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トレイリングリムから考える可動域検査から分かる情報なんて大したことない話


可動域検査が臨床において与える情報は沢山あるかも知れないが、その情報が疼痛治療に有効かは判断し難い。

ここでは歩行分析に用いるトレイリングリムから可動域を深堀りしていく。

トレイリングリム(trailing limb)とは

トレイリングリムは歩行分析で使われる言葉だ。

歩行パターンは大きく分けると2種類になる。

重心が移動してから、足を前に踏み出すパターンと、足を前に踏み出してから重心を移動させるパターンで、トレイリングリムは前者の重心が先行するパターンを指す。

トレイリングリムの場合は、股関節屈筋をたいして使わない。

たまに歩行は腸腰筋で主に行っていると信じている人がいるが誤りなので注意がいる。

重心が移動して、振り子のように下肢が前方に移動する。

トレイリングリムの場合は重心を十分前方に移動させるだけの股関節伸展可動域がいる。

高齢者になると膝の屈曲で股関節伸展を代償する様子がみられる。

この場合は重心移動が足の振り子より先行するが、股関節伸展を用いてないためトレイリングリムとしては不適切な動作になる。

このトレイリングリムの概念は腰痛治療でしばしば用いられる。

歩行時は腰痛は伸展位になりやすい。

股関節伸展可動域が減少している場合にトレイリングリムで歩行すると、代償性に腰痛が過伸展して腰痛を引き起こすと説明されることがある。

実際このメカニズムによって腰痛が誘発されるかも知れないし、されないのかも知れない。

問題はこの検査で、可動域検査で股関節伸展制限があったとして、この腰痛メカニズムが適応されるかは分からないし、股関節伸展が十分だとしてもこの腰痛メカニズムが適応されているかも知れないところで、

つまり可動域検査には大して腰痛メカニズムを判断するだけの情報は汲み取れないことに注意しなければならない。

具体的にみていく。

可動域の情報

股関節伸展可動域制限があったとして歩行時のトレイリングリムによる股関節伸展可動域制限があるとは限らない。

トレイリングリムによる股関節伸展はまずCKC(closed kinetic chain)であるため、単に股関節伸筋によってのみ伸展されている訳ではい。

多少の股関節伸筋の発火は見られるが、ロッカーファンクションのような足部の転がり運動時に、より具体的にはヒールロッカー(踵骨の転がり運動)時に股関節が屈曲しないように働いている程度なのだから、股関節伸展のいくらかはパッシブに行われている。

つまり、歩行時に必要な股関節伸展可動域検査は、passiveckcrocker functionを用いた上で行わなければならない。

腹臥位の股関節伸展可動域検査は勿論不適切であるし、立位の股関節伸展可動域検査も不適切となる。

ゆっくり歩行して、伸展可動域を検査する場合も適切とは言い難い。

ゆっくり歩行するとrocker functionの働き方が変わる。

つまり股関節伸展可動域はいつも通りの歩行スピードで行う必要がある。

また、通常の股関節伸展可動域検査が正常であっても、歩行時の股関節伸展が正常とは限らない。

歩行時には、rocker functionによる股関節伸展制御機能やpassiveに伸展する機能などの要素が混ざり合う。

つまり例えば腹臥位で股関節伸展をみて可動域が正常であっても歩行時に正常とは限らない。

この様に関節のみに着目した可動域検査が臨床に与える情報はかなり限定的なものとなる。

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