臨床は不確実性に基づいた介入です。
これまでの骨格筋痛治療は、個人の臨床経験と価値観が優位に介入選択の基準として使われてきており、それらは大抵検証されずに、あるいは大して検証されずに正しいだろうという信念の元、行われてきました。
多くの医療従事者や、骨格筋痛に携わる個人/団体は故人の考えに批判することなく拘泥し、自身の考えを妄信し、都合の良い臨床的解釈の虜となっていました。
検証されていない魅力的な治療の人気は増え続けており、効果が不明な治療(筋膜リリース、姿勢アドバイスなど)を行う理学療法士の中央値は1990~1999年には41%だったにも関わらず、2010~2018年には70%と増加しています[Zadro JR et al.,2020]。
もちろん効果が不明な治療は規制されるべきではないのかも知れません。
効果が不明な治療の蔓延の問題は、似非医学と効果不明な治療の客観的な違いはほとんどなく、見分けがつくにくく、あるいはしばしば似非医学であり、効果的であるはずの治療に出会う患者の機会を損失させ、EBM(Evidence Based Medicine)と矛盾する虚言によって特徴付けられる言説によって誤った信念に犯された患者と対面したEBMを提供する医療従事者が患者にどのように介入すべきか知るのに苦労することになります[Chou WS et al.,2018]。
そこで我々は現在の骨格筋痛に携わる医療従事者に必要な3つのテーマを定めました。