DN-胸郭出口症候群を深く見る(プレゼント用)

胸郭出口症候群(TOS:Thoracic Outlet Syndrome)はメジャーな疾患ですが、実情は診断が難しく、治療に対する反応が一貫していないため、上肢の圧迫性神経障害の中でも最も管理が難しい疾患であると言われることもある難儀な疾患であり、教科書上の古典的胸郭出口症候群以外のバリエーションはあまり知られていないかも知れません。

教科書上の知識では不要な検査を行い、偽陽性により誤った判断をしてしまう可能性も大いにあり、私自身としては一から調べ直す必要がある疾患だと考えています。

胸郭出口症候群(TOS)は、上肢の神経血管構造の圧迫によって引き起こされると考えられている、障害を伴う可能性のある疾患群です[Illig KA et al.,2016]。
胸郭出口症候群という語はあくまで、胸郭上口(胸郭出口)付近、特に「第1肋骨のすぐ上と鎖骨の後ろの領域にある様々な構造物による神経血管束の圧迫による上肢症状(原文:upper extremity symptoms due to compression of the neurovascular bundle by various structures in the area just above the first rib and behind the clavicle)」を指しているだけであり、圧迫している構造物を指定していません[Sanders RJ et al.,2007]。

胸郭出口症候群という用語は胸郭出口に関連する一連の症候群をまとめて包含するように造られたもので、いくつかのタイプが存在します。
つまり胸郭出口症候群は"非特異的な用語"であり、具体的な病態や病因を説明しているわけではありません。

厄介なことに胸郭出口症候群の同義語は多数あります。
・頚肋症候群(Cervical rib syndrome)
・斜角筋症候群(Scalenus minimus syndrome)
・肋鎖症候群(Costoclavicular syndrome)
・過外転症候群(Hyperabduction syndrome)
・リュックサック麻痺(Rucksack paralysis)
・小胸筋症候群Pectoralis minor syndrome
・Shoulder-hand syndrome
・Paget-Schroetter syndrome
・First thoracic rib syndrome
・Scalenus anterior syndrome
・Brachiocephalic syndrome
・Scalenus medius band syndrome
・Humeral head syndrome
・Nocturnal paresthetic brachialgia
・Fractured clavicle syndrome
・Pneumatic hammer syndrome
・Cervicobrachial neurovascular compression syndrome
・Effort vein thrombosis
・Cervicothoracic outlet syndrome
・Subcoracoid syndrome
・Syndrome of the scalenus medius band
・Naffziger syndrome
・Acroparesthesia

胸郭出口症候群は20~40代に発症することが多く女性の方が3倍程度発症しやすいです[Rayan GM et al.,1998]。

胸郭出口症候群の分類

大きく分けると胸郭出口症候群は2つあるいは3つのタイプに分けられます[Illig KA et al.,2016]
・血管性胸郭出口症候群(vascular TOS)
・神経性胸郭出口症候群(neurologic TOS)
血管性胸郭出口症候群は動脈性胸郭出口症候群(arterial TOS)と静脈性胸郭出口症候群(venous TOS)に分類されます。
神経性胸郭出口症候群は実際には2つあるいは3つのタイプに分けられます。
1つ目はtrue neurologic TOSまたはclassic neurogenic TOSと呼ばれます。
2つ目はnonspecific neurogenic TOSまたはdisputed neurogenic TOSまたはcommon neurogenic TOSと呼ばれます。
より一般的にはtrue neurologic TOS(TN-TOS)とdisputed neurogenic TOS(DN-TOS)という表記が用いられると思われます。
また3つ目としてtraumatic neurovascular TOS(外傷性胸郭出口症候群
)が分類として使われることがあります[Wilbourn AJ et al.,1999]。

鎖骨が骨折して変位し、神経叢を圧迫していることがあります。これが外傷性胸郭出口症候群です。

TN-TOSは100万人に1人の割合で発生すると推定される(実際はもっと多いという人もいます)稀な疾患と考えられています。
初期症状は、医療機関を受診するほど重篤ではなく、確定診断が出るまで何年もかかることもあります。
症状は進行性であり、典型的にはGilliatt-Sumner handと呼ばれる短母指外転筋の顕著な筋萎縮と、背側骨間筋、小指外転筋の筋萎縮、軽微な感覚障害(手・前腕の尺側に限局する)を呈す腕神経叢のInferior trunkが障害されたときに起きる症候が見られることがあります。
頚肋は人口の1%以下と珍しく、女性に2倍多く見られ、true neurologic TOSの発生率を高めていると考えられています。多くの頚肋は無症状でです。
TN-TOSの診断には電気診断が用いられます。客観的な診断所見が存在するため"true" neurologic TOSと呼ばれます。

