肩鎖関節の基礎解剖学

白タム(学生)
よろしくお願いします。

タム
肩鎖関節の英語表記は"Acromioclavicular joint"です。
"Acromio"は「肩峰」、
"clavicular"は「鎖骨の」、
"joint"は「関節」を意味しており、
略称は"ACjt"を使われることがよくあります。
[肩鎖関節前方から見た図]
[肩鎖関節上方から見た図]

肩鎖関節の構成

タム
肩鎖関節は鎖骨の遠位端(肩峰端)と肩甲骨の肩峰、関節半月と薄い関節包、それを補強する靭帯で構成されています。

タム
肩鎖関節は見た目的には肩の上にちょこっとある関節ですが、骨だけにフォーカスすれば胸鎖関節を介して上肢と体幹を直接連結している関節とも言えます。

白タム(学生)
言われてみれば

タム
肩峰の関節面は(鎖骨の関節面に対して)前内側に向いており、形状は凹面で、鎖骨の関節面は凸面です。

白タム(学生)
ぱっと見の印象の話ですけど、なんていうか他の関節に比べて心許ないというか関節の接点が小さく見えますね。

タム
接触面が小さいということはそれだけ負荷が一点に集まりやすいことを意味していますね。
肩鎖関節関節面の面積は9 mm(縦)×19 mm(前後)と小さいですが、上腕骨から伝わる圧縮負荷がかかるのでストレスが大きくなります[Renfree KJ et al.,2003]。
なのでアスリートとかウエイトリフターが傷めやすい部位ですし、亜脱臼/脱臼が起こることもあります。

白タム(学生)
ふむふむ。

タム
関節半月が不完全か欠如している例もあります[Ernberg LA et al.,2003]。

肩鎖関節の作用

タム

肩鎖関節は平面関節であり、3つの動きができます[Buttaci CJ et al.,2004]。

・肩甲骨が鎖骨の上で前後に滑る動き(protraction-retraction)
・肩甲骨が鎖骨の上でヒンジのように外転・内転する動き(elevation-depression)
・鎖骨の長軸を中心に回転する動き(axial rotation)です。
これらの運動は5~8度に制限されています。

肩鎖関節周囲の軟部組織

タム
肩鎖関節周囲の代表的な軟部組織には、
静的安定化機構としての肩鎖靭帯(Acromioclavicular Ligament)、烏口鎖骨靭帯、烏口肩峰靭帯
動的安定化機構としての三角筋と僧帽筋があります。

肩鎖靭帯(Acromioclavicular Ligament)

タム
肩鎖靭帯の上方部分を
・Superior Acromioclavicular Ligamentといい、
下方部分を
・Inferior Acromioclavicular Ligamentと言います。

タム
Superior Acromioclavicular Ligament(長いのでSuperior AC Ligamentと略されたりします)は関節上部を覆っています。
関節包と合わせて、AC capsule / ligament complexを成しています。
この構造は肩鎖関節で最も強固な靭帯です。

タム
Superior AC Ligamentは鎖骨の肩峰端上部と肩峰の上部との間に延びる四辺形の靭帯で、と三角筋腱膜、僧帽筋腱膜は連結した構造です[Buttaci CJ et al.,2004]。
また関節半月が存在する場合は関節半月とも接触しています。
[三角筋と肩鎖関節]
[僧帽筋と肩鎖関節]

タム
Inferior Acromioclavicular Ligament(Inferior  AC Ligament)は関節の下部を覆っています。
この靭帯はSuperior AC Ligamentよりも薄い構造です。

タム
この靭帯は、鎖骨の後方移動や後方回旋の制動作用があります。

烏口鎖骨靱帯(Coracoclavicular ligament)

タム
烏口鎖骨靱帯は
・菱形靭帯(Trapezoid Ligament)と
・円錐靭帯(Conoid Ligament)で構成されています。

タム
菱形靭帯は外側にある幅が広く薄い繊維で、鎖骨の下面から烏口突起の上面に付着しています。
烏口突起付着部の後縁は円錐靭帯と結合しています。鎖骨付着部は離れています。

タム
円錐靭帯は内側の繊維です。

タム
烏口鎖骨靱帯の役割は
鎖骨と肩甲骨を連結し、肩甲上腕関節と共同して運動できるようにすることと、肩鎖関節の保護です。

肩鎖関節の栄養血管

タム
肩鎖関節の栄養血管は
・肩甲上動脈(suprascapular artery)
・胸肩峰動脈(thoracoacromial artery)
です。

参考文献

Buttaci CJ, Stitik TP, Yonclas PP, Foye PM. Osteoarthritis of the acromioclavicular joint: a review of anatomy, biomechanics, diagnosis, and treatment. Am J Phys Med Rehabil. 2004 Oct;83(10):791-7. doi: 10.1097/01.phm.0000140804.46346.93. PMID: 15385790.
Ernberg LA, Potter HG. Radiographic evaluation of the acromioclavicular and sternoclavicular joints. Clin Sports Med. 2003 Apr;22(2):255-75. doi: 10.1016/s0278-5919(03)00006-1. PMID: 12825529.
・Renfree KJ, Wright TW. Anatomy and biomechanics of the acromioclavicular and sternoclavicular joints. Clin Sports Med. 2003 Apr;22(2):219-37. doi: 10.1016/s0278-5919(02)00104-7. PMID: 12825527.

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