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ファンクショナルトレーニングとは【ジムで教えて貰えるの?】


ファンクショナルトレーニングという言葉の知名度も徐々に上がってきました。Tarzanにも掲載されたことがあるので知っている方も多いと思います。たまにですが、「ファンクショナルトレーニングってどんなトレーニングがあるの?」や「ファンクショナルトレーニングでお勧めの本ありますか?」と聞かれます。

色々話を聞いているとファンクショナルトレーニングが間違って捉えられていることもあります。

ここではファンクショナルトレーニングについて詳しく書いていきます。

▶ファンクショナルトレーニングって何?

ファンクショナルトレーニングとは、

ファンクショナル(機能的な)+トレーニング

つまり機能のトレーニングのことです。トレーニングと聞くとどうしても筋トレをイメージしてしまいます。そうではなく機能、簡単にいえば使い方のトレーニングです。

ピアノを例に話していきます。

例えば、ピアノを練習していたとして、指の筋トレをしたらピアノがうまくなるかといえばそんなことはないと思います。指たて伏せをしてもピアノはうまくなりません。私はピアノをやっていますが、指の筋トレをしてもピアノの精度が上がることなんて全くないです。

ではギターを練習したらピアノは上手くなるでしょうか?これは賛否が分かれるところかもしれません。私はギターを10年以上やっていますが、ピアノをやる上での技術的アドバンテージにはなりませんでした。役立ったのは音楽理論や楽譜の読み方が分かる程度です。つまりピアノをやる上で同じ指を使うトレーニングをしてもピアノは上手くなりません。同じ筋肉を使ったからといってファンクショナルトレーニングとは言えません。

ではピアノにおけるファンクショナルトレーニングとは何でしょうか?

ピアノ奏者で自分の膝の上でピアノを弾く素振りをしているのは見たことありませんか?あれはピアノにおけるファンクショナルトレーニングの一例です。指の動きをより脳にしみこませているのです。

以上のように、筋肉を鍛える訳ではなく、使い方を鍛えていくのがファンクショナルトレーニングです。

▶ファンクショナルトレーニングでたまにある変な議論

ファンクショナルトレーニングはアストランド博士によって作られた言葉です。1992年の話です。

時間が経ち、2007年になると、トレーニングの「目的意識」がかなり着目されるようになりました。

魅せるためのトレーニングではなく使えるようにするためのトレーニングが必要とされるようになりました。

恐らくこの時からだと思います。「使える筋肉」「使えない筋肉」という言葉が使われ始めたのは。

ボディビルダーは筋肉量の割に「使える筋肉」が少ないという発言をよく聞いた時期があります。これに対し、多くのトレーニーが批判したのを覚えています。

実際器具ばかりで筋トレしているトレーニーの走り方をみると体全身で走っている訳ではなく一つ一つの筋肉で走っているような印象を得ます。これが使えない筋肉と言われる現象のひとつです。

そうはいってもボディビルダーは使える筋肉を作ることが目的ではないので全然問題はありません。ボディビルダーを使えない筋肉と批判するのは的はずれです。ここは注意が必要です。

▶よりファンクショナルにしたいならこんな考えから脱却する!

スポーツトレーナーをやっているとこんなことを聞かれることがあります。

「足を速くしたいんですけど、どこの筋肉を鍛えたら良いですか?」

この考え方はファンクショナルトレーニングから遠く離れています。確かに筋力があると速く走ることができます。

しかし筋肉だけでは限界があります。筋力があっても使い方が分からなければ意味がありません。

パソコンに例えると分かりやすいかも知れません。どれだけ良い最新のPC(肉体)をもっていてもまともに動作しない古いソフト(機能)が入っていたら思ったようにハイパフォーマンスを発揮することはできません

速く走りたければ速く走る機能をトレーニングする必要があります。そのため「どこの筋肉を鍛える」というのはファンクショナルから離れています。

▶ファンクショナルトレーニングには明確な目的が必要

ファンクショナルトレーニングに目的は欠かせません。具体的な目的が必要です。例えば足を速くしたいのであれば、その速く走る動作のうち、何の機能を向上させたいかを明確化しなければファンクショナルトレーニングをすることはできません。