DN-TOSの方がはるかに一般的で、胸郭出口症候群患者の90%以上を占めています。DN-TOSは主に疼痛症候群であり、多くの場合、障害を伴います。痛みは通常、鈍く、深く、びまん性であり、明確な神経学的なパターンには従いません。頭痛や胸痛が生じることもあります。感覚障害も一般的で、その分布は様々です。
DN-TOSは電気診断で異常がない神経性胸郭出口症候群のことを指します。

DN-TOSは"dispute(論争/議論)"という語が使われている通り、まさに「論争の的となっている」の疾患であり、複雑で不明瞭です。DN-TOS客観的な脱力感や萎縮はほとんど見られず、胸郭出口症候群の特徴である、骨の異常はほとんど見られません。さらにTN-TOSの診断で用いられる電気診断は正常です。

客観的な所見がないため、診断は医師の経験則と知識に大きく依存しています。

教科書上の胸郭出口症候群のいくつかの検査(アドソンテスト、ライトテスト、ルーステストなど)は血管系を検査したものであり、神経性の検査法ではありません。代わりに現在では患者の症状を再現や症状の増強を陽性とみなされます。

特にDN-TOSは非特異的であるため、確定診断ではなく、通常は除外診断されます。
つまりDN-TOSは検査や病歴、身体所見から特定するものではなく、他の疾患を除外していってはじめてDN-TOSと判断されます。
そのため、胸郭出口症候群の最も知られた検査法であるアドソンテスト、ライトテスト、ルーステストなどは最も重要な所見ではなく、これらが陽性だったとしても胸郭出口症候群と判断することはできません。

胸郭出口症候群の一般的に受け入れられている診断基準は欠如しています[Povlsen B et al.,2014]。
胸郭出口症候群自体がはっきりとしない以上、胸郭出口症候群の有病率も不明瞭であり、報告されている有病率は暫定的、あるいは意見として受け止めるべきです。

これらの症候群の発生率や有病率は実際にはほとんど知られていません。その理由は非常に主観的であり、診断に関するコンセンサスが得られなく、認知度が低くTN-TOSとDN-TOSとの境界が非常に曖昧であることが挙げられます。
これは「胸郭出口症候群は過剰評価されている」という文献と「胸郭出口症候群は過小評価されている」という文献がでていることからもわかります[Roos DB.1990][Wilbourn AJ.1990]。

検査前に知っておきたいこと

基本的な除外しなければならない疾患は
・頚椎神経根症
・尺骨神経障害
・手根管症候群
・腕神経叢腫瘍
・頸部脊柱管狭窄症
・パンコースト腫瘍
・Parsonage-Turner症候群(神経痛性筋萎縮症)
・脊髄空洞症(症状が両側にある場合)
です。

頚椎症性神経根症や尺骨神経、正中神経障害は、胸郭出口症候群よりもはるかに一般的であるという認識は必要です。
この認識がまずは除外からするという臨床的な検査手順を形成します。

ここでは各疾患の検査を細かく紹介しませんが、
神経症では、頸部運動で症状が悪化しやすく、スパーリングテストが陽性であり、腕への放散痛が生じ、神経根の分布内でのしびれや、筋力低下が見られます。
肘部での尺骨神経障害では、前腕ではなく手の尺骨分布のみにしびれがあり、尺骨神経が支配する固有の手の筋のみに筋力低下が見られます。
手根管での正中神経圧迫は、夜間の人差し指と中指の感覚異常、人差し指の先端のしびれ、軽度の脱力などの既往歴があり、尺骨神経分布の感覚低下ありません。

そのためMMTのような神経学的検査法は胸郭出口症候群では行うべき検査であり、目的は障害をうけた神経の特定だけでなく、それ以前に他の疾患の除外が目的として含まれます。

ただし厄介なことに胸郭出口症候群の42%の症例でダブルクラッシュ(Double-crush)が生じていたという報告もあります。[Wood VE et al.,1990]。特に手根管症候群と生じやすいく、ダブルクラッシュだけでなく、リバースダブルクラッシュ(Reverse double-crush)も生じます。

