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しびれを聴く


臨床でしびれ(numbness)をみる際、大きな問題となるのは「患者の表現するしびれと医療従事者の認識するしびれの相違」です。

これはしびれに限ったことではなく、痛みであっても患者の痛みと医療従事者の痛みの解釈は相違することは多々あります。

例えば、

  • 組織の張り感を筋肉痛と呼ぶ
  • こり感を痛みと呼ぶ
  • しびれを痛みと呼ぶ

etc.

以前、「よく使う英語の痛み表現89選」という記事を書きました。

よく使う痛みの英語表現89選海外でいざという時、または英語しか喋れない患者さんが来た時、痛みの英語表現を覚えておくと便利です。 痛み表現は日本語でさえ難しいですが...

これは英語での話ですが日本語でも同じように多くの痛み表現があります。(それらについてはの記事を参照ください)

しかし臨床的には様々な痛み(しびれ)は単に痛い(しびれる)と表現されることが多く、これが相違の理由となります。

その為医療従事者は、痛みやしびれ感をより詳しく表現してもらう必要があり、その手段は大きく2つあります。

一つは「どんなしびれですか?」と直接聞く方法、もう一つは「○○のようなしびれ感ですか?」と聞く方法です。

しびれ感を聞く方法

「どんなしびれですか?」という質問は患者自身が表現方法を知らない場合答えられないという問題を抱えます。

こんな時は例を出すことで補助できます。

例えば

  • 張るようなしびれですか?
  • 痛みを伴うようなしびれですか?
  • ピリピリする感じですか?
  • ビリビリする感じですか?
  • ジーンとする感じですか?

他にも日常的に実感したことのあるしびれを例に出すことができます。

例えば

  • 正座した後の様なピリピリした感じですか?
  • 正座した後の様なピリピリ感の後にくるジーンとした感じですか?
  • 腕枕をした後の様な感じですか?

しかしこの方法の問題は、聞いた中で最も近いものを該当するしびれとしてしまう事です。

例えば、「ピリピリする」と「ピリッとする」では持続性に違いがあります。

ピリッとするでは、何かの動的因子が刺激を誘発することを予想でき、ピリピリするでは持続的に何らかの刺激が受容(または認知)されていると予想できるため、病態把握に差が生まれます。

それでも患者からすれば例えばピリッとするしびれを持っていてもピリピリするに感覚的に近いのだから、「ピリピリするしびれですか?」と聞かれたら「はい」と答えてしまう可能性があります。

そのため理想的には患者がしびれ表現に難儀していても時間短縮のため、こんなしびれですか?とすぐ聞かず、待って患者なりの最大限の表現を引き出した方が良いかもしれません。

それでも相違がでる可能性は十二分にあり、それは表現の限界からきています。

時間が経っても中々しびれ感を表現できない場合使えるテクニックとして、ワザとありえない表現をする方法があります。

例えば患者がピリピリするしびれを持っていると予想される場合

  • ズキズキするようなしびれですか?
  • じんわりくるようなしびれですか?

この方法は除外診断のような使い方として活用できます。

しびれ感覚の相違を無くすためには、患者が持つしびれ感がどんなものであるかよりもどんなものでないかの方が重要です。

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