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カイロプラクティックサブラクセーションを批判する


数十年前のカイロプラクティックブームからみて現在カイロプラクティック院というのはどんどん減ってきています。

カイロプラクティック自体は現在でもしばしば疼痛治療に使われます。

カイロプラクティックと一括りにしましたが、カイロプラクティックの学派自体は無数に(最低でも97種はある)存在します。

メジャーどころではガンステッドやSOT、以前当ブログでも批判したAKなどがあります。

学派が分裂することで、カイロプラクティックの批判を避けることができます。

 

※誤解があったので追記します。

カイロプラクティックの批判を避けるために分裂しているのではなく、分裂した結果、批判を避ける形になっているという意味です。

例えば1種の治療法が否定されても名前や、手技を少し変えることで批判されたものと別の治療と主張することができます。

ただし、この100近くある(あるいは100を越える)学派のほとんどがカイロプラクティックサブラクセーションを理論の基礎にしています。

ここではそんなカイロプラクティックサブラクセーションを批判的にみていきます。

2種類のサブラクセーション

幸いなことに日本において2種類のサブラクセーションが混同されることは少ないと思われます。

2種類のサブラクセーションとは、整形外科学的サブラクセーション(orthopedic subluxation)と、カイロプラクティックサブラクセーション(chiropractic subluxation)です。

整形外科学的サブラクセーションは一般的な医療用語としてのサブラクセーション、つまり亜脱臼です。

日本においてはサブラクセーションよりも亜脱臼と呼ぶことが一般的です。

カイロプラクティックサブラクセーションは通常の医学用語であるサブラクセーションとは異なります。

サブラクセーションとは?

サブラクセーションはカイロプラクターによって定義がしばしば変わりますが、1997年には「神経の完全性を損なう機能的および/または病理学的変化の複合体」とし、触診などで検出できると主張されています。

Rosner A. The Role of Subluxation in Chiropractic. Des Moines, IA: Foundation for Chiropractic Education and Research; 1997.

カイロプラクティックサブラクセーション批判

最もメジャーなカイロプラクティックサブラクセーション批判は2009年に3人のカイロプラクターとPh.Dによって発表された論文でしょう。

Mirtz TA, Morgan L, Wyatt LH, Greene L. An epidemiological examination of the subluxation construct using Hill’s criteria of causation. Chiropr Osteopat. 2009;17:13. Published 2009 Dec 2. doi:10.1186/1746-1340-17-13

この論文はオープンアクセスです。

結論の一部を引用します。

カイロプラクティックサブラクセーションに関するHillの因果関係基準を満たす証拠は文献ではかなり不足している。

カイロプラクティックサブラクセーションが何らかの疾患過程と関連していること、または介入を必要とする最適以下の健康状態を作り出すことを支持する証拠は見つからない。

大衆の人気にかかわらず、これは支持されていない推測の領域にサブラクセーション構造を残す。

支持的証拠の欠如は亜脱臼構築物が有効な臨床適用性を持たないことを示唆する。

つまりサブラクセーションを支持する証拠はないのです。

以前に「トリガーポイントは科学のフリしたエセ科学」と批判しましたが、カイロプラクティックサブラクセーションも似たように、科学のフリをしたエセ科学である可能性があります。

上記した論文(Mirtz TA.2009)の前、2004年には88%のカイロプラクターがサブラクセーションに賛成し(McDonald WP.2004)2008年には70%のカイロプラクターが臨床上サブラクセーションを重要だと考えていました(Smith M.2008)

現在はその割合は減り続けているでしょう。

2011年に行われたサブラクセーション教育の調査(Mirtz & Perle.2011)ではカイロプラクティックにおける亜脱臼の概念はエビデンスが不足している問題であるが、3つの学校を除いて、北米のすべてのDCPコースのタイトル、説明、ミッションの中で、サブラクセーションの概念を述べています。

サブラクセーション構築の証拠がないにもかかわらず、カイロプラクティック教育の非常に重要な部分であると思われます。

McDonald WP, Durkin KF, Pfefer M: How Chiropractors Think and Practice: The Survey of North American Chiropractors. Semin Integr Med. 2004, 2: 92-98. 10.1016/j.sigm.2004.07.002.

Smith M, Carber LA: Survey of US Chiropractor Attitudes and Behaviors about Subluxation. J Chiropr Human. 2008, 15: 19-26.

Mirtz & Perle. The prevalence of the term subluxation in North American English-Language Doctor of Chiropractic programs. Chiropractic and Manual Therapies. 2011;19:14

The World Federation of Chiropracticwebsite「椎体サブラクセーションが病気の原因であると主張することは証拠によってサポートされていないため、歴史的文脈以外の何かで現代のカイロプラクティックカリキュラムに含めることは不適切で不必要」と述べてます。

未だサブラクセーションはカイロプラクターの中でも賛成派、否定派が大きく別れる議論です。

サブラクセーションが科学的に疑わしいということはサブラクセーションが修正可能なものかどうか判定する方法も存在しません。

現在、カイロプラクティックによる治療効果をサブラクセーションに求めることはできません。

カイロプラクターは先人の教えに拘泥することなく、批判的に考える必要があります。