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様々な種類の徒手療法が必要な理由


骨格筋治療(慢性痛)に徒手療法が必要ないとの意見もありますが、いくつかの徒手療法は少なくとも短期的に疼痛レベルを下げる効果があります。

徒手療法家の中にはその効果を過信している様子もしばしば見受けられますが、エビデンス上でも多少の鎮痛効果を持っています。

そのため徒手療法を骨格筋痛の治療に用いること自体は科学的にも正当な行為と言えます。

徒手療法のバリエーションは様々ありますが、中には一つの治療法を極めようとする人から、いくつかの徒手療法を習得しようと試みる人たちがいます。

ここでは徒手療法は1つのバリエーションでは足りないという話をしていきます。

受容器は4つある

徒手療法において刺激量は重要とされます。その人にあった刺激量で施術をすることでより高い効果が得られるという哲学のもと徒手療法が用いられます。

刺激量だけに着目するのであれば1つの手技だけで十分です。
弱い刺激量しかかけられない手技も中にはありますが、大抵の徒手療法は大きな刺激から小さな刺激までスペクトラム的、あるいはグラデーションのように刺激量を変化させられます。

この哲学は正しいかもしれません。

しかし重要なのは徒手療法の刺激だけでなく、性質もです。

徒手療法はしばしば「筋を」「神経を」「関節を」「内臓を」「fasciaを」と内部構造に対して用いられますが、全ては皮膚を介したアプローチです。
皮膚には多くのレセプター(受容器)が存在します。
徒手療法に反応しうるレセプターはメルケル、マイスネル(マイスナー)、パチニ、ルフィにです。さらにこれに加えて自由神経終末やct繊維が反応します。

あらゆる徒手療法はこれら全てを網羅していません。

しかし、受容器の多い皮膚を介したアプローチにも関わらずその存在を無視するのは、ナンセンスと言えます。

一度これらの受容器を復習します。

マイスネル(マイスナー)

真皮の浅層に主に分布しています。
軽いタッチによく反応し、持続した刺激には反応しなくなります。
つまりマイスネルへのアプローチは断続的なものである必要があり、持続的アプローチはマイスネルへのアプローチとは言えません。

メルケル

持続的に反応するのはメルケルです。表皮深部に分布し、触れている間は脳に刺激を送り続けます。
触れたものの質や形を検知します。
小さい刺激に対してより過敏に反応します。つまり強刺激はメルケルへのアプローチには向いていません。

パチニ

真皮の深層に分布します。

これもマイスネルのように持続的な刺激には反応せず、触れ始めと触れ終わりに反応します。
マイスネルよりも強い刺激に反応します。圧覚の受容器です。
また振動覚としての反応性が高いです。

ルフィニ

真皮の深部に分布します。

この受容器は牽引により反応します。皮膚を引っ張るような刺激に反応しやすいです。
また関節にも多く存在するレセプターで位置角にも関わります。

自由神経終末(ポリモーダル受容器)

自由神経終末の数は他の受容器よりも多いです。機械的刺激やすべての侵害刺激にも反応します。

強刺激の手技は自由神経終末を反応させ、短期的な疼痛抑制を起こします。

ct繊維

Ct繊維は赤ちゃんをなでるような優しいタッチにのみ反応します。これによりオキシトシンが分泌し、快適感を感じたり鎮痛効果を発揮します。

徒手療法はつねにこれらの受容器を刺激します。

先程も述べたようにこれら全ての受容器にアプローチできる手技は存在しません。

個人に合わせた施術にこだわるのなら刺激量以外にもこれらの受容器を加味する必要があります。

以上から考えると全ての徒手療法に優劣があるとは言えないのかもしれません。
その状況にあった徒手療法があるのみです。

我々が忘れてはいけないことは、現在のエビデンスでは特に慢性痛において徒手療法を支持する理由はあまりありません。

運動療法や心理療法、薬物療法の方が効果的である可能性が高いです。

それでも徒手療法を行う以上、常に効果性を強く疑う必要があります。

効果を実感したからその効果があるとは言えません。患者が満足したら効果があるとは言えません。血流が改善したから効果があるとはいえません。
短期的に鎮痛されたとはいえ、長期的に効果が続くとは言えません。

我々はほとんど何も分かってない上で徒手療法をしていることを常に忘れてはいけません。

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