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前鋸筋上部繊維は肩の上から触れる事ができる【触診・機能解剖学】痛みの原因も紹介


前鋸筋の付着部と作用

前鋸筋は肩甲下筋の深部にあります。

この2つの筋は肩甲下滑液包や肩甲上滑液包によって隔てられています。

また、肩甲胸郭部の滑液包は、前鋸筋と肋骨を分けます。

前鋸筋は、付着部によって3つに分けられる

  • 上前鋸筋serratus anterior superior
  • 中間前鋸筋serratus anterior intermediate
  • 下前鋸筋serratus anterior inferior

上前鋸筋は第1および第2肋骨から起始して中間前鋸筋は第2および第3肋骨、および下前鋸筋は第4および第9肋骨から起始します。

上前鋸筋は回旋に主に働き、中間前鋸筋は肩甲骨を前方への回旋、下前鋸筋は上方回旋を作用として持つ。

前鋸筋は肩甲骨を前方に引っ張ることで前傾(anteversion)と外転(protraction)が可能になります。

この動きは菱形骨の動きと拮抗していますが、上前鋸筋と下前鋸筋が一緒に働くと、続いて肩甲骨が菱形骨と一緒に胸郭に押し付けるように働きます、

下前鋸筋は肩甲骨の前外側運動に関与して腕の挙上の助けをします。

肩甲帯を固定すると3たの前鋸筋が一緒になって肋骨を持ち上げ呼吸補助をします。

また「ボクサーの筋肉」としても知られる前鋸筋は、パンチを投げるときに起こる動きである肩甲骨の前突に大きく関与しています。

さらに前鋸筋は僧帽筋の上部線維および下部線維と協働して肩甲骨の上方回旋維持します。

前鋸筋の栄養血管

前鋸筋の栄養血管は外側胸部動脈、上胸部動脈、胸背動脈を含む。外側胸動脈は腋窩動脈に由来する。

小胸筋の下縁に沿って走行し血液を前鋸筋と大胸筋に供給する。

分枝は腋窩を横切って腋窩リンパ節および肩甲下筋に走る。

上胸動脈は腋窩動脈の分岐であるが胸肩峰動脈から生じることもある。

上胸部動脈は前鋸筋の上部を栄養する。

胸背動脈は前鋸筋と広背筋の下部に血液を供給する。

前鋸筋の支配神経

前鋸筋の神経支配は部位によって異なります。

上部には2つの神経支配があります。

長胸神経の主幹および長胸神経自体とは無関係な独立枝があります。

独立枝はC4-6からの枝と関連しており、その経路は肩甲挙筋の神経支配の経路と似ています。

前鋸筋の中央部に関しては、長胸神経は、起始停止の間の前方部の1/3を下行します。

上部同様に下部も2つの神経、長胸神経と肋間神経の枝で支配されています。

前鋸筋の痛みの原因

前鋸筋の反復微小外傷は筋筋膜疼痛症候群の発症につながる可能性があります。

提案されているメカニズムとして、長時間の激しい咳、重い荷物を頭上に繰り返し持ち上げること、長距離ランニングなどがあります。

筋自体への外傷は前鋸筋筋膜症候群(serratus anterior myofascial pain syndrome)を生じさせるかも知れません。

この症候群では腋窩正中線に沿った第5~7肋骨に限局した原発性疼痛を訴えます。

後胸壁に関連痛を起こすあり、さらに同側上肢から第4指および第5指の手掌側面に関連痛を引き起こすこともあります。

長胸神経が損傷をすると前鋸筋が胸壁に対して肩甲骨を保持できなくなるため翼状肩甲が生じる。

これは内側肩甲骨のウィング(medial scapula winging)であり,菱形筋または僧帽筋の筋力低下による外側ウィング(lateral winging)と鑑別する必要があります。

前鋸筋上部の触診

前鋸筋は中部繊維や下部繊維だけでなく上部繊維も触知できます。

前鋸筋は上から見ると図のように見えます。

前鋸筋の触診

1肋骨から外側にかけて、前鋸筋が覆っています。

これはかなり深部にあるため、まず、前傾部下部で第1肋骨に触れる事が前提となります。

この前鋸筋を収縮させるためには軽度肩関節の伸展をします。

ただしこの前鋸筋は微かに収縮を感じられる程度で臨床上この触診に意味はないかも知れません。

知っておくべきは前鋸筋が肋骨上部にまでくっ付いているため、この付近の痛みには前鋸筋も考慮すべきということです。

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