文献
[1] Ware, J. (2000). SF-36 Health Survey Update. Spine, 25(24), 3130-3139. https://doi.org/10.1097/00007632-200012150-00006 [2] Rand Health Care. (2020, February 29). 12-Item Short Form Survey (SF-12). Retrieved from https://www.rand.org/health-care/surveys_tools/mos/12-item-short-form.html [3] Ware, J., Kosinski, M., & Keller, S. D. (1996). A 12-item short-form health survey: Construction of scales and preliminary tests of reliability and validity. Medical Care, 34(3), 220-233. https://doi.org/10.1097/00005650-199603000-00003 [4] Ware, J. E., & Sherbourne, C. D. (1992). The MOS 36-item short-form health survey (SF-36): I. Conceptual framework and item selection. Medical Care, 30(6), 473-483. https://doi.org/10.1097/00005650-199206000-00002 [5] Jenkinson, C., Layte, R., Jenkinson, D., Lawrence, K., Petersen, S., Paice, C., & Stradling, J. (1997). A shorter form health survey: Can the SF-12 replicate results from the SF-36 in longitudinal studies? Journal of Public Health, 19(2), 179-186. https://doi.org/10.1093/pubmed/19.2.179 [6] Gandek, B., Ware, J., Aaronson, N., Apolone, G., Bjorner, J., Brazier, J., Bullinger, M., Kaasa, S., Leplege, A., Prieto, L., & Sullivan, M. (1998). Cross-validation of item selection and scoring for the SF-12 Health Survey in nine countries: Results from the IQOLA project. Journal of Clinical Epidemiology, 51(11), 1171-1178. https://doi.org/10.1016/S0895-4356(98)00115-5

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