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論文の読み方【タイトルや結論に惑わされないように】


習慣的に良い論文というのはタイトルをみて内容が分かったり、アブストラクト(要旨)をみて内容が十分把握できるものが多いとされます。

さらに論文の結論しか読まない人もいるため(それはそれで問題ですが)、論文は結論の分かりやすさは重要です。

しかし論文は研究者の希望的観測により結論が誇張されることがしばしばあります。

論文を結論しか読まない場合、この表現に惑わされ、誤った認知をしてしまいます。

ここでは具体的に誤った認知をしてしまいやすい例を挙げます。

結論だけみてはいけない

ここで参考にする論文はこちらです。

タイトルが

Scapular dyskinesis increases the risk of future shoulder pain by 43% in asymptomatic athletes: a systematic review and meta-analysis

です。

和訳すると、

肩甲骨の運動機能障害は無症候性のアスリートの将来の肩の痛みのリスクを43%増加させる:メタアナリシスによるシステマティックレビュー

となります。

さらにアブストラクト(要旨)には結論(Conclusions)にこんなことが書かれています。

Athletes with scapular dyskinesis have 43% greater risk of developing shoulder pain than those without scapular dyskinesis.

和訳すると、

肩甲骨の運動機能障害のあるアスリートは肩甲骨の運動機能障害のない運動選手よりも43%高い肩の痛みの発症リスクを有する。

となります。

このタイトルと結論だけみれば、

運動機能障害(dyskinesia)がある場合、ない人に比べて43%の肩を痛めるリスクがあると思ってしまいそうになります。(というかそう書いて入ります笑)

では具体的に論文をみて本当にそうか確認しましょう。

まず、参加者419人中160人(38.19%)が肩甲骨の運動機能障害を呈しました。

そのうち、肩甲骨の運動機能障害のアスリート35%(56/160)は、9~24か月の追跡で肩の痛みを経験し、対照的に、肩甲骨の運動障害のないアスリートの25%(65/259)がこの期間に肩の痛みを経験しました。

つまり肩甲骨の運動機能障害は9~24か月の追跡調査で肩の痛みのリスクを43%増加させる。

としています。

相対的に比べた表現で、実際は(絶対的には)10%の差です。

これではまるで高い確率で怪我を予測できると認知されてしまいます。

ということで論文は結論だけ読んではいけません。

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