そのため手根管症候群と診断されたものでも胸郭出口症候群を併発している可能性はあります。

胸郭出口症候群と診断された50人の患者における特定の症状の発生率は以下のように報告されています[Sanders RJ et al.,2007]。
・首の痛み:88%
・僧帽筋部の痛み:92%
・鎖骨上の痛み:76%
・胸部痛:72%
・肩の痛み:88%
・腕の痛み:88%
・後頭部の痛み:76%
・知覚異常: 98%
・5指すべて:58%
・第4,5指:26%
・第1-3指:14%
・知覚異常なし:2%

nTOSの典型的な症状は、上肢の疼痛、感覚異常、または脱力感です。症状の重さは、特定の活動の後に増加し、1日の終わりや睡眠中に悪化する傾向があります。

病因(胸郭出口症候群圧迫型)

胸郭出口症候群の病因は複雑です。

最も一般的な説明は胸郭出口部にある3つの空間によるものです。

①【斜角筋隙(Interscalene triangle)】

前斜角筋、中斜角筋、第一肋骨で囲われた範囲を斜角筋隙と言い腕神経叢の代表的な絞扼部位の1つです。

斜角筋隙は腕神経叢と鎖骨下動脈が通過し、脈鎖骨下静脈は通過しません。
これらの神経血管構造は斜角筋隙から腋窩までdeep cervical fasciaの一部であるaxillary sheathで囲われています。

前斜角筋は第3~6頸椎横突起前結節から起始し、第1肋骨の前斜角筋結節(Lisfranc結節)に停止します。
中斜角筋は第2~7頸椎横突起後結節から起始し、第一肋骨の鎖骨下動脈溝の後方に停止します。

斜角筋隙の底辺の平均距離は平均0.67cm~1.2cm程度です。しかし斜角筋の解剖学的変異によりここが塞がっている(あるいはオーバーラップしている)こともあります[Atasoy E.2004]。
この場合、斜角筋隙の下の部分は重なり合って「V」字や「U」字になります。これにより狭い空間ができ、鎖骨下動脈や腕神経叢が高い位置にある状態になることがあります。
腕神経叢全体が斜角筋隙を横切っていますが、斜角筋の停止部の間で第1肋骨と接触するのは、腕神経叢の下部と鎖骨下動脈だけです。
また斜角筋隙の情報では腕神経叢の上部が接触する可能性があります。

中間斜角筋が第1肋骨の全長に沿って停止する場合は神経血管構造は筋を通過することになります。
C5やC6、時にC7神経根からの神経は前斜角筋の後方を通るのではなく、筋を貫通する例や前方を通過する例は珍しくありません[Atasoy E.2004]。

鎖骨下動脈とT1の間には胸郭出口症候群の30%~50%にしか見られない最小斜角筋(scalenus minimus muscle)が認められることがあります。これは前斜角筋の過剰な筋束で、腱膜状や明確な筋束まで多様な形態をもっており、C6とC7の横突起から起始し、胸膜や第1肋骨に付着します。最小斜角筋があると斜角筋隙が狭くなって神経叢を圧迫することがあります。

このような解剖学的変異は腕神経叢障害の原因となる可能性があります。

斜角筋隙で神経が圧迫されると、通常、斜角筋への外傷による後頭部の頭痛や大きな首の痛みを伴いますが、他の2つのスペースで神経が圧迫されると、頭痛や首の痛みはないか最小限に抑えられます。

【繊維性索上物】

胸郭出口部には繊維性索上物が観察されることがあり、バリエーションは豊富です。これらの繊維はTh1椎体やC7椎体の横突起の先端、頚肋、第1肋骨から一般的には中斜角筋の停止部に沿って第1肋骨の後部に付着します[Atasoy E.2004]。
(例としてVertebra septocostal ligament, Transcerse septocostal ligament, Costo septocostal ligamentがあります)