速く走る上での地面を蹴る感覚を高めたいと考えるのであれば、地面を蹴る感覚のトレーニングがファンクショナルトレーニングです。

地面を蹴る感覚のトレーニングのひとつにスナップスキップがあります。つまりこの場合スナップスキップはこの人が速く走るためのファンクショナルトレーニングといえます。

反対に走る時の股関節の使い方を覚えたい人にとってはスナップスキップはファンクショナルトレーニングとは言えません。

▶ファンクショナルトレーニングの5原則

ファンクショナルトレーニングには5原則があります。1つずつ解説していきます。

1.重力の利用

我々は常に重力の影響を受けています。つまり重力にを考慮した動作の練習が必要となります。

例えばボールを正面に向かって投げようとするときに、立って投げるのと、仰向けで投げるのでは重力のかかる向きが変わります。つまりその時に使われる筋や筋肉の使い方も変わってきます。

何か動作の練習(ファンクショナルトレーニング)をしようとする場合はその動作が常に重力がどの方向に働いているかを考慮して、それに合ったトレーニングを選択した方がより良い結果を生む可能性があります。

体幹トレーニングのプランクをご存知でしょうか?

プランクはうつ伏せの方向で行いますよね?でも実際うつ伏せであのような体の使い方をすることは日常やスポーツでもほとんどありません。

プランクをファンクショナルトレーニングの5原則の重力という視点からみるとプランクはファンクショナルトレーニングとは言えません。

現在スポーツチームがプランクを練習に取り入れてないのはこれが理由です。

2.分離と協働

関節がどこか単独で動くことはありません。1つの関節が動こうとする時、常に他の関節も何かしらのアクションを起こしています。

例えば立った状態で右脚を上げようとした時動いているのは股関節だけに見えます。しかしながら股関節を動かそうとした時には必ず体幹は固められています。

特に隣接する関節は必ずこのような共存関係にあります。

これが上手くできないとどうなるでしょうか?

立った状態で右脚を上げようとした時に体幹が固定されないと、右脚が上手く上がらず腰が曲がります。

もしこの分離と協働がうまく働かず股関節を使い過ぎたら、腰に負担がかかりすぎて体を痛めるかも知れません。

何か動作をしようとする時に他の関節はどうなっているかを考慮するのが分離と協働です。

3.運動連鎖(キネティックチェーン)

これは筋肉の働きや関節の構造を知らないと理解出来ないので、分からなければ飛ばして下さい。

分離と協働でも言ったように関節同士は常に共存しています。1つの動きによって波紋のように周囲に影響を及ぼします。

例えば立った状態で膝をピンっと伸ばすと腰が反ってしまうことが多いです。

このように動作は他の動作に連結します。

このような動作も考慮してトレーニングをする必要があります。

4.3面運動(3ディメンション)

中学か高校生くらいの時にx軸y軸z軸を習ったと思います。これと似たようなものです。

動作は3面の複合運動で表すことができます。

3面とは、

矢状面(地面と垂直で前後方向へ回転する面)

冠状面(地面と垂直で左右へ回転する面)

水平面(地面と水平に動く面)

例えばお辞儀動作は前後方向(矢状面)の動きです。

目的の動作がどの面の運動かを意識してエクササイズする必要があります。

5.力の吸収と発揮

運動には必ずなんらかの力が発生します。

ジャンプ動作をイメージすると分かりやすいかも知れません。

勢いをつけるために少ししゃがんで力を溜めます。一気に力を発揮させてジャンプします。着地する時は位置エネルギーが加わるので衝撃を吸収します。さらに2回目ジャンプする時はその吸収度合いを調節し、再度飛びやすいように準備します。

一見誰にでもできそうに見える動きですが、人によって出来栄えに大きな差があります。

ジャンプ動作に似た動きでは例えばジムにあるレッグプレスという種目があります。これはたしかにジャンプに必要な筋肉を鍛えますが、力の吸収や発揮は実際のジャンプ動作とはかなり異なります。

これらを全て実際の目的動作と照らし合わせてトレーニングする必要があります。

▶日本におけるファンクショナルトレーニングの課題

トレーナー付きのスポーツチームや選手はファンクショナルトレーニングが取り入れているところがそこそこあります。しかしながらまだまだ日本でファンクショナルトレーニングと思われるようなトレーニングを組み込んでいないチームが多くあります。

なぜでしょうか?ファンクショナルトレーニングの概念が難しすぎる、そして何をすれば良いのか分からないのが原因だと思われます。

困ったことにフィットネスジムでファンクショナルトレーニングを導入しようとした場合、マンツーマンならファンクショナルトレーニングをすることができますが、複数人になると、一人一人目的が違うためファンクショナルトレーニングになりません。

最近ではファンクショナルトレーニングをうたって大人数で体操のようなことをするところがありますが、あれはファンクショナルトレーニングとは言いません。上記の説明を理解していないとファンクショナルトレーニングと言われても納得はしてしまうかもしれません。

正しいファンクショナルトレーニングの概念が一般に普及するのはかなり時間が必要かもしれません。

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