Pelvic Tilt (仰臥位)
腰椎骨盤股関節複合体の安定性と可動性は,姿勢制御や動作パフォーマンスにおいて中枢的な役割を担っていると考えられている.
このエクササイズは,わずかな骨盤の前後傾を繰り返すことで腰椎の運動を誘導しながら,深層の体幹筋群の協調的な活性化を促す極めてシンプルかつ機能的なトレーニングである.運動強度は最低限であるため,ウォームアップや痛みが強い時期にも利用できる.
Pelvic Tilt (仰臥位)の手順
スタートポジション
1.仰臥位をとる
2.骨盤の初期位置(ニュートラル)を確認
3.上半身と下肢の脱力,呼吸を整える.
動作
骨盤後傾
1.息を吐きながら,腹横筋・腹直筋を意識的に収縮させる.
2.恥骨を胸郭方向へ引き上げるように骨盤を後傾させ,腰椎と床の隙間をなくす.
骨盤前傾
3.息を吸いながら骨盤を前方へ回転させ,腰椎を前弯させる.
4.骨盤後傾と骨盤前傾を繰り返す.
動作の注意点
・腰や背中を反りすぎたり力を入れすぎない
・痛みを感じる場合は中止する
・呼吸を止めずに自然に行う.吸う=前傾,吐く=後傾が基本
キューイング例
骨盤後傾
「へそを背骨の方に引き寄せましょう」
「腰の下で床を押すように」
「尾てい骨をかるく持ち上げて,腰を床にペタッとくっつけて」
「みぞおちと恥骨を近づけるイメージです」
骨盤前傾
「尾てい骨を床の方に少し倒してみましょう」
「恥骨を少し遠ざけるように」
目的別回数の目安
ウォームアップ:10回 × 1~2セット
腰椎の運動感覚を掴む:5回 × 3セット
急性腰痛初期:5~10回
主要な動作筋
骨盤後傾
・腹直筋
・腹横筋
・内腹斜筋
・大殿筋
・ハムストリングス
骨盤前傾
・脊柱起立筋
・多裂筋
・腸腰筋
・大腿直筋