これらの繊維性索上束は腕神経叢を下から圧迫する可能性があると考えられています。

【後頸三角】

胸鎖乳突筋前縁、僧帽筋後縁、鎖骨で囲まれた領域を後頸三角と言います。

後頸三角は腕神経叢の神経幹を形成する領域です。

②【肋鎖間隙(costoclavicular space)】

肋骨と鎖骨のスペースを肋鎖間隙と言い腕神経叢の代表的な絞扼部位の1つです。

上神経幹と中神経幹の前方の神経は外側神経束を形成し、下神経幹は内側神経束を形成し、上神経幹と中神経幹と後神経幹の後方の神経は後神経束を形成します。

そしてこれらの神経束は鎖骨下動脈、鎖骨下静脈と肋鎖間隙を通過します。

なで肩のような姿勢の悪さがある人は胸郭出口症候群を発症する可能性があります。
また
肩の外転中に鎖骨は後方および上方に移動し、肋鎖間隙の狭窄につながる可能性があります。

ただしこのスペースは鎖骨骨折の場合には圧迫される可能性のある部位ですが、神経因性や動脈性胸郭出口症候群ではそれほど重要ではありません。

③【小胸筋下間隙(subpectoralis minor space)】

小胸筋腱と前鋸筋、肋骨、肩甲下筋で囲まれたスペースを小胸筋下間隙と言い腕神経叢の代表的な絞扼部位の1つです。

古典的な胸郭出口症候群は、頸部周辺の病理を説明されていましたが、胸郭出口症候群と思われる患者の半数以上が小胸筋部の圧痛も伴っていることが示されているます[Sanders RJ et al.,2010]。

腕を上げると、神経血管束が小胸筋に向かって上昇するため、EASTまたはRoosテストで症状が出るのは、このためと思われます。
また、8.5%ではLanger’s archが確認されており[Clarys JP et al.,1996]、この構造は胸郭出口症候群に影響する可能性があります。

胸郭出口症候群のさまざまな症状のほとんどすべてが、腕神経叢のinferior trunkに関係しているように見えます。
医学書にはC5-C7を含む「Upper plexus(上方の腕神経叢)」の胸郭出口症候群が記載されていますが、その解剖学的根拠は明らかになっていません。

キャダバーによる解剖では、胸郭出口の両側に "正常 "と考えられる解剖があるのは、人口の10%に過ぎないことが示唆されています[Junoven et al.,1995]。
解剖学的異常を持つ患者の大多数は、環境因子が存在しない限り無症状であることを認識することが重要です。言い換えれば、異常が存在するだけでは治療しなければならないということではありません。

また中程度の外傷、特にむち打ち症は、多くの人が胸郭出口症候群の因子であると考えており、原因が特定できる胸郭出口症候群のほとんどの症例を占めています。
神経性胸郭出口症候群の一般的な(恐らく半数以上)病因は、頸部の外傷(自動車事故など)と解剖学的素因(神経の通り道が狭い構造)の組み合わせであると考えられています。
次の最も一般的な病因は、反復ストレスで、キーボード、電話、ラインで作業する人、一度に数時間1つの位置に 座っている人が例として挙げられます[Sanders RJ et al.,2004]。

病因(胸郭出口症候群牽引型)

胸郭出口症候群は一般的に圧迫症候群という立ち位置ではありますが、腕神経叢障害は圧迫型と牽引型と混合型に分類されることがあります[片岡泰文ら.1991]。

牽引型では上肢の疼痛、しびれ、だるさなどの上肢症状、頚部~背部の疼痛、凝りから、手指の運動障害や頭痛、め まい、不眠、全身倦怠感などのいわゆる不定愁訴を示すとされています。

さらに牽引型では上肢下垂時の症状が強く、荷物を持つなど下方ストレスが加わることにより増悪がみられ、午前 中より午後の方が症状が強くなる傾向にあります。そして下垂した肩甲帯を持ち上げ保持することで即座に症状の改善が認められることが特徴として挙げられています。

Tinel様徴候が重要であり走行に一致して強い圧痛や肩~手指への放散痛が認められ、特に斜角筋隙上方部が牽引刺 激状態を反映している場合が多いと考えられています。
この圧痛や放散痛も肩甲帯を挙上保持することで改善し、また頚部を健側に伸展回旋させて腕神経叢の牽引状態を強めることで悪化する特徴があると考えられています[Makio Y et al.,1996]。

牽引型の診断基準として、以下の3つが挙げられています。

1、肩甲背部から上肢にかけての神経血管牽引症状が存在し、長時間持続するか反復性である
2、上肢の下方ストレスで症状が増加し、上肢・肩甲帯を挙上保持することにより賊座に症状の改善ないし、消失が認められる
3、斜角筋隙情報で圧痛や上肢から手指、背部への放散痛が認められる。

