
"Acromio"は「肩峰」、
"clavicular"は「鎖骨の」、
"joint"は「関節」を意味しており、
略称は"ACjt"を使われることがよくあります。


目次
肩鎖関節の構成

肩鎖関節関節面の面積は9 mm(縦)×19 mm(前後)と小さいですが、上腕骨から伝わる圧縮負荷がかかるのでストレスが大きくなります[Renfree KJ et al.,2003]。
なのでアスリートとかウエイトリフターが傷めやすい部位ですし、亜脱臼/脱臼が起こることもあります。
肩鎖関節の作用
肩鎖関節は平面関節であり、3つの動きができます[Buttaci CJ et al.,2004]。
・肩甲骨が鎖骨の上で前後に滑る動き(protraction-retraction)
・肩甲骨が鎖骨の上でヒンジのように外転・内転する動き(elevation-depression)
・鎖骨の長軸を中心に回転する動き(axial rotation)です。
これらの運動は5~8度に制限されています。
肩鎖関節周囲の軟部組織
静的安定化機構としての肩鎖靭帯(Acromioclavicular Ligament)、烏口鎖骨靭帯、烏口肩峰靭帯
動的安定化機構としての三角筋と僧帽筋があります。
肩鎖靭帯(Acromioclavicular Ligament)
・Superior Acromioclavicular Ligamentといい、
下方部分を
・Inferior Acromioclavicular Ligamentと言います。
関節包と合わせて、AC capsule / ligament complexを成しています。
この構造は肩鎖関節で最も強固な靭帯です。
また関節半月が存在する場合は関節半月とも接触しています。


この靭帯はSuperior AC Ligamentよりも薄い構造です。
烏口鎖骨靱帯(Coracoclavicular ligament)
・菱形靭帯(Trapezoid Ligament)と
・円錐靭帯(Conoid Ligament)で構成されています。

烏口突起付着部の後縁は円錐靭帯と結合しています。鎖骨付着部は離れています。
鎖骨と肩甲骨を連結し、肩甲上腕関節と共同して運動できるようにすることと、肩鎖関節の保護です。
肩鎖関節の栄養血管

・肩甲上動脈(suprascapular artery)
・胸肩峰動脈(thoracoacromial artery)
です。
参考文献
・Buttaci CJ, Stitik TP, Yonclas PP, Foye PM. Osteoarthritis of the acromioclavicular joint: a review of anatomy, biomechanics, diagnosis, and treatment. Am J Phys Med Rehabil. 2004 Oct;83(10):791-7. doi: 10.1097/01.phm.0000140804.46346.93. PMID: 15385790.
・Ernberg LA, Potter HG. Radiographic evaluation of the acromioclavicular and sternoclavicular joints. Clin Sports Med. 2003 Apr;22(2):255-75. doi: 10.1016/s0278-5919(03)00006-1. PMID: 12825529.
・Renfree KJ, Wright TW. Anatomy and biomechanics of the acromioclavicular and sternoclavicular joints. Clin Sports Med. 2003 Apr;22(2):219-37. doi: 10.1016/s0278-5919(02)00104-7. PMID: 12825527.