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医学論文の読み方と検索方法、pubmedとGoogleスカラー


柔道整復師・理学療法士・鍼灸師・カイロプラクター・オステオパス・整体師・スポーツトレーナーは学生時代論文の読み方を習いません(少し習う学校もありますが)。

そのため、論文が読めないことは当たり前のようです。

実は医学部でも論文の読み方は特別習わないそうです(知り合いの精神科医と小児科医曰く)が、それでも読めない人は滅多にいないそうです。

読めないひとは「相当ヤバい」と言われていました。

それくらい当たり前の事が論文を読むことなのです。

論文が読めるべきです。

それは、経験よりエビデンスが重要という話ではありません。

解剖学が知識として必要なように論文から情報を得る能力が必要なのです。

論文を読めることのメリット

何がどれだけ効果があるか知ることができます。

経験では決してわからないことです。

例えば経験では徒手療法や運動療法を行って、それが治療によって回復が早まったのか、単に自然治癒しただけかの判断ができません。

論文はその点も示してくれます。

そして論文を読むことでクリティカルシンキング(critical thinking)とロジカルシンキング(logical thinking)スキルが身につきます。

クリティカルシンキングは批判的思考、つまり物事を押し並べ、それの是非を考える能力です。

ロジカルシンキングは論理的思考、つまりバイアス(偏見)やヒューリスティック(経験則的な判断)、自己的思考なく、物事を考える能力です。

これらが身につきます。論文、というか科学は歪んだ思想のない清らかな学問なのです。

また、情報リテラシーが身につきます。

情報リテラシーは自分の知りたい情報を効率的かつ効果的に集め、情報を精査し適切に判断する能力です。

特に医療系情報は9割以上が英語であるため、日本人には情報取得にある程度のアドバンテージがあり、発展しにくいです。(そのため否定された治療も行われ続けます)

論文により情報リテラシーを高め、このアドバンテージを埋めるのに役立ちます。

論文の基本的な読み方【論文の検索方法】

論文を読むには論文を検索出来なければどうしようもありません。

ここでは、基本となる検索方法を紹介します。

論文を探すには論文検索サイトを用います。

論文検索サイトはいくつかありますが、pubmedGoogle scholarが使いやすい(個人的に)のでこの2つの使い方を紹介します。

論文検索サイトによって載ってない論文もあるので色々なサイトを使えた方が良いです。

論文検索サイトを使う以外にも自分の関連する分野の論文掲載誌やウェブサイトをチェックするのも論文取得方法としては有用です。

例えば私はpain reportという無料の痛みに関する論文紹介をするサイトを定期的にみています。

では早速pubmedの使い方を書いていきます。

まずpubmedのウェブサイトを開きます(mobile版もあります)。

ここではモバイル版でやっていきます。

pubmedを開いたら知りたいワードを入力します。

今回はとりあえず「足の捻挫」について検索します。

pubmed91%が英語論文なので英語をで検索します。

英語が分からない場合は調べてから検索して下さい。

(たまになんで英語まで覚えるの?と聞かれることがありますが、こんな時便利なのです)

足の捻挫なので「ankle sprain」で検索します。

するとこの様に17000件論文が出てきました。

検索結果は今はベストマッチ(best match)順に並んでいますが、最新(most recent)順にすることもできます。

更に細かい検索条件は左側のfiltersから変更できます。

とりあえず今回は読んでみるだけなので無料で全文読める論文を探します。

filtersからfree full textにチェックを付けます。

その他の条件を付けたい場合は任意のところにチェックした下さい。

例えば信頼度が高い論文を探したければmeta-analysisやsystematic reviewにチェックを付けます。

論文にはエビデンスレベルというものがあり、論文には論文のスタイルが大抵書いてあります。

エビデンスレベルは以下を参照した下さい。上の方が信頼度が高いです。

1a ランダム化比較試験のメタアナリシス

1b 少なくとも一つのランダム化比較試験

2a ランダム割付を伴わない同時コントロールを伴うコホート研究(前向き研究,prospective study,concurrent cohort studyなど)

2b ランダム割付を伴わない過去のコントロールを伴うコホート研究(historical cohort study,retrospective cohort studyなど)

3 ケース・コントロール研究(後ろ向き研究)

4 処置前後の比較などの前後比較,対照群を伴わない研究

5 症例報告,ケースシリーズ

6 専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む)

では、読む論文を選択します。

今回は適当に一番上の

Proprioceptive Training for the Prevention of Ankle Sprains: An Evidence-Based Review.

を開きます。

タイトルは直訳で”足関節捻挫予防のための深部感覚(固有受容器)トレーニング:エビデンスベースのレビュー”です。

開くとこのようにabstract(要旨)が出てきます。ここには論文全文は載っていません。

abstractをざっと読んで自分が知りたい情報かを確認します。

サッと確認したい場合は最初と最後の行だけ読みます。(それで大体理解できます。)

abstractの最初の行はcontext(文脈)かbackground(背景)が書かれていることが多いです。そして最後には結論が書いてあります。

今回は最初の行には問題提起がありました。

Clinical question: Does the use of proprioceptive training as a sole intervention decrease the incidence of initial or recurrent ankle sprains in the athletic population?

(固有受容器のトレーニングで怪我は減るの?)

そして、最後の行には結論(Conclusions)として、

Conclusions: Proprioceptive training programs were effective in reducing the incidence rates of ankle sprains in the athletic population, including those with and those without a history of ankle sprains.

(捻挫の既往歴ある人ない人どちらも怪我予防の効果があった)

と書いてあります。

自分が読みたい内容だったらfull text linkから開きます。(有料の場合は買います)

full textではより詳しくみていきますが、簡潔に読むのであれば最初と結論を読みます。

full textにはなぜこの研究をしたか、研究方法はどんなものか?研究の対象はだれか、効果はどれくらいか。そして考察などが書かれています。

これを読み込み臨床に活かします。

例えばこの論文では捻挫の予防効果があると買いてありますが、

full textを読むと

Durations ranged from 5 to 30 minutes, frequencies ranged from 1 to 5 times per week, and lengths ranged from 4 weeks to an entire athletic season.

(頻度は1-5回/週で5-30分を4週間~全シーズン行った)

と書いてあるため、これ以下の運動では効果が出ない可能性があります。

深部感覚のトレーニングが怪我予防効果があると分かっていたとしてもどれくらいで効果が出るか分かっていなければ適切に処方できません。

そのため、論文は結果として全文読む必要があるのです。

次にGoogle scholarで検索します。

pubmedと同じように「ankle  sprain」で検索します。

Googleスカラーの場合は論文タイトルの右側にリンクがあるものは無料で読むことが出来ます。

この図では

An epidemiological survey on ankle sprain.

(足関節捻挫に関する疫学調査)

にリンクが載っています。

あとはpubmed同様に読んでいきます。

英語ができない人向け

英語が出来なくても論文は読めます。

翻訳機を使えば良いです。

オススメの翻訳機はGoogle翻訳ではなく、みらい翻訳です。

みらい翻訳はGoogle翻訳より高い翻訳能力があります。

少し前にみらい翻訳vs.Google翻訳を書いたので見てみてください。

あとはもうモチベーションの問題です。

好奇心があれば読めます。

 

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