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頸椎椎間板性疼痛って言われすぎじゃない?


頸部痛を持つ患者がヘルニアと言われたり、変性していると言われたり、どこかしらが狭くなっていると整形外科で言われている患者は多く見かけます。

そして一般的に頸椎の変性が疼痛を引き起こすと考えられているように見られますが、頸椎の変性が疼痛を引き起こす証拠はありません。

それは無症候性の変性が多いからです。また解剖学的に頸椎の椎間板は腰椎ほど傷つきやすくはないだろうという意見もあり、いうほど頸椎椎間板変性由来の疼痛が存在しないかもしれません。

さらに言えば、頸椎椎間板変性による頸部痛の有病率の研究はほとんど存在しません。

参考文献:Peng B, Bogduk N. Cervical Discs as a Source of Neck Pain. An Analysis of the Evidence. Pain Med. 2019;20(3):446-455. doi:10.1093/pm/pny249

有病率に関しては明確な診断方法が存在しないため研究が難しいということもあります。(偽陽性が出やすい)

臨床的にもこれが頸椎椎間板に由来する疼痛かな?と考えられるようなものがあるかもしれませんが、残念ながら、頚椎椎間板性痛の診断はおろか、病歴や身体検査の臨床的特徴を示すものは存在しないのです。(つまり非特異的)

それでも最近の組織学的な研究では椎間板が変性している(と思われる)頸部痛を持つ患者では、

患部の椎間板の神経終末の数、密度、範囲のすべてが、同じような変性変化があっても頸部痛がほとんどない患者に比べて有意に大きいことが示されています。

参考文献:Wu B, Yang L, Peng B. Ingrowth of Nociceptive Receptors into Diseased Cervical Intervertebral Disc Is Associated with Discogenic Neck Pain [published correction appears in Pain Med. 2020 Mar 1;21(3):654]. Pain Med. 2019;20(6):1072-1077. doi:10.1093/pm/pnz013

椎間板変性は疼痛の直接の原因にはなりませんが、神経学的な変性を介して疼痛を引き起こすことができるかもしれません。

臨床的にはこれを検査する方法はありませんが、頸椎椎間板性疼痛が存在するであろう可能性はあります。

 

編集後記

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Pain magazineではここまで従来の治療をいくつか批判的に観てきました。 構造主義的な観点、触診・アナトミートレイン・トリガーポイント・サブラクセーション そして今回は「バイオメカニクス」です。 (一応joint by jointとか筋膜とか心因性とかその辺も書こうと思ってます) 私の勝手なイメージですけど、バイオメカニクスを深く勉強している人ってのは勉強熱心なイメージがあります。 また、ある会社で技術と知識レベルの高い先生に「(骨格筋痛に携わる)医療従事者がとりあえず勉強すべきことってなんだと思いますか?」って聞いた時には「バイオメカニクス」と答えていました。 当時は私も同じ考えでした。 バイオメカニクスの知識が高ければ、多くの臨床で高い効果を得られるんじゃないかって思っていたからです。 それは疼痛の知識がなかったからですけれど…つまり「疼痛リテラシー」が欠如していたわけです。 これは疼痛の観点から、バイオメカニクスでは足りないってことに気づいたわけですけれど、他にもバイオメカニクス視点からバイオメカニクスはどうか?って視点も必要になってきます。 ということで今回の主題はバイオメカニクス批判です。 バイオメカニクスってとりあえず勉強しとけば治療の役に立つって考えられていますよね? でもこれって事実か事実じゃないかに限らず思考停止的な考えだと思います。 明確な根拠があるわけじゃなくて「なんとなく正しいだろう」ですよね。 「なんとなく」正しい気がして 「なんとなく」勉強することで疼痛治療に詳しくなった気がして 「なんとなく」それが治療に影響する気がして 「なんとなく」意味があるように感じるんですよね。 なぜなら、バイオメカニクスの理屈って一見論理的だからです。 一見論理的だから正しく見えます。 私が普段よく言っているヴィトゲンシュタインの言葉を借りるのなら「検証されずに確信されていることが多くないか?」に当てはまります。 特にこのバイオメカニクスへの強いフォーカスを促しているのはその”難解さ”だと思います。 解剖学はどちらかというと考えるより覚えるようなものですが、バイオメカニクスは考えなければ理解できません。 人って難解なものを学ぶとそれが正しいと思いがちです。 しかしそれは難解さにゆえ、それの価値を正しく判断することがバイオメカニクスを学ぶ以上に難解になります。 ここでは「慢性腰痛とバイオメカニクス」という観点から批判していきます。 ここでの扱うテーマは慢性腰痛治療において ●バイオメカニクスを勉強することで治療成績は上がるか? ●バイオメカニクスを治療に取り入れる意味はあるのか? です。

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当サイトでは疼痛治療をより良いものにアップデートするためのツールをいくつか提供しています。 疼痛治療では「痛みとは何か」を理解する必要があります。 その理由は単純で疼痛治療の目的に「疼痛」が含まれるからです。 何をするか、どのようにするかは常に目的ではありません。 目的である疼痛が何かを理解しなければ治療は目的に向かうことが難しくなります。 もしかしたら、治療がうまくいかない時は目的を見失っているのかも知れません。 疼痛リテラシーアップデートは現在の疼痛科学に基づいた疼痛を解説します。 疼痛科学に基づいた運動療法は、理論ではなく実技中心です。 従来の運動療法は機能やバイオメカニクスに基づいたものが多く、しかし統計的にみてそれらの運動療法は大きな成果を挙げられませんでした。 疼痛科学に基づいた運動療法は、科学に基づいた運動療法です。 機能やバイオメカニクスという狭い視点から脱却し、運動療法をより良いものに変えたい方にお勧めです。 痛み情報を発信するマガジンです。月額制ではありません。
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