牽引型の治療は、姿勢改善と肩甲帯の筋持久力と筋力の向上が主となります。

腕神経叢の基礎解剖学

腕神経叢の77%は通常、C5–T1神経根の腹側枝で構成されています。20〜25%はC4からも寄与されており、約1%はT2からの寄与があります[Lee HY et al.,1992]。

教科書で説明されている腕神経叢は一般的と認識できるほど腕神経叢は典型的な形状はなく、様々なバリエーションが存在がここでは一般的に紹介されやすい形状を紹介します。

腕神経叢は5つの構成要素に分けられます。
・神経根(roots)
・神経幹(trunks)
・divisions
・神経束(cords)
・末梢の枝(terminal branches)

この構成要素は腕神経叢障害を細かく検査する時に検査の理解を深めることができます。

基本的な解釈は5つの根(C5–T1)が組み合わさって、上、中、下の幹(trunks)を形成します。C5とC6が組み合わさって上部トランクを形成し、C7が中間のトランクを形成し、C8とT1が組み合わされて下部のトランクを形成します。各幹は前部と後部に分かれます。前部は腕と前腕の屈筋コンパートメントに神経支配を供給し、後部は伸筋コンパートメントに神経支配を供給します。

腋窩神経、筋皮膚神経、正中神経、尺骨神経、橈骨神経で腕神経叢の末梢の枝は、上肢の主要な末梢神経となります。
筋皮神経は外側索からの末端枝であり、尺骨神経は内側索からの末端枝です。
外側索と内側索の両方が組み合わさって、正中神経終を形成します。
後索終末枝は腋窩神経と橈骨神経です。

 

胸郭出口症候群の診断基準

胸郭出口での圧迫の症状は様々であるため、TOSの診断は困難であることを予め理解しておく必要があります。
nTOSであることが判明した人に早期診断と適切な治療を拒否することは、すべての人に損害を与え、多くの患者は、何年も症状に悩まされながらも診断がつかないことが多いの、特異度ではなく、多少の偽陽性のリスクがあっても感度を最大にすべきです。

診断基準[Weaver ML et al.,2017]

(1) 単一の頸部神経根または末梢神経の分布を超えて広がっている
(2) 少なくとも12週間にわたって存在する
(3) 他の疾患で十分に説明できない
(4) 以下の5つのカテゴリーのうち、少なくとも4つのカテゴリーで少なくとも1つの基準を満たすこと。

1. 主な症状
1A.頸部、背中上部、肩、腕および/または手の痛み
1B. 腕、手、指のしびれ、感覚異常および/または脱力感

2. 症状の特徴
2A.腕を高くすると痛み/感覚異常/脱力感が悪化する
2B. 長時間の腕や手の使用、長時間のキーボード作業やその他の反復的な負荷によって悪化する痛み/感覚異常/弱さ
2C. 鎖骨上窩または鎖骨下窩から腕に向かって放散する痛み/感覚障害

3. 病歴
3A. 頭部、頸部または上肢の職業的、娯楽的または偶発的な傷害(上肢の反復性の緊張または使いすぎの活動を含む)後に症状が始まった。
3B. 鎖骨または第1肋骨骨折の既往、または既知の頚肋の既往
3C. 頚椎または末梢神経の手術を受けたことがあり、持続的な改善が見られない
3D. 胸郭出口症候群に対する保存的または外科的治療の既往

4. 身体検査
4A. 斜角筋隙または小胸筋下腔の触診による局所圧痛
4B. 斜角筋または小胸筋下腔の触診による腕・手・指の感覚異常
4C. 握力、内在筋、第五指の筋力低下、または母指球/小指球の萎縮

5. 挑発的な操作
5A. ULTT陽性
5B. 1 分間または 3 分間のEAST陽性

この診断基準で厄介なのは「少なくとも12週間にわたって存在する」であり、即座に診断を下すことはできません。これは同時に胸郭出口症候群の難しさを反映しているように見えます。
腕神経叢、斜角筋、僧帽筋、前胸壁などの触診による圧痛が認められることがあります。しかし圧痛は有用な客観的所見ではありますが、それだけでは神経性胸郭出口症候群の診断を裏付けることはできません。

nTOSは、非特異的な症状、病態生理学的メカニズムの解明が不十分であること、「客観的」な検査法の適用が限られていること、他の臨床疾患との重複の可能性があること、また、診断と治療のための明確な定義、一般的に受け入れられ、一貫して適用されている基準がないことなどから、管理が困難な場合が多い[Illig KA et al.,2016]ことは常に意識しておく必要があります。

