論文の表を箇条書きに変換する
でかい表は見づらい
論文において表は頻繁に使用されています。
表はデータを整理し、視覚的に見やすく比較しやすい形式であり、複雑なデータを構造化して表示するのに適しています。
列や行を使って異なるカテゴリーや変数を区別でき、デジタル上では簡単にソート、フィルタリング、計算ができます。
一方で、非常に大量のデータを含む場合や小さなデバイスやスクリーン上で見る場合には、ユーザーが圧倒され、視覚的なノイズが増え、むしろ欲しい情報をぱっと見つけにくくなることもあります。
例えば以下の表は大量の情報をまとめているため少し読みづらく感じます。
このような情報は箇条書きにすることで見やすくなります。
表を箇条書きに変換する手順
Chat GPTを使うと表を箇条書きに変換することができます。
以下はGoogle chromeの場合です。
表があるページで右クリックし、検証をクリックします。
すると画面右側にDevToolsが出てくるので、左上の矢印マークをクリックします。
クリックすると矢印マークが青くなった状態になります。
矢印マークが青い状態で、表全体の色が変わるところにカーソルを表に合わせ、クリックします。
右側に[•••]が表示されるので右クリックし、コピーを押します。
あとはChatGPTを開き、「以下の表を箇条書きで要約して」と指示し、コピーしたものを貼り付けると以下のように箇条書きにしてくれます。
日本語にしたい場合は「日本語で箇条書きにして」とするか、より正確性をもとめるならDeepL翻訳がおすすめです。
最終的には以下のようになります。
自己管理に関する助言と教育
- エビデンスベース: 臨床ガイドライン2件、クリニカルパス1件、レビュー8件
- 局所の痛み: 背部、頸部、肩、膝、多部位の疼痛
- アウトカム: 疼痛、機能
- 効果の大きさ: 効果の大きさは小さい;有益な効果は長期的には証明されていない
- 証拠の強さ: 限られた証拠
心理社会的介入
- 証拠ベース: 2件のガイドライン、1件のクリニカルパス、10件のレビュー、2件のRCT
- 局所疼痛: 背部痛、頸部痛、肩痛、膝痛、多部位痛(肩痛と膝痛に関する証拠は限られている)
- アウトカム: 疼痛、機能、QOL
- 効果の大きさ: 効果の大きさは中~大;短期および長期で有益な効果が実証された
- 証拠の強さ: 中等度の証拠
運動療法
- 証拠ベース: 4件のガイドライン、3件の政策文書、32件のレビュー、1件のRCT
- 局所疼痛: 背部、頸部、肩、膝、多部位の疼痛
- アウトカム: 疼痛、機能、QOL、労働関連アウトカム
- 効果の大きさ: 要約効果の大きさは中程度から大きい;すべての疼痛症状に対して短期および長期的に有益な効果がある
- 証拠の強さ: 強力な証拠
徒手療法
- 証拠ベース: 3件のガイドライン、21件のレビュー
- 局所疼痛: 背中、首、肩の痛み
- アウトカム: 疼痛、機能
- 効果の大きさ: 効果の大きさは小さい;慢性疼痛に対する短期的効果、他の治療法と比較した長期的有効性の強い証拠はない
- 証拠の強さ: 限られた証拠
薬理学的治療(経口鎮痛薬および局所鎮痛薬)
- 証拠ベース: ガイドライン3件、クリニカルパス1件、レビュー30件
- 局所疼痛: 背部、頸部、肩、膝、多部位の疼痛
- アウトカム: 疼痛、機能(機能に関するエビデンスはあまり報告されていない)
- 効果の大きさ: 効果の大きさは中程度;短期間の疼痛軽減効果があるが、副作用のリスクがある
- 証拠の強さ: 中等度の証拠
薬理学的治療(副腎皮質ステロイド注射)
- 証拠ベース: ガイドライン3件、クリニカルパス1件、レビュー16件
- 局所疼痛: 背部痛、頸部痛、肩痛、膝痛(背部痛と頸部痛に対する効果は限定的)
- アウトカム: 疼痛
- 効果の大きさ: 短期間の疼痛緩和に対する効果の大きさは中程度から大きい
- 証拠の強さ: 強力な証拠
その他の治療(補助器具、機器、補完/代替療法)
- 証拠ベース: 5件のガイドライン、1件のクリニカルパス、1件の政策文書、20件のレビュー
- 局所疼痛: 背中、首、肩、膝の痛み
- アウトカム: 疼痛、機能
- 効果の大きさ: 効果の大きさが小さい、有意でない、または一貫性がない
- 証拠の強さ: 限られた証拠
手術
- 証拠ベース: 1件のガイドライン、クリニカルパス、17件のレビュー
- 局所疼痛: 背部痛、頸部痛、肩痛、膝痛、多部位痛
- アウトカム: 疼痛、機能、QOL
