今回は膝関節のスペシャルテストの感度と特異度をまとめていきます。

ACL損傷のスペシャルテスト

ACLは膝の主要な前方制動として働きます[4]。

膝前方引き出しテスト(anterior drawer test

前方引き出しテストは急性か慢性かで感度特異度が変化します。
膝を90°屈曲位にし前方応力を加えます。
この時、ゆるさと脛骨の前方移動があれば陽性となります。
前方引き出しテスト
【麻酔なし急性】
感度(95%CI):0.49 (0.43-0.45)
特異度(95%CI):0.58 (0.39-0.76)
【麻酔なし慢性】
感度(95%CI):0.92 (0.88-0.95)
特異度(95%CI):0.91 (0.87-0.94)[1]

↓のラックマンテストを見れば分かりますが、膝前方引き出しテストは膝90度屈曲位で半月板が引っ掛かり偽陰性となることがあるため、ラックマンテストの方が偽陰性が出にくくなっています。
ラックマンテストが開発される前は前方引き出しテストが使われていたようです。

ラックマンテスト(Lachman’s test)

ラックマンテストの手順
①患者は仰臥位になる
②患肢をわずかに外旋させ、膝を完全伸展と15°屈曲の間(現在で30度)に保持します。
③片手で大腿骨を把持し安定させます。
④もう片方の手で母指が前内側関節縁にその他4指は脛骨後面に置き、近位脛骨の後面に強い圧力を加えて前方に持ち上げ、脛骨を前方に並進させようとします。
⑤緩いエンドポイントに関連する脛骨の前方への移動で陽性となります。[2] ※拇指で脛骨の移動を触知します。
ラックマンテストは元々、膝関節完全伸展と15°屈曲の間で行われていましたが、ACLが膝関節屈曲30度で最も脛骨を前方制動する為現在では膝関節屈曲位30度で行われています[5]。
この時脛骨の前方への並進が1mm~5mmの場合はグレードI、6mm~10mmの場合はグレードII、10mmを超える場合はグレードIIIとされます[6]。
偽陽性を減らすためには後方への不安定性(PCLの不安定性)をチェックする必要があります。
ラックマンテストの感度特異度
【麻酔なし急性】
感度(95%CI):0.94 (0.91-0.96)
特異度(95%CI):0.97 (0.93-0.99)
【麻酔なし慢性】
感度(95%CI):0.95 (0.91-0.97)
特異度(95%CI):0.91 0.90 (0.87-0.94)[1]

臨床でみたことある偽陽性例でいうと、ラックマンテスト(+)でしたが、ACLは無事で上部の大腿骨が折れて崖崩れみたいになりACLが固定されなくなったことでラックマンテスト(+)となった例があります。

レバーテスト(Lever Test/ Lelli test)

レバーテストの手順
①患者は仰臥位になる。
②患肢の下に(脛骨結節の高さのすぐ遠位後面)足を持ち上げる支点として拳を置く。
※拳の下に柔らかいクッションがあると拳が沈んでしまうため注意する。
③もう片方の手で膝蓋骨の頭側または近位10 cmを下方へ押す。
④患者の足が受動的にテーブルから観察可能な距離だけ持ち上げられた場合、陰性とします。
レバーテストの感度特異度
【麻酔なし急性】
感度:0.90
特異度:0.77
【麻酔なし慢性】
感度:0.77
特異度:0.86[3]

ピボットシフトテスト(pivot-shift test)

膝を伸展し、下腿に外反・内旋力を加えながら屈曲する。
屈曲30~40度で脛骨の前方亜脱臼を生じた後、さらに屈曲していくと弾発とともに整復される。

ピボットシフトテスト
【麻酔なし】
感度(95%CI):0.24 (0.21-0.27)
特異度(95%CI):0.98 (0.96-0.99)
【麻酔なし慢性】
感度(95%CI):0.40 (0.29-0.52)
特異度(95%CI):0.97 (0.95-0.99)[1]

参考文献

[1]Benjaminse A, Gokeler A, van der Schans CP. Clinical diagnosis of an anterior cruciate ligament rupture: a meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2006;36(5):267-288. doi:10.2519/jospt.2006.2011
[2]Torg JS, Conrad W, Kalen V. Clinical diagnosis of anterior cruciate ligament instability in the athlete. Am J Sports Med. 1976;4(2):84-93. doi:10.1177/036354657600400206
[3]Massey PA, Harris JD, Winston LA, Lintner DM, Delgado DA, McCulloch PC. Critical Analysis of the Lever Test for Diagnosis of Anterior Cruciate Ligament Insufficiency. Arthroscopy. 2017;33(8):1560-1566. doi:10.1016/j.arthro.2017.03.007
[4]Butler, David & Noyes, M.D., Frank & Grood, Edward. (1980). Butler DL, Noyes NR, Grood ES. Ligamentous restraints to anterior drawer in the human knee: a biomechanical study. J Bone Joint Surg Am.62(2):259-70. The Journal of bone and joint surgery. American volume. 62. 259-70.
[5]Haimes JL, Wroble RR, Grood ES, Noyes FR. Role of the medial structures in the intact and anterior cruciate ligament-deficient knee. Limits of motion in the human knee. Am J Sports Med. 1994;22(3):402-409. doi:10.1177/036354659402200317
[6]Lubowitz JH, Bernardini BJ, Reid JB 3rd. Current concepts review: comprehensive physical examination for instability of the knee. Am J Sports Med. 2008;36(3):577-594. doi:10.1177/0363546507312641

-note記事まとめ-

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