足底筋膜炎は足底の痛みの一般的な原因であり、スポーツをする人もしない人も発症します。痛みが長期的に続くことがあり、スポーツ選手にとっては大きな練習の弊害になります。
足底筋膜炎のマネジメント
Sahinらを参考にするなら足底筋膜炎のリスク因子として
・BMIが25-30kg/m^2では約2倍
・足関節受動的背屈可動域が10°未満で少なくとも3倍
・長時間の立ち仕事の経歴がある症例では3.6倍
まで発症する可能性が増加します[1]。
これを介入の参考にすると患者のマネジメントはまず、仕事で立ち仕事をしているかから入る方がリスクを下げられるようになります。
ただし仕事環境について医療従事者が直接介入することはできず、アドバイスする程度になります。次に足関節の受動的背屈可動域が10°未満かどうか確認します。10°以上であってもリスクになる可能性はあるため20°未満(参考可動域)までは可動域訓練をするかどうかの選択に含めてもいいかもしれません。次にBMIを確認します。BMIが25以上の場合には体重マネジメントを利用することができます。
足底筋膜炎に対する運動介入
Rathleffらはインソールを含む(足底の)ストレッチ群と高負荷筋力トレーニング群でFoot Function Index(FFI:患者の価値観に基づいて、痛み、障害、活動制限を評価するツール)にどのような違いが見られるか調査しました[2]。
結果として高負荷筋力トレーニングはストレッチと比べて3ヶ月後にFoot Function Index(FFI)を臨床における最小重要差(MID)である7ポイントを超えて29ポイント改善することがわかりました。ただし12ヶ月後にはストレッチと比べてFFIに差はありませんでした。
高負荷筋力トレーニングは「つま先の下にタオルを入れて片側踵上げ」運動が用いられました。2日に1回、3ヶ月間、3秒で挙上、3秒で下制、2秒の最大挙上で等尺性収縮を行います。負荷は徐々に上げていき、最初は12RM(患者が適切なフォームを維持しながら全可動域を通じて12回持ち上げることができる最大重量)×3セットになるように本を入れたバックで調節し、2週間後には10RM×4セット、4週間後には8RM×5セットと負荷を上げていきます。片脚でも負荷が強い場合には両足で運動を行います。
このことからストレッチよりもまず筋力トレーニングを行った方が少なくとも3ヶ月後にはより良い転帰が得られると思われます。筋力トレーニング+ストレッチの介入はより高い効果が得られるかストレッチによってより小さな効果しか得られないかはこの研究からは明らかになりません。