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姿勢分析の必要性が現在疑われている理由【論文】


これまで構造主義(痛みをみるうえで構造にばかり着目すること)に対して、批判的な記事を書いてきました。

ここでは姿勢と痛みについて批判的に書いていきます。

なぜ現代では姿勢をみる必要がないと言われるのか理解できると思います。

姿勢と痛みの関連性は同定できない

まず前提として、姿勢と痛みの関連性は現在まで示されていません。
さらに姿勢と痛みの関連を否定するためのデータが集まってきています。

この時点で、痛みの原因追求に姿勢が不適切である可能性は十分あります。

姿勢分析は何をみているの?

姿勢分析は患者に特定の姿勢を維持してもらい、その状態を分析しています。
しかしながら、そのようにつくられた姿勢は日常での姿勢を反映していません。

姿勢をみるという意識自体が患者の姿勢を変動させます。
これは患者のバイアスです。

さらに施術者自身も姿勢に対して過剰な評価をしている可能性もあります。

Plummer HA, Sum JC, Pozzi F, Varghese R, Michener LA. Observational Scapular Dyskinesis: Known-Groups Validity in Patients With and Without Shoulder Pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(8):530–537. doi:10.2519/jospt.2017.7268

それだけではなく、姿勢分析での立位姿勢は再現性が低く、変動性があることが研究でわかっています。

Schmidt H, Bashkuev M, Weerts J, et al. How do we stand? Variations during repeated standing phases of asymptomatic subjects and low back pain patients. J Biomech. 2018;70:67–76. doi:10.1016/j.jbiomech.2017.06.016

そのため、その場で撮影/観察した姿勢から姿勢を分析した結果からその患者の状態を分析することは困難です。

姿勢分析は誤った原因を作り出し、不必要な治療を必要とします。
一種の医原病ともいえます。

正常な姿勢とは?

 習慣的に理想的な姿勢(perfect posture)、つまり外果・パテラ後面・大転子・肩峰・外耳孔が同じラインを通るのが正常とされています。

しかし、これが正常かどうかはわかっていません。

さらにこのperfect postureからどれだけズレたら症状が発症するか、あるいは解決するかを検査する手段はありません。

もちろんスウェイバック・ミリタリー・カイフォシス・ロードシスを症状と関連させる手段はありません。

そのため、姿勢をもとに症状の解決を求めている場合はどこを目標とすればよいかの基準がありません。これもまた不必要な治療をつくりだします。

そもそも姿勢を修正できるのか?

現在姿勢を修正できるという根拠がありません。
姿勢を修正するためのいくつかの手段がありますが、それらが実際に姿勢を修正しているかを判断することは臨床において不可能です。
ストレッチやEMSは姿勢を変更しない可能性が高いです。

Ludwig O, Berger J, Becker S, Kemmler W, Fröhlich M. The Impact of Whole-Body Electromyostimulation on Body Posture and Trunk Muscle Strength in Untrained Persons. Front Physiol. 2019;10:1020. Published 2019 Aug 20. doi:10.3389/fphys.2019.01020

姿勢分析の問題点

一度姿勢分析の問題点をまとめてみます。

  • 姿勢と症状が関連するというエビデンスがない
  • 姿勢のスナップショットは変動性が高いため、当てにならない
  • 何が正常かがわからない
  • どれだけ姿勢が悪くなれば症状が発症するかの基準がない
  • 患者・施術者どちらも姿勢が症状と関連するというバイアスにかかっている
  • 姿勢を変更できる根拠がない

姿勢分析批判の制限

これらの批判は主に静的な姿勢について言及しています。
そのため動的な、より日常的な姿勢に関しては症状と関連している可能性は否めません。

しかしながら動的な姿勢を実際検査すること自体現時点では手段がないことにも注意が必要です。

臨床における注意点

姿勢と症状の関連が不明瞭であるため、それをもとにした治療はすべて批判されるべきです。
ケンダルの姿勢分析も、ヤンダのマッスルインバランスも当てになりません。

姿勢を修正しようとする手段もすべて批判的に考え直す必要があります。

PSBモデルからBPSモデルへ

以上のような姿勢などの構造に着目するようなものをPSB(posture-structure-biomechanics)モデルといいます。

最近の痛み医学はこのようなPSBモデルから脱却し、BPSモデルへの移行を求めています。