胸郭出口症候群の検査

胸郭出口症候群は「ゴールドスタンダード」として高く評価されている単一の検査はありません

前述したように先に他の疾患を除外するために、遠位から近位に向かってテストを行うべきです。そして他の疾患が除外されたところで胸郭出口症候群の検査(上記の診断基準に従う)を行います。

覚えておくべきスペシャルテストの1つ目は診断基準にもあったEAST(Roos test)です。

【EAST(Elevated arm stress test)】
患者は患部の腕を完全に外転・外旋させた後、3分間かけてゆっくりと手を開閉します[Illig KA et al.,2016]。
典型的な症状が現れ、患者がこの動作を3分間続けることができない場合は、異常とみなされます。

手根管症候群や肘部管症候群により偽陽性が現れることがあります。手関節の位置はニュートラルにして背屈しないようにすることで偽陽性を減らすことができると考えられます。

アドソンテスト(The Adson test)、ライトテスト(Wright test)、costoclavicular testはメジャーな検査法ですが、例えばアドソンテストは深呼吸によって斜角筋を緊張させ、それによる橈骨動脈の拍動の変化を観察しますが、無症候の51%で脈拍が減少した報告があり[Gergoudis R et al.,1980]、恐らく、胸郭出口症候群の診断的価値はないと言った理由から有用性が低いため省略します。

【modified ULTT(Upper Limb Tension Test)】
神経根症など上肢の神経障害では使われることの多いULTTです。
ULTTは各末梢神経に伸張ストレスをかけ症状が再現されるか観察する検査法です。
ULTTのバリエーション自体は様々ありますが、ここではmodified ULTTと呼ばれる方法を紹介します[Sanders RJ et al.,2007]。

注意したいこととしてULTTが陽性であってもnTOSの病態ではなく、代表的な3つの領域のいずれかで腕神経叢の神経根が圧迫されていることを示しています。

①肘を伸展位で両肩を90度外転する。

②両手の手関節を背屈する。

③頭を片側に側屈し、その後、反対に側屈する。

【MMT】
MMTは他の疾患の除外や障害部位の特定、治療方針の決定のために重要な検査です。

大まかにはC5-C7の関与の疑いは、上腕の感覚障害、三角筋、上腕二頭筋、上腕筋の筋力低下や萎縮によって示唆され、C8-T1の関与は、手の筋の筋力低下によって疑われます。

障害部位を特定するためにさらに段階的なMMTを用いることができます。

まずは腕神経叢の中でも最も頭側近位から検査を始めます。

長胸神経(long thoracic nerve)に問題がないか確認するために、前鋸筋(serratus anterior m.)のMMTを行うことができます。

MMTの他にも翼状肩甲は、前鋸筋麻痺は長胸神経障害を疑う代表的な所見です。

翼状肩甲は、僧帽筋や菱形筋でも生じることに注意が必要です。前鋸筋麻痺では、肩甲骨の下角が胸部から離れ、僧帽筋麻痺では、肩甲骨が外前方に移動します。両方の筋が麻痺すると、肩甲骨内側全体が持ち上げられます。

【前鋸筋のMMT】

前鋸筋のグレーディング方法は提唱されていることがありますが、実際は困難であるため、ここではシンプルな方法を紹介します。
①患者は座位になります。
②肘関節を屈曲し、肩関節を90度屈曲します。
③検者は片方の手で背中を支え、もう片方の手を患者の肘の前方に置きます。
④検者は患者の肘を後方に押し、患者はそれに抵抗します。この時背中側の手で翼状肩甲が生じないか、姿勢が崩れないかを注意して確認します。
肩甲骨内側が後方に浮き出れば筋力低下があると判断します。

