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FMS(Functional movement screen)とは?【論文】


Functional movement screen(FMS)はグレイクック達によってつくられたスクリーニングツールです。FMSがつくられたのは1997年でした。

 

FMSとは?

 FMSでは7つの動作によって評価します。 

FMSにおける7項目

  • Deep Squat(ディープスクワット)
  • Hurdle Step (ハードルステップ)
  • In-line Lunge (インラインランジ)
  • Active Straight-leg Raise (アクティブストレートレックレイズ)
  • Trunk Stability Push-up (トランクスタビリティプッシュアップ)
  • Rotary Stability (ロータリースタビリティ)
  • Shoulder Mobility(ショルダーモビリティ)

 

日本においてはFMSのようにシステマティックに評価する方法はあまり存在しません。特に動作の評価においては大抵の場合個人の感覚による評価が採用されることが多くこのようなあらかじめ決められた評価指標は日本における臨床の弱点を補うことができるかもしれません。

 

実際の評価方法についてはフリーの論文が出ている為しることができます(3.4)

FMSの評価項目は安定性と可動性に着眼されます。

それぞれの項目は0-3で評価され、21ポイント満点となります。カットオフ値は14であるためFMSの信頼性の研究は14ポイントを基準にされることが多いです。14以上であれば怪我しにくいと評価するものでもないので注意が必要です。

 

 

FMSを学ぶには

FMSのセミナーは日本で頻繁に行われている為、容易に受講することができます。

和訳された書籍には「Movement」「アスレティックボディインバランス」があります。

Movementはトレーナーや医療従事者が評価するための方法論や理論がのっています、アスレティックボディインバランスにはセルフ評価の方法やその結果からどう解決していくかという基礎的な内容が記されています。

 

Movement7000円を超えますが、電子版(English)であれば700円代と1/10の金額で購入することができます。

私はどちらも購入しましたが、電子版は持ち歩かず外でも読みたい時に読めるため英語に抵抗がない方は圧倒的に電子版がオススメです。

FMSはシステマティックであるがゆえに、その評価方法は中々膨大な量にはなります。

そのためFMSの検査手順はポータブルにしておくと便利です。

FMSの誤解と神話

FMSに限ったことではありませんが、FMSFMSの本来の目的から外れて使用されることがあります。

これに関してはFMSの論文内で言及されているためここでも引用します。

神話1:FMS(functional movement screen)は診断のために作られている。

原文: The Functional Movement Screen is designed to be diagnostic.

FMSは診断ツールではなく、動作(movement)のスクリーニングツールです。その要素として、可動性(mobility)、安定性(stability)、運動制御(motor control)を重力下で評価しています。

神話2:FMS(Functional Movement Screen)の結果は、負荷のかかった状態や競技中のパフォーマンスに関係している。

原文: The Functional Movement Screen results relate to how the person will perform under load or in competition.

FMS(Functional Movement Screen)の目的は、スポーツのパフォーマンスを測定することではありません。

そのため、FMSの結果がスポーツパフォーマンスに関係しているかどうかを調べようとしている研究は、的外れなものであり、臨床において、FMSでスポーツパフォーマンスを調べている人もまた的外れです。

FMSは基礎的な運動能力を評価するためのものであるため、スポーツパフォーマンス能力を評価するためには追加の評価が必要です。

神話3:すべてのアスリートは「完璧な」のスコアを得るために努力すべき。

原文: All athletes should strive to get a “perfect” score.

高いスコアが必ずしも良いとは限りませ?。

FMSは個人の能力を特徴付けるために使用されるスクリーンであり、21のスコアに到達しようとすることは目標ではありません。

数値の大きさは重要ではなくむしろ、非対称性と0(動作中に痛みあり)を識別することが重要です。

グレイクック達はFMSで良好なスコアを獲得した人であっても、いくつかの要因のために怪我をする危険性があると考えられています。

具体的な要因として、

  • ランディング(着地)機構(landing mechanics)
  • 強度(strength)
  • 持久力(endurance)
  • 敏捷性(agility)
  • パワー(power)

これらの不足が含まれますが、必ずしもこれらに限定されません。

FMSの信頼性

2019年にFMSに対するA systematic review and meta-analysisが行われました(1)

サンプル数は5219(女性749)、平均年齢(SD)17-22.4歳です。

この研究では研究毎の結論が不一致であり、感度(0.260.83)と特異性(0.460.91)のばらつきは非常に大きく、14/21スコアが疑わしいものと言えます。

しかしこの研究はカットオフ値を14とした場合の話です。

最適なカットオフ値は男性では11以下(感度22%、特異度87%)、女性では14以下(感度60%、特異度61%)であるかも知れません(2)

数値の大きさは重要ではなくむしろ、非対称性と0(動作中に痛みあり)を識別することが重要という主張に基づけばカットオフ値を意識する必要自体ないかも知れません(3)

FMSの神話のところでも述べたようにFMSはスポーツパフォーマンスを評価するものではありません。

実際FMSの結果とスポーツパフォーマンスの関連の研究では、それらの関係性について否定的です(5.6.7)

(1) Trinidad-Fernandez M, Gonzalez-Sanchez M, Cuesta-Vargas AI. Is a low Functional Movement Screen score (≤14/21) associated with injuries in sport? A systematic review and meta-analysis. BMJ Open Sport Exerc Med. 2019;5(1):e000501. Published 2019 Sep 18. doi:10.1136/bmjsem-2018-00051

(2) Knapik JJ, Cosio-Lima LM, Reynolds KL, Shumway RS. Efficacy of functional movement screening for predicting injuries in coast guard cadets. J Strength Cond Res. 2015;29(5):1157–1162. doi:10.1519/JSC.0000000000000704

(3) Cook G, Burton L, Hoogenboom BJ, Voight M. Functional movement screening: the use of fundamental movements as an assessment of function-part 2. Int J Sports Phys Ther. 2014;9(4):549–563.

(4) Cook G, Burton L, Hoogenboom BJ, Voight M. Functional movement screening: the use of fundamental movements as an assessment of function – part 1. Int J Sports Phys Ther. 2014;9(3):396–409.

(5) Lockie, R. G., Schultz, A. B., Jordan, C. A., Callaghan, S. J., Jeffriess, M. D., & Luczo, T. M. (2015). Can selected functional movement screen assessments be used to identify movement deficiencies that could affect multidirectional speed and jump performance?. The Journal of Strength & Conditioning Research, 29(1), 195-205

(6) Okada, T., Huxel, K. C., & Nesser, T. W. (2011). Relationship between core stability, functional movement, and performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 25(1), 252-261

(7) Parchmann, C. J., & McBride, J. M. (2011). Relationship between functional movement screen and athletic performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 25(12), 3378-3384.

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