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触診はどれだけあてになるのだろうか?


骨格筋痛に対して触診し、その触診結果を見たてに用いることは臨床家では一般的にみられる光景です。

しかし、筋硬度の触診の信頼性は我々は知りません。

例えば、

「片側性の痛みを持つ患者さんが居たとして、あなたは触診から右と左どちらに症状があるかどれくらいの精度で当てる自身がありますか?」

そしてもし当たらない場合、筋を緩めようとするアプローチは症状解決の手段として適切なものと言えるのでしょうか?

ということで、今回紹介する論文はこちらです。

Maigne JY, Cornelis P, Chatellier G. Lower back pain and neck pain: is it possible to identify the painful side by palpation only?. Ann Phys Rehabil Med. 2012;55(2):103–111. doi:10.1016/j.rehab.2012.01.001

実はこの論文は以前も紹介したのですが、さらっとしか紹介しなかったので、もう少しだけ詳しく紹介します。
因みにこの研究は2012年と少し古いです。

もしかしたら同じような研究がまだあるかもしれませんが、いまのところ見つからないので、この論文を紹介します。

この研究では徒手医学を訓練したドクター(臨床年数が書いてない!)が実際に片側の首または腰に症状がある患者に触診をし、当てられるかを調査しています。

腰痛は91人、首の痛みは94人でした。

結果を言うと腰痛の場合の正答率は64.8%でした。2択でこの結果でした。

頸部の場合はより低く、58.5%でした。

ただし、対象となる人数自体少ないので、より大規模に、そしてドクターの触診スキルによって結果は大きく変わる可能性があり、信頼できるものでもありません。

私としては、触診スキルの差でこの研究結果が大きく変わるのかが気になります。もし頸部痛や腰痛と触診で関連があまりないのだとすれば、触診スキルが高かろうが、低かろうが正答率はほとんど変わらないことになるはずです。

私がこの論文を取り上げた理由は「医療従事者は触診を過信しすぎているのではないか」と日々感じているからです。

この論文の信頼度は高いとは言えませんが、普段の触診結果を疑問視するきっかけにはなるのではないでしょうか?

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