次に肩甲背神経(dorsal scapular nerve)を確認します。肩甲背神経は菱形筋と肩甲挙筋を支配します。

菱形筋のMMTは検査が難しい筋です。

①患者は座位になります。
②肩を90度に外転させ肘を90度に屈曲し、手のひらを下に向けます。
※検査する側に適切な高さのテーブルを用います

③僧帽筋をリラックスさせるために、伸展して患側に側屈させます。
④検者の拇指は菱形筋上の肩甲骨内側縁におきます。

⑤患者に腕や肩を後方に押してもらい、検者は肩甲骨が正中線に向かって移動しているかどうかを確認します。

さらに遠位に進むと肩甲上神経があります。この神経は棘上筋と棘下筋を支配します。

棘上筋は三角筋や僧帽筋の影響でMMTが難しいためここでは棘下筋のMMTを使用します。

【棘下筋のMMT】

①患者は肘を90度屈曲し、体幹部に肘をつけます。

②患者は肩関節を外旋し、検者はそれに抵抗します。

棘下筋の他にも外旋筋があるため、不明瞭な場合は棘下筋を触診したまま筋収縮を確認します。

次に腋窩神経の検査に移ります。

腋窩神経は三角筋と小円筋を支配しています。
三角筋も小円筋も他の筋と作用が被っているのでMMTが難しい筋です。
ここでは三角筋をピックしますが、重要なのは棘上筋/棘下筋を除外することです。

【三角筋のMMT】

①患者は肘関節屈曲0度で、肩を90度外転させます。
※この時手のひらは下を向いています。
②検者は片方の手を健側の肩に置き、安定させ、もう片方の手を患側の上腕部に置きます。
※前腕部におくと代償動作が出やすくなります。
※両側同時に検査する場合は両手を上腕部に置きます。

前鋸筋がweaknessの場合はこの姿勢をキープすることができないため事前の検査の結果も考慮する必要があります。

肩甲下筋、広背筋、大円筋は全て上腕を内転内旋させます。
広背筋と大円筋は肩を伸展します。
内転には大胸筋や三角筋が関与していることにも注意が必要です。
肩甲下筋の支配神経は肩甲下神経です。より具体的に言えば上肩甲下神経と下
肩甲下神経です。
広背筋の支配神経は胸背神経です。
大円筋の支配神経は肩甲下神経です。

つまりこれらの支配神経のイメージは以下のようになります。

【内旋筋のMMT】

①患者は肘関節90度屈曲位で肘を体幹につけます
②検者は片方の手で患者の肘部を把持し安定させます。
③患者は内旋方向に力を入れ、検者はそれに抵抗します。

【広背筋のMMT】

①患者は肩関節を90度外転します。
②そこから軽度の水平伸展します。
③患者は内転方向に力を入れ、検者はそれに抵抗します。

これで後神経束の検査が終わります。

次に外側胸筋神経を検査します。
大胸筋は外側胸筋神経と内側胸筋神経によって支配されています。

より詳しくみるのであれば、大胸筋鎖骨部は外側胸筋神経によって支配されており、胸骨部は内側胸筋神経によって神経支配されています。

つまり鎖骨部と胸骨部のを支配する神経の神経根は異なります。
外側胸筋神経の障害を検査するためには大胸筋鎖骨部のMMTを行い、内側胸筋神経の障害を検査するためには胸骨部のMMTを行います。

【大胸筋鎖骨部のMMT】

①患者の肩関節を90 度外転させ、肘を屈曲します。
※この時、手のひらを下に向けます。
②検者は大胸筋鎖骨部に触れながら、患者の肩関節水平屈曲運動に抵抗します。

【大胸筋胸骨部のMMT】

①患者の肩関節を90 度外転させ、肘を屈曲します。
※この時、手のひらを下に向けます。
②検者は大胸筋胸骨部に触れます。
③患者は肩関節を机に向かって内転します。

筋皮神経を評価するために上腕二頭筋を検査します。
これで外側神経束の検査が終わります。

残りは正中神経、橈骨神経、尺骨神経の障害であり、単独で生じる場合は腕神経叢障害ではないため、上記の検査で陽性がある可能性が高いです。
ただし、DN-TOSは神経学所見が顕著に出ないことがあるため、陰性の症例があってもおかしくありません。

またこれらに感覚障害の検査を加えることができます。

感覚障害領域を検査するコツは
①触覚低下の場合は患部から正常な領域へ筆を動かす
②触覚過敏の場合は正常な領域から患部に筆を動かす
ことです。筆の代わりに簡易的にはティッシュを用いることができます

