デルマトームの基礎
デルマトーム(Dermatome)または皮膚分節は医療系の学校で習うため、この用語と基本的な臨床での活用方法は自体はよく知られています。
デルマトームは、1つの神経根から供給される皮膚の領域を指します。
基本的にはデルマトームはどこの脊髄神経で障害が起こっているのかを教えてくれるものなので、例えば第4腰神経のデルマトーム領域の皮膚に症状があれば、第4腰神経に何らかの障害があると疑います。
デルマトームの臨床的な使い方(基礎編)
医療面接から大まかな予測を立て、検査する領域を決めます。
通常、すべてのデルマトームを検査する必要はありません。
検査をする際にはまず、検査の方法と目的について説明し、具体的に正常な部位で実施し、どのように検査するかを知ってもらいます。
デルマトームの評価は道具上の制限があると考える方もいると思われますが、触覚はティッシュやコットンを使って評価することもでき、痛覚はつまようじを使って評価できるため、筆や特殊な針を用意する必要はありません。
また、あまり臨床で用いられることはありませんが、音叉を用いて冷覚を検査することができます。音叉は振動覚の検査にも使えます。
痛覚
痛覚はつまようじを使うことができます。書籍によっては安全ピンを使い捨てで用いることを推奨していることもあります。
つまようじの先端で皮膚を軽く刺激し、正常の部位を10点とした時に疼痛強度がどの程度か評価してもらいます。
触覚
触覚はティッシュやコットンを用います。ティッシュの場合は数回折って厚みを持たせて用います。この時閉眼してもらうと視覚情報をなくすことができるため、より正確に評価できると考えられます。
温覚
温覚は正常な部位と比較することで評価されます。
冷覚は前述したように音叉を用いて評価できます。音叉は事前に冷水に入れておくことで温度を調節することができます。
評価時のコツ
強い感覚の後に、弱い感覚を感じるのは難しいため感覚は常に弱い方から強い方に順に行っていく方が境界が明確になります。
例えば痛覚過敏の場合は、痛覚過敏の範囲外から範囲内に徐々に検査を進めていきます。
感覚鈍麻の場合は、その範囲内から徐々に範囲外に向けて検査を進めていきます。
詳しくは記事内で説明しますが、隣接するデルマトームを区別することは難しいことを事前に知っておくことで検査を過度に信用しないようにすることができます。
臨床3年目までに知っておきたいこと
ここまでは学校でも習う基本的な知識です。
しかし臨床をここまでの知識のみで実践するとかなりの誤解を招くことになります。
臨床1年目までにデルマトームの分布と検査スキルを練習することを前提とした場合に、3年目までに知っておきたいデルマトームの知識を以下で紹介します。大まかな内容は目次を参照してください。
本記事を読むことで以下のことを説明できるようになります。
・デルマトームの臨床上の問題とその理由
・隣接するデルマトーム領域を評価するとはどういうことか
・単一の神経根傷害がデルマトームに及ぼす意外な影響
・最も信用できるデルマトーム図は?
・教科書に書いていないデルマトームの評価方法
・評価後のカルテの書き方がわからない
これらは一般的な教科書に記載されていない内容なので、知らない方も多いと思います。しかし臨床的にはかなり重要なことなので、上記の項目を見て説明できないなぁという方に特におすすめです。
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