- 効果の大きさ: 効果の大きさはあまり推定されていない;疼痛と機能に対する有益な短期的効果、長期的改善に関する証拠はほとんどない
- 証拠の強さ: 限られた証拠
論文の表を思ったとおりに改変する
しかし上記した様にDevToolsを使って行うのは少し手間で、かつhtmlで書かれている必要があるためPDFの表にはできません。
さらに表の情報量が多すぎるとChatGPTが文章が長すぎるとエラーを吐きます。
そこでPDFでもでき、もっと簡単にできる方法も紹介します。
ただしこの方法はうまく生成できないこともあります。
上記の方法では表のコードをChatGPTに貼り付けましたが、表内の文字をそのままコピーしてChatGPTに貼り付けるという手段も使えます。
この方法なら表の一部分のみを貼り付けることも簡単にできます。
<表の書き起こしたい部分をコピー>
ChatGPTに指示する際は以下のように表が崩れていても割と成功します。
<ChatGPTに貼り付け>
さらに「論文の表を箇条書きに変換する」のところではやりませんでしたが、さらに改変して、表の任意の部分を取り出したり、あらたな項目を付け足したりもできます。
例えば以下のように表を変換するように指示をだします。
・すべての年齢の合計をまとめた行も追加して。
・参加者数の列を削除して。
・腰痛全般の1987-8と1997-8の差を比較した列と、腰痛のため靴下を履くことができない
1987-8と1997-8の差を比較した列を追加して。
・腰痛全般の表だけ残して。
・すべて%表記のみにして
そうすると最初に生成されたこのような表が↓
年齢(歳) | 性別 | 参加者数 (1987-8) | 参加者数 (1997-8) | 腰痛全般 (1987-8) | 腰痛全般 (1997-8) | 腰痛のため靴下を履くことができない (1987-8) | 腰痛のため靴下を履くことができない (1997-8) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20-29 | 男性 | 261 | 905 | 91 (34.9%) | 421 (46.5%) | 8 (3.1%) | 11 (1.2%) |
20-29 | 女性 | 332 | 1044 | 86 (25.9%) | 402 (38.5%) | 8 (2.4%) | 17 (1.6%) |
30-39 | 男性 | 315 | 1442 | 120 (38.1%) | 756 (52.4%) | 15 (4.8%) | 39 (2.7%) |
30-39 | 女性 | 429 | 1464 | 142 (33.1%) | 600 (41.0%) | 11 (2.6%) | 22 (1.5%) |
40-49 | 男性 | 303 | 1439 | 112 (37.0%) | 812 (56.4%) | 9 (3.0%) | 61 (4.2%) |
40-49 | 女性 | 368 | 1302 | 165 (44.8%) | 624 (48.0%) | 13 (3.5%) | 42 (3.2%) |
50-59 | 男性 | 256 | 1519 | 103 (40.2%) | 860 (56.6%) | 12 (4.7%) | 49 (3.2%) |
50-59 | 女性 | 332 | 1248 | 115 (34.6%) | 639 (51.2%) | 12 (3.6%) | 55 (4.4%) |
こうなります↓
年齢(歳) | 性別 | 腰痛全般 (1987-8) | 腰痛全般 (1997-8) | 腰痛全般の差 |
---|---|---|---|---|
20-29 | 男性 | 34.9% | 46.5% | +11.6% |
20-29 | 女性 | 25.9% | 38.5% | +12.6% |
30-39 | 男性 | 38.1% | 52.4% | +14.3% |
30-39 | 女性 | 33.1% | 41.0% | +7.9% |
40-49 | 男性 | 37.0% | 56.4% | +19.4% |
40-49 | 女性 | 44.8% | 48.0% | +3.2% |
50-59 | 男性 | 40.2% | 56.6% | +16.4% |
50-59 | 女性 | 34.6% | 51.2% | +16.6% |
これを箇条書きに変換することもできます。
このように、ChatCPTを使えば欲しい情報だけ見やすくすることもできます。
ただしChatCPTは数学が苦手なので計算系は誤りが生じやすいです。