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キネシオフォビアが高齢者の機能に及ぼす影響から考えられること


キネシオフォビア(kinesiophobia)または、運動恐怖(fear of movement)は高齢者にどんな影響を与えるだろうか?

ここでは腰痛持ちのキネシオフォビアが高齢者にどんな影響を与えるかを研究した論文を紹介する。

キネシオフォビアとは?

キネシオフォビア(運動恐怖症)は以下の様に定義される。

a state where an individual experiences excessive,irrational,and debilitating fear of physical movement and activity as a result of a feeling of susceptibility to painful injury or reinjury.

つまり、キネシオフォビアとは

「個人が痛みを伴う負傷または再負傷に対する感受の結果、身体的な動きと活動に対する過度で、不合理で、衰弱させるような恐怖を経験する状態」

となる。

 

恐怖回避モデルに基づいて、痛みが脅かされていると感じられると、痛みが大袈裟に起こり、痛みに関連する恐怖や不安を発症し、痛みの回避行動につながる。

回避行動は、個人が趣味、仕事、社交などの活動を行えない状態であり、高レベルの痛みに関連し、痛みを伴う経験を悪化させる可能性がある。

その後の長期的な痛み回避行動は、動作不全や障害、うつ病を発症するリスクがある。

LBPは高齢者では比較的一般的であり、以前の研究では、LBPが高齢者の機能的なタスクを実行するのが困難または不能につながる可能性があることが示唆されている。

特定の動きが痛みを起こし、恐怖を引き起こすと、個人はこれらの動きを避ける傾向がある。

現在はまだLBPを持つ高齢者の機能的なパフォーマンスに対するキネシオフォビアの影響の明確な証拠はない。

キネシオフォビアを考慮すれば痛みと恐怖がある患者に痛みを伴う動きや活動を避けるように患者に助言することは適切ではないかもしれない。

キネシオフォビアが及ぼす影響

検査項目は図の様になる。

Kinesiophobia, Pain, Muscle Functions, and Functional Performances among Older Persons with Low Back Painから引用

痛みや筋機能はキネシオフォビアと相関しなかった。

つまりキネシオフォビアの治療は痛みの治療と考えない方が良い。

キネシオフォビアが筋機能と相関しないのは一見驚くべきことだが、筋機能が日常生活に大して影響していないのならば納得できる。

唯一有意差が出たのが、TUGテストだ。

TUGテストは、椅子(約46cm)に座り、立ち上がり、通常のペースで3メートルの距離を歩き、曲がり、戻って、再び座るもので13.5秒を超えるTUG時間は、高齢者の移動性が低いことを示す

臨床のための論考

ここから考えられるのは、キネシオフォビアによって動かないことは筋には影響しないが、動作に影響する可能性だ。

やってない動作はできなくなる。

高齢者にテストすべきは筋の評価ではなく動作機能の検査が重要ではないだろうか?

腰痛持ちの高齢者の日常生活動作の検査はもっと必要になるかも知れない。

また、単なる機能トレーニングよりも日常生活パフォーマンス機能のトレーニングの方が実際の臨床で必要かもしれない。

高齢者のトレーニングではしばしば器具が使われる。

しかしTUGの様なトレーニングの方がよりその人らしいトレーニングといえる。

さらに

問診の検査項目に日常生活動作で上手くできないことを聞くべきかもしれない。

それが一つの目標になり、それ自体が運動プログラムに含めることができる。

セラピストの介入によりリグレッションすれば良い。

立ち上がりが上手くできないのであればそれがその人のための運動になる。できなければクォータースクワットの様な動作にリグレッションできる。

これほどシンプルな治療もないだろう。

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