上肢の感覚障害の領域は以下の通りです。
デルマトームとは大きく異なるため分けて捉える必要があります。
感覚障害領域は人によって異なりますが、障害領域を大きく超えている場合は他の疾患を疑う理由になります。

この図を大雑把に解釈すると、後神経束からの神経である腋窩神経と橈骨神経は上腕外側~前腕背側~拇指背側領域に障害が生じます。
外側神経束からの神経である筋皮神経と正中神経は前腕橈側~示指掌側領域に障害が生じます。
内側神経束からの神経である尺骨神経は手の尺側に障害を生じます。

まとめると検査手順は以下のようになります。

これらは障害部位の鑑別に使うだけでなく、治療時に神経障害によって生じた障害を優先して治療する際に役に立ちます。

胸郭出口症候群の保存療法

nTOSに対する保存的治療の有効性を測定するための無作為化比較試験は行われていません。
が、胸郭出口症候群への保存療法は過去提案されています[Vanti C et al.,2007][Crosby CA et al.,2004]。

基本的な保存療法の構成は症状を悪化させる活動の修正、教育、姿勢のエクササイズ、理学療法、抗炎症薬治療です。
胸郭出口症候群に対する保存療法の研究は限られていますが、運動療法は、血管症状のあるものを除いて最も広く受け入れられているアプローチです。

胸郭出口の異常とする多くの姿勢的・力学的要因が示唆されています。

しかし、これらの要因は推測であり、重要性はよくわかっていません。ただし姿勢的・力学的要因の予測は患者の指導時に役に立ちます。

特に理学療法は肩甲帯の強化、姿勢の改善、斜角筋の弛緩を目的となります。
介入は最低でも1ヶ月間、可能であれば最低でも3ヶ月間は続けます。

1つの観察研究(n=50)では、強化運動とストレッチ運動により、3ヵ月後には80%、6ヵ月後には94%の患者の痛みが軽減したことが示されています[Hanif S et al.,2007]。

肩を安定させるために、最初は中・下部僧帽筋、菱形筋がターゲットになります。
最終的には前鋸筋群の強化は重要ですが、初期や症状が強い間は水平方向の内転運動は悪化を防ぐために積極的には行いません。
ストレッチは主に斜角筋と大胸筋がターゲットになります。
これらの筋トレやストレッチや姿勢をもとに構成されています。

症状を悪化させる活動の修正や姿勢の修正について、日常生活の指導では特定の暴露を減らすことを伝えますが、これは活動や仕事を止めることではなく、より良い姿勢を取り入れながらパフォーマンスを向上させるために、これらの活動を修正することを意味します[Novak CB et al.,1997]

そのための日常生活に関する知識を以下にまとめます。

前傾姿勢は胸郭出口症候群を悪化させると考えられています。なで肩では重量物を持った時に、腕神経叢の上部が牽引されまた肩甲骨の下制により、肋鎖間隙が狭小化します。

良い姿勢のために気をつけの姿勢が取られることがありますが、この姿勢は肩甲骨が内転し、肋鎖間隙が狭小化します。

デスクワーカーのように机で作業する場合は、椅子と机の高さを考慮する必要があります。
椅子が低すぎると、患者の肩と腕が上がり、 椅子が高すぎると、患者の腰と肩が前に曲がります。

肘掛け椅子に座って作業する場合は肩が自然な位置で前腕を支える必要があります。

PCモニターは、首の過度の伸展を防ぐために、画面が目の高さより少し下で上向きになるように配置するのが理想的です。

座っているときや 立っているときに腕を横にぶら下げないようにすることも必要な時があります。
患者はコートやズボンのポケットに手を入れて肩をリラックスさせることができます

補助的な介入として、呼吸によってリラクゼーションや斜角筋の過度な緊張を低下させる教育が組み込まれることもあります。
呼吸が特に胸式呼吸が優位である場合は臨床的意義が生じる可能性が高いと考えられます。

上記したULTTを参考にするような神経をグライドする介入も提案されています[Wehbé MA et al.,2004]。これは牽引型腕神経叢障害と通じるものがあります。ただし、これのエクササイズは著者の好みに基づいており、事実に基づく根拠はありません。

エクササイズが基本的な保存療法の主となりますが、このメカニズムは明確ではありません。論理的には姿勢改善のために行われますが、必ずしもそうではない可能性もあります。

 

 

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