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痛み(慢性疼痛)におけるレスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)


疼痛に関する臨床でのレスポンデント条件づけの関与は昔から言われていましたが、実際臨床で多く考慮されているとは言えない現状があると思われます。

レスポンデント条件づけを最初に発見したのはパブロフです。

「パブロフの犬」のパブロフです。

こういえば何となくでもレスポンデント条件づけのイメージはつきやすいと思います。

パブロフの犬

パブロフの犬の実験内容を一度復習します。

パブロフの実験の手順は以下のとおりです。
1.ベル(他の説もある)を鳴らす
2.犬に餌を与える→唾を垂らす
3.これらを繰り返す
4.ベルを聞いただけで唾を垂らすようになる

つまり、ベルの音→唾を条件づけているのです。

梅干しを見て唾が出るようなものです。

このようなものをレスポンデント条件づけ、または古典的条件づけと呼んでいます。

レスポンデント条件づけで重要な4つのワード

レスポンデント条件づけを理解するためには4つの言葉を理解する必要があります。

  • 無条件反応(UR:unconditioned
    response)
  • 無条件刺激(US:unconditioned
    stimulus)
  • 条件反応(CR:conditioned
    response)
  • 条件刺激(CS:conditioned
    stimulus)

無条件反応(UR)は人、あるいは動物が本来、生得的に持っているようなものです。
パブロフの犬でいえば、餌を食べる時に「唾液を出す」ことが、無条件反応(UR)です。

無条件刺激(US)は無条件反応(UR)を引き起こす刺激です。
パブロフの犬でいえば、唾液を出させる「餌」が無条件刺激(US)となります。

パブロフの犬では、最終的に犬にベルの音を聞かせることで唾液を分泌するようになったわけですが、このように条件づけられた反応を条件反応(CR)といい、

唾液を分泌させるためのベルの音を条件刺激(CS)といいます。

慢性疼痛とレスポンデント条件づけ

急性疼痛が慢性疼痛へ変換されるメカニズムをレスポンデント条件づけで説明されることがあります。

急性疼痛時の侵害受容刺激は無条件刺激(US)として機能します。同時にその時の触覚や固有受容のような侵害需要刺激でないもの、つまり条件刺激(CS)が発生し、その結果として両方の刺激が記憶の中に保存されます。

反対に痛みを伴わない刺激は安全を知らせる機能を持ちます。

繰り返しの条件刺激は条件反応を強めます。
反対に条件刺激が長期的になくなれば条件反応も減弱します。

しかしこの古典的条件づけは慢性疼痛を誘発し維持する可能性があるとも考えられています。

以上は急性疼痛における痛みの管理の重要性を意味します。

もし、痛み刺激に伴って何らかの求心性刺激を与え続けたとなるのであれば、その侵害刺激でない求心性刺激が痛みの誘発、つまり慢性痛の原因になりうるのです。

近年のレスポンデント条件付け

近年はレスポンデント条件付けにおける文脈刺激が注目されています。

この文脈刺激は明確の開始・終了が存在しません。
文脈の重要性については以前からブログで紹介しています。

詳しい説明はそちらにまかせます。

痛みに関して形成される条件付けは上記した求心性刺激によってのみ形成されるのではなく、文脈による条件付けが存在します。

もし痛みのレスポンデント条件付けが消失したとしても、疼痛がなくなった後、同条件の文脈に曝露することで、痛みが再発する可能性があります。
これを復元効果といいます。

慢性疼痛による疼痛の再発を考える時はこの復元効果に注意が必要です。

急性疼痛を感じた患者がどのような文脈に曝露しているかをあらかじめ観察し、聞く必要があります。