腕神経叢を2次元的に理解している人は多いと思いますが、3次元で見る機会は多くなく、立体で理解するための情報源も限られているためここでは立体で理解するための前段階として3次元の腕神経叢モデルを作成していきます。

腕神経叢モデルを作る

腕神経叢はC5からT1神経叢によって形成され、上肢の感覚と運動神経を支配しています。
腕神経叢は近位から遠位にかけて、根(root)、幹(trunk)、分枝(division)、束(cord)、末梢枝(terminal branch)に分けられます。

腕神経叢はどこにある?

腕神経叢を見つけるために最初の基準となるのは後頸三角(posterior triangle of the neck)です。
後頸三角は僧帽筋の前縁、胸鎖乳突筋の後縁、鎖骨で構成される三角形を指します(図参照)。
後頸三角の中でも、神経幹の部分は前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋隙)を通過するため、まずは後頸三角から見た斜角筋隙を通過する神経幹を色分けしながら作成します。
<後頸三角>
<斜角筋隙を通過する腕神経叢>
 <後頸三角を通過する腕神経叢>

 

腕神経叢神経幹の構成と神経幹の分枝

腕神経叢の根、幹、分枝、束、末梢枝の覚え方は昔Twitterにあげて好評だった覚え方の動画を作り直してYoutube shortsに上げ直したのでそれを貼っておきます。
この動画のように2Dで覚えるのが一番シンプルで、立体になってくるとなかなか複雑です。神経幹は上神経幹(superior trunk)・中神経幹(middle trunk)・下神経幹(inferior trunk)に分けられます。
それぞれの構成を以下にまとめます。
・上神経幹:C5、C6
・中神経幹:C7
・下神経幹:C8、T1
これを元にモデルを作成します。
それぞれの位置関係も名前の通り上中下に位置させます。
ここでは青っぽい色を神経根、緑っぽい色を神経幹として作成します。

また神経幹は前枝(anterior division)と後枝(posterior division)を出しており、これらが次の神経束を形成します。

<腕神経叢神経幹の構成>

<腕神経叢神経幹の分枝>

腕神経叢神経束の構成

神経幹の分枝は神経束を形成します。それぞれの構成を以下にまとめます。
・外側神経束(lateral cord):上・中神経幹からの前枝で構成されます(C5~C7)。
・後神経束(posterior cord):上・中・下の神経幹からの後枝で構成されます(C5~T1)。
・内側神経束(medial cord):下神経幹からの前枝で構成されます(C8~T1)。

この外側・後・内側という名称は腋窩動脈(axillary artery)との位置関係を表しています。

<腕神経叢神経束の構成>

腕神経叢の全体像

ということでここまで作ってきたものの全体像はこのようになります(図参照)。
これよりも末梢の部分はまたそれぞれの機会に作成していきます。
ここで作ったモデルは今後の画像や動画で使用していきます。
同時に2次元タイプの腕神経叢も作ったのでそれも載せておきます。
<腕神経叢神経幹の全体像>

 

 

記事情報
  • 公開日:2023/10/29
    参考文献を除く本文:1266文字
    参考文献を含む本文:1266文字
    画像・動画:8枚・1本
  • 最終更新日:2023/10/29
    更新情報無し

【注意事項】
本記事は一介の臨床家が趣味でまとめたものです。そのため専門的な文献に比べ、厳密さや正確性は不十分なものとなっています。引用文献を参照の元、最終的な情報の取り扱いは個人にお任せします。誤りや不適切な表現を見つけた際、誤字を修正した場合、追記した時には「記事情報」に記述します。

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